ぼくの名前はポクである。~ある白茶猫の日常~
長編版の1話目と同じです。
ぼくの名前はポク。
白茶の雄猫だ。
人間の雌には『おとこまえ』と言われている。
ぼくは何回か前の夏にこの家にきた。
妹といっしょに。
ほかの兄弟も一緒に入れ物に入れられてきた。
その中からぼくと妹だけが掴まれて、そのままここに残された。
妹と震えながらくっついていたら、お姉ちゃんがきた。
お姉ちゃんはお母さんみたいに大きくてふわふわであったかかった。
ぺろぺろ舐めて毛づくろいしてくれた。
お姉ちゃんのお腹にもぐって安心して寝た。
歯が生え変わるときはかゆいからお姉ちゃんの耳を噛み噛み。
いたいわよー。しょうがないわねえ。
お姉ちゃんは噛み噛みしても怒らない。
お姉ちゃんは窓辺の籠がお気に入り。
なおーん
はいはい、おいで。
お姉ちゃんのお腹にもぐりこんで、お母さんにするみたいにむにむにお腹を押す。
おっぱいは出ないけど、押し押しするとしあわせ。
お姉ちゃん大好き。
ぼくはひとりで寝るよりくっつき虫がすき。
トイレから戻ったら妹がソファの上の猫ベッドに丸くなっている。
いそいそと妹の横にくっつく。
静かに、そうっと。
ぷぎー!!
ばし!
……行ってしまった。
妹は気が乗らないときにくっつき虫されると怒る。
叩かなくてもいいのに。
妹が寝ていた猫ベッドにひとり丸くなる。
別にいいもんね。
……やっぱりひとりで寝ててもつまらない。
お姉ちゃんのところへ行くことにする。
なおーん
お姉ちゃんはいつもの窓辺の籠の中。
お姉ちゃんの上に乗っかってお尻をねじねじしていれてもらう。
しようがないわねえ。いつまでもあかちゃんで。
いつの間にか、ぼくの身体はお姉ちゃんより大きくなった。
でもお姉ちゃんはお姉ちゃん。
お姉ちゃんの身体はやわらかくてあったかでしあわせな匂い。
『まーたポクがお姉ちゃんのとこに割り込んでるよ』
『ポクは6キロもあるのに自分の身体のサイズ、分かってないよな』
『ふふ、ちっちゃいころはお姉ちゃんのお腹のとこにもぐって寝てたもんね』
『二匹入るとぎっちりだな』
『ポクはほんと、お姉ちゃん大好きだよね』
……お姉ちゃんだいすき。