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ソウル・シャウト・ジェネレーション  作者: ますたか きょうたろう
第五章
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【7】死闘(2)

「磯崎……お前だけは……許さない!」

 刃の動きに合わせて闇色のオーラが軌跡を描く。磯崎を見据え、真斗は魂装具を構えた。

「ふん……いい気になりおって」

 磯崎は切断された魂装具を具現させる。再び四つの鉤爪が磯崎の周囲に宿る。

「さあ――次はお前の番だ……!」

 磯崎が両腕を振るう! その動きに合わせ一斉に鉤爪が真斗を取り囲むように迫る! 正面の左右から同時に二つの刃が襲いかかるが――

「はあっ!」

 刀を左から右へと一閃する! 黒い軌跡を空に残しつつ、切先は左、右と二つの爪を弾き飛ばす! 真斗は刀を振り抜き、そのままに身体を右に回転させて背後へと反転する――弾かれた鉤爪はすぐに軌道を修正し真斗をえぐらんとその背へ再度迫るが――残された黒い軌跡がその場で回転、漆黒の斬撃を連続で発生させる!


 ――しゅばばばっ!


 漆黒の斬撃が二つの鉤爪を弾き返している間に、真斗は残る二つの鉤爪へと向き直る。それは既に左斜め上と右斜め下から迫っている! 時計回りに円を描くように漆黒の刃が動き――丸い軌跡を残しながら、左の鉤爪を打ち上げ、次に右下の鉤爪を撃ち落とす! 

「ぬうっ!?」

 思わぬ展開に磯崎が声を上げる。円を描く黒い斬撃は鉤爪を寄せ付けることなく弾き続ける!

 その間に真斗は円を描いた刃を流れるように鞘へと納め――一呼吸後に、右手を抜き放つ! 神速で放たれた居合! 磯崎目がけ、漆黒の切先から黒い閃光が疾る!

「!? くっ……!!」

 磯崎はとっさに身を左に捻るが――漆黒の剣波は頬をかすめる! 刻まれた傷痕から鮮血が伝う。

「おのれっ……!」

 磯崎は体制を立て直すも、ここに走り込み間合いを詰めた真斗が迫る!

「ふっ! ……はっ!」

 真斗は磯崎の左脇腹を狙い、魂装具を振り上げ、逆袈裟斬りを放つ! 磯崎は身を左へと捻りこれをやり過ごすも……真斗は流れるように左から右への横薙ぎで胴への一閃を狙う!

「ぬっ……ぬううっ!!」

 伸ばした魂装具の鎖を縮めながら、磯崎は後ろへ飛ぶ! 黒い軌跡が虚空を斬る。真斗はそのまま右足を踏み込むと――磯崎の喉元目がけて突きを放つ!


 ――ぎっ! ぎいぃん!


 金属の衝突音が響く。真斗の手から真直ぐと伸びたその切先を、磯崎は手にした左右一対の鉤爪を交差させ、受け止めていた。

 交差させた鉤爪を離すように振り払い、刀の切先を弾き飛ばすと磯崎が構える。

 両手には一対の鉤爪、そして手首から鎖を伸ばしながら、もう一対は磯崎の両肩の上に浮かぶ。

「調子に乗りおって……!」

 磯崎が動く! 右手の爪が真斗の側頭部に迫る! 真斗がこれを最小限に身を引き躱すと……すかさず磯崎は左手の爪で真斗の右首筋を狙う! 真斗は柄を上に、刀を立てて構えこれを受け止めると……左上空から降下してくる第三の爪目指し、力任せに刃を振り上げる! 磯崎を押し返しつつ、黒い閃きを描く切先は迫る鉤爪を宙で両断! 切断された爪は力なく地に落ちる――とそこに右から最後の鉤爪が真斗の腹部へと迫るも、真斗は左から右へと刀を一閃! 打ち払う!

「……かかりおったな!」

 磯崎が叫び、右を向いた真斗へ迫る! 真斗の首を挟み、切断せんと両手の爪を交差させ、喉元へと一気に凶刃を振り抜く! 魂装具での防御は間に合わない!

「もらった――!」

 磯崎の顔に笑みが浮かぶ。真斗は振り抜きの勢いのままに身体を右に回転しながら身を屈め――磯崎の刃が空を斬る――そのまま足払いを放つ! 足元をすくわれた磯崎の体勢が崩れる!

「なっ――!?」

 磯崎の顔が歪み……回転を終えた真斗が体勢を立て直す。そして――

「おおおおおっ!」

 黒く染まる刀身を右から左へと一閃する! 漆黒の軌跡を描いた刃が、磯崎の胴を薙ぎ、めり込み、そして黒い衝撃波が磯崎を貫通する!

「ごっ……! はぁぁぁっ!!」

 磯崎の身体が衝撃に曲がり――宙へと舞う!

 しばしの滞空。そして――勢いを失った磯崎はどさり、と地に落ちる。

「……やったか!?」

 宝條が倒れ込んだまま叫ぶ。怜奈も磯崎へと視線を送る。

 真斗も目を離さず、じっと倒れたままの磯崎を見る。

 …………

 しかし……

「ごふっ、ごはっ! くっ……くふふふふふっ……」

 ――! よろよろと――血を吐きながらも、磯崎は立ち上がる!

 しかし、もはや足元はおぼつかない。かろうじて立ち上がったといった印象だ。

「もう終わりだ、磯崎!」

 真斗が言い放つ。

「……終わり? 終わりだと……? お前は何か大切なことを忘れているな……」

 磯崎はうつむきながら、低い声で言う。その口元には不敵な笑みが浮かんでいた。

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