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追放された弓使い

 早朝になり、俺はさっそく仕事に出た。ビビりな俺は前回のハンター試験とは打って変わって、かなり硬い重装備でほのかを迎えに行った。ちなみに今回の装備はちゃんと調べなかったせいでどれも名前は知らん。ただし硬い装備であることは知っている。



 なにわともあれ、今日から国家ハンターとして働き始める。



「――おはよーございます、……ふぁあ」

「朝弱いのか?」

「はい、……だいぶ」



 ほのかと合流したあとギルドの集会場にやってきた。集会場には受付と掲示板、休憩所や商業施設が軒を連ね、極太の石柱が林立するとても広い空間があった。ゲートもいくつか見え、案内のための職員が常時待機している。



「わぁあ! ここが集会場なんですね! すっごく豪華で、活気に溢れていて、まさにギルドって感じです! みんなかっこよくて強そうな装備してるなぁ~!」



 一気に目が覚めたようで、ほのかは集会場の様子に興奮しっぱなしだ。俺はそれどころではなく、待ち人のいる場所を目で探していた。



「さてと、――あそこだな」



 ほのかを連れて集会場の怪鳥ペリエの銅像がある場所まで行くと、そこには弓矢を携えた『アーチャー』の装備で身を固めたポニーテールの女の子が待っていた。



「よう、君が神崎寧々かい?」

「――そうよ。あんたが岡田祐介ね。ふーん……、話通りの中年男だわ、よく国家ライセンスが取れたわね。どんなコネがあったのかしら」

「ハハハ! 俺にコネなんかないよ。ただ、ゴリラの討伐が早かっただけでハンター協会に買いかぶられただけさ。隣のほのかもそうだけど、俺達は新米ハンターなんだ、右も左も分かっちゃいない。よろしく頼むぜ」



 この子は神崎寧々(かんざきねね)。今年で二十歳を迎えたばかりの若い女ハンターだ。もともと女子大生だったらしいが、大学入学後たったの3ヶ月で自主退学してハンターに転身した経歴を持っている。


 かなりの美人だが、勝ち気な瞳から容易に連想できるように、単独行動が過ぎて以前に所属していたパーティーを追放処分になり、新しいパーティーを探していたらしい。昨日の夜に俺がパーティー募集をネットでやっていたときに連絡を取って、さっそく会ってみようということになった。



 ほのかが「神崎さん、初めまして。これからよろしくお願いします!」と元気よく挨拶すると、神崎寧々はプイッと照れたようにそっぽを向いた。



「ふん。寧々でいいわ。よろしくね」

「はい! 寧々さん!」



 なんとなく雰囲気から悪い子ではなさそうだと分かった。しかし口ぶりは強気そのもので、好き嫌いがハッキリ分かれそうなキャラをしているみたいだった。



「あたしがこの中では一番強くて知識があるんだからね、ちゃんと私の指示に従って行動するのよ! いーい!?」

「はい!」



 俺もほのかに続いて、「へーい」と適当に返事をした。すると「こら! そこの中年男子! やる気が足りてないわよ! もっとしゃきっとしなさい!」と母親のようなお説教を食らった。



 寧々は上機嫌な足取りで集会場の依頼書がたくさん張り出されている掲示板まで俺達を連れて行ってくれた。そこから適当に二枚ほど剥がして、片方を俺達に渡した。



「あんたたちは初心者だから、採集クエストを受注しなさい。私はついでに、同じ階層の、国家ハンターライセンス《青》――通称ブルーライセンス以上を持っている者だけが受注できる狩猟クエストをやるわ。もちろん道中で危険がないように同行してあげるから安心なさい! ついでに狩猟のお手本も見せてあげるわ!」



 採集クエストはまだハンターとしての戦闘になれていない者達には御用達のクエストだ。しかも採集難易度は最も低いEランクだそうだ。うんうん、新参者にはこれぐらいのがちょうど良い。俺達は言われたとおりにその依頼書にサインをした。



 そのあと集会所の受付に行って、依頼書を提出した。受付嬢の女性がえらくナイスバディな女性だったので見とれていると、受付嬢が言った。



「――はい、テッカ石の採集クエストと、カインクックの狩猟クエストですね。前者はオープンクエストですのでホワイトライセンス以上、後者はブルーライセンス以上が受注資格となっております、ハンターライセンスの提示をお願いしたします」



 俺達はハンターライセンスを受付嬢に手渡した。それですぐに俺とほのかが新参者であることが分かったらしく、



「今日が初めてのクエスト挑戦なんですね、どうぞお気を付けて、いってらっしゃいませ」



 と笑顔でいわれて、俺はにやけながら「はぃ、がんばりまぁっす!」と変な声を出してそれに応えた。とはいえおっさんなので、本当に頑張れるのかはいまだに疑問である。あぁ、寧々さんとやら、何でもいいから、俺達の身の安全だけは保証してくれよな。



 まだクエスト開始まで時間があるみたいで、俺達三人は時間つぶしと自己紹介も兼ねて集会所の奥にある喫茶店『ハンターズカフェ』に入った。そこで珈琲を注文したついでにモラールブタのハムをパンで挟んで作ったものも頼んで腹ごしらえすることにした。



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