サツガイ
一章二[サツガイ]
「あの、」
とてもかわいい白髪、いや銀髪の美少女だ。歳は多分俺と同じ16歳くらいだと思う。
「は、はい、なんでごじゅ…」
噛んだ。
ヤバイ、てかこんなかわいい子に独り言聞かれてプラス、思いっきり噛むなんて…
くそ、ネトゲのチャットでコミュ力は十分鍛えられていると思ったおれがバカだった。
反省してるから神よ、俺にコミュ力をあともう少しだけでいいからちょうだい!
「ふふ、あははは…」
あ、笑ってくれた。優しいな、こんな優しい子にこのゲームの中で出会えるなんて、ん、てかこの子、格好がジャージ?
「あ、すいません、少し面白かったので笑ってしまって。」
素だったんですか?!、危ない思わず呟いてしまう所だった。
「あ、だいじょぶですよ。こちらこそ何度も話しかけられているのに反応できなくてすいません。」
「いえ、いいんですけど。」
あのっ、と少女が何か言いたそうにチラチラとこちらを見て来ている。その仕草がかわいいのだが。
そんなことを考えている場合じゃない、俺も言いたいことがあったんだ、ジャージって事はこの世界のNPCとかじゃなくて、
「すいません、日本人ですよね?」
先に言われてしまった。やっぱり俺ってドンくさいな。
「はい!」
「やっぱり!」
うーよかったよー、
無意識にこの子は呟いているのか?
「状況を整理しません?」
「あ、はいそうですね!」
なんだかとてつもなく天然臭がする。
今いる場所は大通りのようなところだったので裏の方へ二人で移動した。
その間に少しばかり状況を整理したところ。分かったことがある。
一つは俺と同じく、このゲームを買って初期登録をし、読み込み中に目を閉じ、目を開けた瞬間になぜかゲームの中に入っていたということ。
もう一つは読み込みを待っている時に他のゲーム機でゲームしてたそうなのだが、この世界に来た時にそのゲーム機が転移してこなかったそうだ。現時点では身につけている物以外はこの世界に持ってこれないみたいである。
「そんな感じですね。」
う〜ん、分からないな。これだけの情報だじゃな。多分あのシャーロック・ホームズさんも推理して当てるのは無理だと思う。
「分かんないですねー」
うーむととなりで唸っている。
そこへ不意に音がなった。
プルルルル…
「わあっ?!」
「メールですよ。ふふ」
また笑われてしまった。しかしメールってどうやって確認するんだ?
とりあえず体をタッチしていると手のひらにメニュー画面が開いた。どうやらメニューのキーは手のひらをタッチみたいだ。
「あれ、私も届いたみたいです。」
「では二人で。」
メニューのメール機能を開くとこのゲームの作者、ゲーム神からだった。
「拝啓、プレイヤーへ」
プレイヤーの皆さま方へ
「このMMO視点はゲームの不具合ではないです。
これは[新世界]本来のゲームストーリーです。
では皆さまをこの世界にご招待した理由を説明しましょう。
[サツガイについて。]
この世界に皆さまを招待した理由は[サツガイ]というストーリーを皆さまにやってもらうためです。」
場が少し凍りつき、ひんやりとした冷たい乾いた風が俺たちを包み込んだ。