二人のパーティー入りの始末は
一章七[二人のパーティー入りの始末は」
この話はドグマが迷子っちになっていた間の出来事である。
ドグマと同じくゲーマーで大日本帝国で生まれた彼は今、訳のわからないゲームに巻き込まれて状況を理解できずにいた。
「さ、サツガイ?!」
彼、ーカズキはもともと気は強くない方である。学校でも上級生はもちろん、同級生にすら砕けた言い方ができずにいる。
そんな大人しい彼だがゲームだけは目の色が変わる。
幼い頃憂鬱だったカズキにゲームを教えてくれたのは父であった。
彼は幼い時から今までずっとゲームをやり続け気づいたらゲームの一流と呼ばれるほど育っていた。
その日はとある異世界のゲームを買い、プレイしようとしたらなぜかそのゲームの中の異世界に入っていた。
「何回過去振り返っても今の状況説明つかないしてか常識的に考えられないしな。」
ゲームの中に入るなんてMMOもいいとこだ。つかもうMMOではないのか?
しかし先ほど届いたあのメールを見ると冗談とは思えない。
サツガイ。
意味不明で理解不能。
「これを考えると一人でしかも何も持ってない僕はヤバイな。」
取り敢えず、この入り組んだ路地から脱出しなきゃ色々とまずいんだけど。
メニューにマップがなかった時点でクソゲー臭はするのだが巻き込まれているのでそこは目を瞑るしかない。
「問題はここがどこなのか把握することだね。」
全てのMMO以外のプレイヤーだとしたらあと小1時間どころではない、下手をすれば何年の部類である。
リアルが気になるところではあるがその為に今から色々準備をしておかなければ。
同じ状況に陥っている人を見つけ、パーティーを組むのが今の現状の第一目標である。
ガツッ!
どこかで何かの音が聞こえた気がする。
「あ、これはフラグだったか。」
言った後に気づいたのは遅かったかもしれない。
隣の壁が大きな音を立て中から人が出てきた。
黒い髪だ。
これは確定でNPCではないだろう。ということは必然的にMMOプレイヤーかそれ以外になる。
しかし、この人からもろに溢れ出ている殺気は常人を超えていると判断できた。
それは同じ常人を超えたゲーマーだからもあるし、その人から溢れ出ている殺気が強すぎるのもあるであろう。
薄汚れた布でできた装備と手に持つ1つだけの短剣、多分ナイフであろうそれは赤い色で元の金属の刃の部分が見えなくなっていた。
ついさっきまで戦っていたと思うその人はゆっくりと目だけはこちらをずっと見てこちらの方へ歩いてきた。
「ど、どうもーすいません、僕と同じMMOプレイヤーですかね?」
彼は僕が言った瞬間表情を笑みに変えた。同じ境遇の人と出会えたからであろうか?
「あの、よかったら状況整理でも……」
彼は今度はこちらへ走ってきた。
全く走る距離ではないと思うけど。
「あ、すいません…あれ?!」
お辞儀をするといきなり黒髪の人は目の前からいなくなってしまった。
「ど、どこに行ったんですか?」
うっ、右足から激痛が。見ると何かの刃物で切られたような切り傷が出来ている。こんな傷ができていたらもっと前に気づく、ということは
「シッッッ!!」
後ろの方で喝を入れるような声が。
背中の方に身の危険を感じた。これが本能とやらなのか。
いきなり動かすのに慣れていないからだを横に無理やり倒し受け身も取れずに硬そうな地面へ全体重をかけ落下した。
後ろから黒い何かが前の方へすごい速さで突進して行った。
それがさっきの人だとすぐに分かった。
僕はすぐに痛くなったからだを起こして反対の方向に走った。
振り返らずにそのまま路地を抜けるまで走り続けた。
するとやっと路地を抜け人が多くいる通りへ出た。
後ろを振り返るとあの黒い人はここまで追ってきてないようだ。
周りを見ると戦士そうな見た目の人やその隣には僕と同じような黒髪の男の子も見えた。
あの人から逃げるためにもまだ行かなくてはならない。
足は回復してないが、前へ一歩進んだ。が、
「って痛あっっ!!」
拳ほどのサイズの石を靴下だけしか履いてない足で踏んでしまった。靴を履いてないから当然痛いわけだ。
「あれ?」
そういえば路地にいた時は痛くなかったような気がする。んー?
あ、おもいだした!
確かこの世界にきた時何も履いてないはずだったのに無色の地味なスニーカーを履いてたんだ。
でも今はないってことは…
「あの怖い人のところか…。」
正直行きたくない。ヘタレと呼ばれてもいい。あれは怖すぎる。
けどこのまま何も履いてない状態で出るとただでさえ切られていて痛いのに足の裏が血だらけになって痛くなるのはとても辛い。
僕は戻ることにした。
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「うー怖っ!」
さっきは昼時だったから今はもう2時か3時くらいだろうか。僕は怖い人に出会った路地の奥へ戻っていた。
あの人に気づかれないよう、ゆっくりと足を運んでいた。
「すまん、そこをどいてはくれないか?」
「あ、すいませんどうぞ。」
綺麗な女の人の声が聞こえた。
後ろを振り返ると予想通りの女の人がいた。
かわいい、というより綺麗、と行った方がいいであろう。黒色の髪に学校の学生服みたいな物を着ている。
「すまない。」
見惚れているとその人は行ってしまった。
「綺麗な人だったな…」
あ、
あっちの方向はあの怖い人が、言おうとしたがすでに時おそしであった。
あの人はもう奥の方へ行っていた。
「ああ、もう!!」
僕は急いで奥の方の路地へ走って行った。
「確か、ここだったはず…」
間違いないはずだ。
「あ、スニーカー!」
僕が落としたであろうスニーカーだ。
取って履いていると何か金属が混じり合うような嫌な音が聞こえた。
この音はどうやら左の路地から聞こえるようだ。
僕は嫌な予感がし、すぐに左の路地へ進んだ。
キンッ、カッ!!
「なっ!!?」
たどり着き、覗いてみると怖い人とさっきの綺麗な女の子が戦っていた。