篠塚夏蓮
私はもう、帰れない?
愛流は思った。
だけど、早く着替えなければ母親がまた不信がる。
なのでいそいそと制服らしき物に着替えた。
そして、怪しまれないように、愛流は学校へと向った。
外に出ると道が二手に別れていて、どちらに進もうかと迷ったが、とりあえず右手側の道を歩いた。
暫く真っ直ぐ歩いていると、今、愛流が着ている制服と同じ造りの制服を来た女生徒が歩いていた。
「(とりあえずあの子に付いて行こう)」
暫く付いて行くと、学校らしきものが見えてきた。
「(ここが、この世界の私の学校…?)」
そう思っていた時だった。
「あーいる!」
ガバッと誰かが抱き付いて来た。
驚いて振り向くとそこにいたのは…
「夏蓮!!」
元の世界での友人、篠塚夏蓮だった。
「何、その驚き方〜
まるでそこにいない人がいてビックリ〜みたいな?」
「えっ、そ、そんなワケ無いじゃん!
急に抱き付いて来たからビックリしただけだよ」
「そう?いっつもは驚かないからさ〜」
この世界の夏蓮と、元の世界の夏蓮は姿は同じだけれど中味は全く違うようだった。
元の世界の夏蓮はもっと大人しくて謙虚な子だ。
けどこの夏蓮は…
「(豪快…)」
「ん?何か言った〜?」
ボソリと豪快と口にすると、夏蓮が振り向いた。
「いや、何でも。」
自分の能力に驚く。
まさかこんなに(嘘の)演技が上手いとは…
でも、友人に会えてよかった。
「ね、ねぇ、夏蓮。私のクラスって何処だっけ?」
「は、何言ってんの?!ついにボケた?」
「違うよ!」
「じゃあ何?」
「ちょ、ちょっと寝起きにぽろっと…」
そう言うと夏蓮は固まった。
そして不信そうな顔をしてからC組だよと言った。
「あたしと一緒のね!」
次には満面の笑みだった。