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第二話

 第二王女リーゼロッテとは同い年の十八歳。

 彼女の八歳の誕生日パーティーの時に知り合った。

 同年代の貴族を国中から集めた盛大なパーティーだったけれど、お互い派手なパーティーが苦手で、会場を抜け出して庭の池を眺めている時に出会った。


 どこか似ている私達は、一緒にいるだけでお互い気持ちが安らぎ気兼ねなく過ごせる。

 悩み事も好きな物の話も、嫌いな物の話も何でもできる。

 週に三回、城に招かれリーゼロッテと私は二人だけの茶会を楽しんでいた。



「エミリア。どうしたの? そんなに息を切らせて。まだお茶会の時間でもないのに」

「ごめんなさい。実は──」


 私はオルフェオ様に妹との婚約を勧め、婚約破棄されたことと、オルフェオ様が妹に突然キスをしたことを話した。


「なななななな何ですって!? オルフェオお従兄様、何を考えていらっしゃるのかしらっ」


 リーゼロッテはオルフェオ様の従妹に当たる。

 オルフェオ様と初めて出会ったのは、リーゼロッテと一緒にいる時で、彼女が紹介してくれた。

 

「まさか、こんなに簡単に婚約が破棄できるなんて思ってもいなくて。それに……アニスがオルフェオ様にキスされて、頭の中が真っ白になってしまったの」

「エミリア。それ、逆じゃないの? オルフェオお従兄様がアニスにキスをしたことが。ではないかしら?」

「あら? でも、オルフェオ様はいつも他のご令嬢の話ばかりするから、他でもしているのかと思っていて……。そっか。私……妹のアニスがオルフェオ様にキスされて。それがとても、ショックだったみたい」


 オルフェオなんて、どうでもいい。

 彼は、ただの政略結婚のお相手。

 いつもあちこちのご令嬢の話ばかりする女たらし。

 これっぽっちも彼に気持ちはなかった。


 でも、大切な妹が手を出された事の方が、よっぽど辛くて胸の辺りがムカムカした。


「そ、そうなの? お従兄様が女たらしだったなんて、最低だわ。ちょっとシメといた方が良いわね」

「リーゼロッテったら。悪いのは我慢できなかった私なのよ。アニスはオルフェオ様をお慕いしているのだから、これで良かったのよ。二人が婚約するなら、ブロウズ伯爵家も困らないし……」


 アニスはオルフェオ様が女たらしだと分かった上で慕っていたはずだ。アニスには、きっとこれで良かったのだ。


「そうね。でも、お従兄様がまた何かエミリアに迷惑をかけてきたら教えてね。でも……ここは前向きに考えましょうね。そうだわっ! これを機に恋なんてしてみたらどうかしら?」

「ええっ!?」

「だって。昔から婚約者が決まっていたから、してこなかったでしょ。ほらほら、お茶でも頂いて……あっ。リオン様を呼びましょう!」

「リオン様?」

「何度かお会いしているでしょう? 宮廷魔導師見習いのリオン様よ」


 リーゼロッテが手を差し伸べた先には、いつの間にか黒髪の青年が立っていた。私よりも年下に見える彼は、大きな翠色の瞳を柔らかく細め、こちらに微笑みかけていた。


「お呼びですか。リーゼロッテ様?」

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