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妹に婚約者を譲ったら、年下の宮廷魔導師見習いがぐいぐい来るようになりました  作者: 春乃紅葉@コミック版『妹の~』配信中
本編

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第十三話

 突然現れたリオン様を指差し、オルフェオ様は怒鳴り声を上げた。


「なぜ貴様がここにいる!? ふ、不法侵入だぞっ!」

「わ、私が招き入れました。旦那様。こちらは宮廷魔導師見習いのリオン様です。お断りした方がよろしかったでしょうか」


 ライナーが弁明しリオン様の名を口にすると、両親は急に顔を明るくさせ、使用人達もひそひそと会話を始めた。


「おお。貴方がリオン様ですか。お会いしたかったのです」

「エミリアがお世話になっております。リオン様のお話はライナーから聞いておりますわ」


 どうやらライナーは家の人達にリオン様の話をしていたようだ。

 リオン様はいつもの黒色の宮廷魔導師のローブを羽織っているが、そこから覗く服は普段とは違い、夜会に出席する際の貴族の正装のような格好をしていて、いつもより大人っぽい。私に微笑みかけると、両親へ向かって丁寧に挨拶をしてくれた。


「ブロウズ伯爵様、ブロウズ伯爵夫人様。急な往訪をお許しください。エミリア様の危機を、魔力結晶が教えてくれたので、飛んで参りました」

「な、何だとっ。たかが宮廷魔導師がっ。今、ブロウズ伯爵家が今後存続していけるかどうかの大切な話をしているのだ。部外者は出ていってもらおうか」


 まるで自分の邸で話すように、その場を取り仕切ってふんぞり返るオルフェオ様に、涼しい笑顔で対応するリオン様。何とも対照的な二人の動向を両親は慎重に見定めていた。

 そんな両親を気遣うように笑顔で会釈して、リオン様は口を開いた。


「それは失礼致しました。ですが、私も伯爵様にお話しがあるのですが。よろしいですか?」

「だから、今は大切な──」


 再び声を張り上げたオルフェオ様に水を差すように、使用人が部屋へ駆け込んできた。


「旦那様。隣国、ドゥラノワ王国の使者の方がお見えです。急ぎの書状をお持ちらしく、旦那様にお通しくださいと懇願されまして」

「隣国の使者だと? 外交問題に発展しては大変だ。早く通しなさい」

「はいっ」


 すると真っ青な顔で使者の方が部屋に飛び込んできて、土下座してリオン様にその書状を差し出した。


「まままままま誠に申し訳ございません。遅ればせながら書状をお持ちしましたっ」

「あの。俺にじゃないですよね。それ」

「はっ!? 失礼致しました。リオン様、遅いって怒ってるって聞いたのでっ。つい」

「つい。じゃないですよ。ブロウズ伯爵様はあちらです」

「はひっ」


 大丈夫だろうか。この使者の方。

 すっごくリオン様に怯えている。

 でも、どうして隣国の使者の方が、リオン様に?


「ブロウズ伯爵様。国王陛下からの書状でございます。お納めくださいませ」

「こ、国王だと? 一体何が書かれているのだ」


 父は震える手で書状を開き、読み上げた。


「な、何だと。エミリアと婚約を結びたいと書かれている。ドゥラノワ王国、第三王子シェリオン=アプト=ドゥラノワ様だそうだ」

「ははっ。何だ。第三王子か。それなら止めておいた方がいいぞっ」


 婚約と聞いた時は顔を青くさせたオルフェオ様だったが、相手の名を聞くと急に笑い始めた。


「な、何故だ?」

「第三王子は変わり者だからですよ。私は第二王子と普段から取引をしているので存じています。第三王子は幼き頃に国内の魔法道具を開発した天才だったそうですが、今はそれを全て放棄して遊び歩いているとか。国を飛び出し自由気ままに自分の好きな実験に明け暮れる偏屈だそうです」

「ほ、本当なのか? どうしてエミリアは変な男にばかり好かれるのだ」

「貴方。オルフェオ様を前に失礼ですわ」

「だって、そうだろう。折角、ライナーからリオン様の話を聞いて期待していたのに」


 落胆する父に母が苦言を呈するも、父は言葉を止めず、それを聞くとオルフェオ様は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。


「やはり、アニスに時間稼ぎをさせて、エミリアを別の男と婚約させるおつもりだったのですね。どうされるのですか? 隣国の偏屈に売るか、私に──何だ。書状を渡したのなら早く帰れ」


 気持ち良さそうに話していたオルフェオ様の前に、先程父に書状を渡した使者の方が、別の書状を手に立ちはだかっていた。


「いいえ。それ以上は仰らない方が己の為ですよ。それからコールマン公爵子息様にも、書状がございます。どうぞ、お納めくださいませ」

「おいおい。こんなところで渡さなくてもよいだろう。いつもは屋敷に届けてくれるではないか」


 しかし、使者は何も言わず、書状を開くことを身振りでオルフェオ様に勧める。目を通すと、オルフェオ様の顔はみるみる青くなっていった。リオン様はその書状の中を横から見て納得したように頷いた。


「今後一切、コールマン公爵子息様とは交易をしないと書かれていますね。兄様は利用価値がないと思えば直ぐに切りますから。仕方ないですね」

「に、兄様……だと?」

「はい。良く似てるって、リーゼロッテ様は仰るんですけどね。──ドゥラノワ王国第二王子、レクルシオ=アプト=ドゥラノワは、俺の兄ですよ。コールマン公爵子息様?」




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