俺のジョブと究極魔法
一章五 [俺のジョブと究極魔法]
「ああ!、逃げんじゃねー!!」
「そ、そう言われて逃げない奴はいねえぞ!」
俺はドグマ、本名は割愛させていただく。
高校1年生で歳は16、家族構成はシングルマザーの母と歳が一つ離れている弟がいる。あと、生き別れの妹がいる、と信じたい。
高校には中学でゲームしっぱなしでろくに勉強もしてなかったので猛勉強し偏差値が高くも低くもない高校に入った。
しかし入ったことで安心していた俺は高校には始めの始業式しか行かず、それから一回も行っていない。
「もうすぐ一年か…」
あれからもう一年も経つ。俺は楽しい楽しい修学旅行とやらにも行かず、家で約一年中ネトゲをしていた。
勿論親も何も言わなかった訳ではない。だが俺は言われた瞬間に自室にこもり、ゲームをした。
我ながら最低な人生だと思う。
こういうのが走馬灯というものなのか。
「おい!、なに黄昏てやがるモンスター!俺の相手をしやがれ!」
「ひぃぃぃぃ!!」
レベル20はキツイ。俺のレベルの十倍もある。そんな相手に勝てる訳がないと見越した俺は出会い頭に言葉を言われた瞬間にUターンして逃げていた。
え、さっき買った武器で戦えだって?
無茶を言わないでほしい。
相手の武器はとても強そうな大剣だ。俺の武器は少し長い太刀だぞ。こんなので攻撃しても大剣で防がれてそのあとワンパンで終了って未来が見えるだろ!
ピロロ!
あ、メッセージが届いた。
俺は走りながら器用に手のひらを押してメニューを開き、メッセージを見た。
「ドグマ君、こっちは用済んだから先に宿に戻ってるねー、ばいちゃ!」
「おいいいいいい!!!」
そりゃないぜヴィアよ…。
こっちの状況を知らないんだろうけど。
ピロロ!
また届いた。
「ところでさ、ドグマ君のジョブってなに?」
そうだ!
この土壇場だが、この世界のジョブ機能を説明させてもらう。
ジョブというのは分かりやすく言うと戦士とか魔法使いとかとか、その辺の職業のことだ。
その職業がこのゲームでは進化してジョブと呼んでいる。進化したのは名前とかスキルとか使える武器とかだ。
そのジョブによって使える武器は違うし、使える魔法、スキルもそれぞれ異なる。
そのジョブはこのゲームの初期登録時に選択できる。選択方法は簡単なアンケートに答えてそのアンケートの結果でその人の選べるジョブが決まり、その中からジョブが選択できる。
と、いうシステムだ。
ちなみに俺のジョブなんだがアンケートに答えて一つしか選べなかった。
なんでだろう、すごく悲しいや。
俺が選んだジョブはほぼ全ての武器、防具を装備可能であった。
しかし、俺のジョブは…
「あーもおラチがあかねえ、そっちが来なきゃこっちから行くぜ!」
おっと敵がなにかすごそうな技を出してきそうだ。
「爆発スキル、ウルシュ・シスタ!!」
なんだこの爆発、いや爆発って言うよりも爆風か?
「あっつ!!」
これで満を持して始めのプロローグです。
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そんな事を考えていた矢先、俺の背にあった岩は大きな音を立て崩れてしまった、から、
「う、やっぱアチい!」
先ほどまでの痛みと熱さが蘇ってくる。
どんどんHPが減っていく気がする。
俺死ぬんかな?
覚悟をしていたのに爆風は止まってしまった。
いや、結果的には俺死ななかったからいいかもしれんけど…。
まあいいや。
どうやら俺に向けて放った魔法っぽいやつは爆発というより長時間敵に爆風を当て続けるやつだったようである。
「生き残ったか、」
爆風の後の煙から見えてくる大剣を持って俺をサツガイしようとするプレイヤー、いやツガイヤー。
そろそろさっきの攻撃の仕返しをしなくてはならないと思う。
俺は怒りやすいのだ。
「俺を怒らせてしまったようだ。」
「あ?!」
俺本来の、ジョブの効果を発揮する時である。
「いくぜ、究極魔法アビス・デウス・キル!!」
………。
あれ?
お、おかしいな俺は魔法を唱えたはずなんだけど。
静寂、訪れたのはそれだけだった。
しかし、バタンと音がした。
それは俺を倒そうとしていたツガイヤーだった。
俺が唱えた究極魔法アビス・デウス・キルは無抵抗の相手に即死攻撃を与える強すぎる魔法だった。
俺はワンパンボーナスとその他のボーナスを貰い、レベルがいっきに10になった。




