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満開に咲く談話の花

地獄を生き抜き、いや出場競技選んだだけなのだけれど、とにかく一日で最も憂鬱な時間を超え、時は放課後。黄美さんとおしゃべりに興じていた。ただ競技を決めただけだがどっと疲れてさっさと帰る元気もない。

「お疲れだね、紫織ちゃん」

「そうね・・・。正直、今から気が重いわ。朝則が二人三脚のペアなのが不幸中の幸いね。他の男子なんて苗字ぐらいしか知らないし」

「別に私に構わないで先に帰っていいのよ?」

「ううん。別に用事もないし、ここまで元気ない紫織ちゃんも珍しいからね」

「そう?家だと割とこんな感じだからあんまり気にしたことないけど」

「そうなの?」

「まぁ。あぁでも朝則を起こしたりするときは割と声を張っているわね。というか朝則を怒鳴りつけるときぐらいしか声は張らないわね」

「・・・前から聞きたかったんだけど津久羽君とはその・・・どういう関係なの?」

「どうって言うのは?」

「ほとんど毎朝いっしょに登校してるみたいだし、お弁当も同じだし、でも付き合ってるって感じでもないし」

「別になんでもないわよ。家が隣同士の幼馴染で朝則のお母さんが忙しいから、私が面倒見てるだけ。付き合いだけで言えば12年ぐらいあるわね」

「小学校入ってからずっと一緒だってこと?長い付き合いだね」

「えぇそうね」

「うらやましいな~。私そういうの全くないからなんかあこがれるかも」

「別にそこまでいいものでもないわよ。お互いに昔のこととか秘密とか他の人にはいってないこととかまで知ってるし。それに朝則は自分のことがいつまで経っても自分でできるようにならないのよね。朝もほとんど起きられなくて私が起こしてるし、いまだに放っておいたらカップ麺で夕飯済まそうとするし。夏休みとかの宿題とかも私が口酸っぱくしないと全然やらないし。ほかにも・・・」

「わかった、わかったから。ストップストップ。愚痴はまた今度聞くから」

「そう?朝則は学校で結構猫かぶってるのよね。最近気づいたのだけど」

「確かにそうかもね。話聞いた感じだと全然学校とイメージ違うし」

「あれぐらい家でもしっかりしてほしいものなんだけどね」

「ていうかあんまり津久羽君と学校で話してないよね」

「そうね。家でも通学中も一緒にいることが多いもの。学校までずっといっしょだったら疲れちゃうでしょ?」

「なるほど。小さいころから一緒にいるってことはなんか面白い話とかもあるの?」

「もちろんって言いたいところだけど、今日は時間切れみたいね」

「え?」

「お前ら、そろそろ帰れよー」

教師の注意に反応するようにチャイムが鳴り響く。

「うわっ、もうすごい時間じゃん。お母さんに怒られちゃう。その話また聞かせてね。ねぇ今度いっしょに出かけない?まだ遊んだこともないし、どう?」

「えぇ、いいわよ。そういえばクラスの人ともどこかに出かけたこととかもないわね。・・・嫌われてるのかしら」

「そういう訳じゃないけど、紫織ちゃんいつもすぐ帰っちゃうからね」

「そうなの。もう少し私からも話しかけてみるわ」

「それがいいんじゃないかな。じゃあまた明日ね」

「また明日ね。黄美さん」


 帰る道すがらスーパーに寄って、今日の夕ご飯の買い物をする。今日はおばさんはいるはずだから朝則のぶんは作らなくてもいいはず。だったのだが、カップ麺の売り場でえらく真剣な顔をしながらカップ麺を選ぶ幼馴染を見つけた。疲れすぎて幻覚が見えたのかもしれない。

「なにをしているの?朝則」

「げっ、紫織。なぜこんなところに」

「随分なご挨拶ね。なにしてるの?今日はおばさん家にいるって聞いた気がするのだけれど」

「なんか急に帰ってこれなくなったって。紫織に作らせるのは悪いから今日は自分で作るか買うかしろって」

「なんで連絡しないの?おばさんがいいって言っても私に連絡しなさいって言ったはずなんだけど。もう忘れたの?」

「いや、でも急だったし、作ってもらうのも悪いかなって思って」

「碌な食事すら作れないのに何を言ってるのあなた?前に言ったでしょ?あなたが科体調でも崩したりしたら私も面倒なの。だからおばさんが作れないときは絶対に連絡しなさいって」

「いや、そりゃ確かに聞いたけど」

「わかってるなら連絡しなさいよ。ほらそのカップ麵戻して。買い物手伝って」

「・・・へーい」

「なにか言いたそうだけど」

「いーえ別に。今日はなに作るの」

「買いながら考えるわ。ほら行くわよ」

「へいへい」

そういえば朝則は同じクラスなのだし私がどう認識されているか聞いてみようかな。まぁご飯の時でいいか


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