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1年前

 1年前。

 

石田三成「会津に戻るのか?」

直江兼続「内府が『国替えしたばかりで、まだ落ち着いていないであろう。』と言って来てな。」

石田三成「それを受け入れたのか?」

直江兼続「実際そうであるし、うちは越後の件も抱えている。」

石田三成「それはそなたが次の年の稲を持って行ったからだろう。」

直江兼続「種籾用意したのはこっちだぞ。それ相応の税を徴収する権利があるであろうに。」

石田三成「でも揉めているのだろ?」

直江兼続「まぁ太閤殿下が存命であれば、そんな事をする必要も無かったのではあるが。お前も悪いんだぞ。」

石田三成「家康が秀吉との約束を反故にするからである。」

直江兼続「それがお前の良い所でもあるのだけどな。でもそのおかげで、こっちの居心地は悪くなる一方だったんだぞ。お前が佐和山に帰る事になったのあれば、お前を守る必要も無いのであるから私がここに居る理由は無い。」

石田三成「家康の暴走に歯止めが利かなくなります。」

直江兼続「今、それを止める事が出来る者はおらぬ。(前田)利長も帰ってしまった。力の論理で家康を抑え込む事は叶わぬ。」

石田三成「しかしこのままですと秀頼様が蔑ろにされてしまうことになります。」

直江兼続「それは出来ぬであろう。」

石田三成「何故であります?」

直江兼続「家康が権力を振るう事が出来るのは秀頼様が居るからである。もし家康が秀頼様の権力に手を付けたらどうなる?今、お前を襲った連中も秀頼様の側に付く事が目に見えている。故に家康は秀頼様を蔑ろにする事は出来ぬ。やるとするのであれば、内府が秀頼様の名の下いくさを行った時である。」

石田三成「そのために利長や景勝殿を国に帰した?」

直江兼続「しかしそれでは足りぬ。前田や私を倒しても太閤殿下の遺臣は皆。秀頼様の忠誠のため、いくさをした事になるからである。幾ら家康が彼らに厚く褒美を与えても感謝の先は内府では無く、秀頼様に向かう事になる。仮に失敗した時は、その矛先が秀頼様に向かう事は決して無い。その事は唐入りの時、そなたが経験した事であろう。」

石田三成「確かに。」

直江兼続「内府は本気で加賀や会津でいくさをするつもりは無いであろう。兵は動かすと思うし、内府も実際に動く。ただ狙いは違うところにある。家康の事を快く思っていない。亡き太閤殿下一途の者に兵を挙げさせたい。いくさの理由を変えさせたいと考えているであろう。その対象者が誰であるのか?お前ならわかるであろう。」

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