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勇者と魔王~2人で始める国創り~  作者: 黒猫庵
第2章 神の大地と自由への解放
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焔の獅子と氷の狼 Ⅱ (side:ザイン)

皆様、お久しぶりです。

1月に再開するつもりが3月になってしまいました…(;´Д`)

相変わらずのポンコツで申し訳ありませんm(_ _)m


さて、再開にあたって2章に2話程追加致しました。話の背景を語る為の話に一応なります。宜しければこちらもお楽しみください。

フォルティスからの挑戦を受けた後、選手控え室に移って準備を整え、闘技場に向かう途中の通路で夜宵が待っていた……純白のドレス姿で。


「………夜宵?その格好は…」


先程までとは一転した装いに戸惑いながら問う。


その手の事に疎い私でも解るほどに繊細で美しいレースを全体に(あしら)ったドレスは、上半身はくっきりと身体のラインを強調しつつも首から胸元、背中、腕にかけてをレースのみで覆い、更に膝丈のスカート部分に幾重にも薄布を重ね、右から左、後ろへと向かって人魚の尾の様に丈の長さを変えることで優美だが動きを阻害せぬ様にデザインされていた。スカートから覗く足もレースで包まれており、長い髪は丁寧に編んで結い上げて白い大輪の花が飾られ、顔は薄いベールに隠されている。かなり大胆なデザインだと言うのに肌の露出は驚くほど少なく、逆に清楚さを際立たせた光の精霊にふさわしい装いと言えたが………夜宵の目は疲れきって光を失い、苦々しく顔をしかめていた。


「……聞かないで…」


おおかた大精霊様方に着せかえ人形にでもされたのだろう、ぐったりとした様子に苦笑を漏らす。


「それで、どうしたのだ?」

「うん、ちょっと報告と激励を…ね。」


深く息を吐いてから夜宵は私を見上げてそう言った。


「マークしていた人達は全員闘技場内に入ったのを確認出来たから闘技場は結界で閉じて、今はモーレスさんと配下の人達に監視をお願いしてる。関係者でここに来なかった人達に関しては、既に捕縛の為に動いてもらってるよ。」

「早いな。」

「こういうのはスピード勝負だからね。」


私が感心したように声を上げると夜宵はふふん、と得意気に笑った。


「とは言ったものの、闘技場を閉じちゃうと後々混乱に拍車を掛ける可能性があるから、本当は避けたかったんだけどね。」

「観戦をしている民には申し訳ないが…逃すわけにはいかない以上、仕方があるまい。」


眉を下げ、溜め息と共に発せられた言葉に溜め息で返すと、夜宵はそうだね、と言って視線下げた。


「もう1つの報告は、フォルティスの事。」


また1つ息を吐き、夜宵は口を開いた。


「フォルティスさんには"渇望の呪爪"って言う呪術が掛かってた。」

「渇望の呪爪?隸属の類いでは無いのか?」

「うん…簡単に言うと、呪詛と隸属と闇系統の魔術を複合的に使って人工的に魔獣を作って使役するための呪術なんだけど…」

「そんな事が…可能、なのか……?」

「理論上はね。」


しかめた顔に嫌悪感が滲んでいた。


「この術は、魔獣に至る過程で瘴気と魔素を急激に対象者に侵食させていくから身体能力は飛躍的に上がるけど、隸属の魔術と瘴気から二重の精神負荷が掛かるから、数日から2週間程度で精神崩壊に至って魔獣に成るの。ただ、術者の方が制御しきれずに食べられたり、暴走事故が多発して成功した例は1度も無い…今はもう廃れた術なんだ。」


夜宵がそれを知っているのは、精霊王様が人族が扱う危険な魔術を一通り叩き込んでくださったからであって、人族の中でも古い古い魔術書にちらりと載っている程度の忘れ去られた呪術なのだとか。


「で、本題はここからね。フォルティスさんは、術を掛けられてから少なくとも半年以上は経ってる。はっきり言って並の精神力じゃない。」


どれ程のものか…私には想像も出来ないが、数日程度で精神崩壊するのが普通だとするならば確かに並の精神力ではないだろう。


「…魔獣に成ったら十中八九とんでもない化物(モノ)になるのは確定だと思って。」

「それは…」

「……………私ね、諦めが悪いんです。」


爪が食い込むほどに握りしめた私の手を見つめた夜宵は、唐突にそう言って強い瞳で見上げてきた。


「それに…後始末をぜーんぶ人任せにして、この戦いが終われば死ぬ気でいるフォルティスさんにも…結構腹を立ててます。」


大きく溜め息を吐き、むすっとした顔でそう言う。


「確かに…腹立たしいな…。」

「でしょう?だから、絶対死なせてなんてあげません!」


私が苦笑すると、夜宵もにっと笑った。


「だから、呪術の事は私に任せてザイン様はフォルティスさんとの戦いに集中してくれて大丈夫なので!」


えっへん、とばかりに胸を叩いた夜宵の姿に心を覆った暗雲が晴れた気がした。


「……その言葉に甘えさせて貰うとしよう。」

「ただ、一応…一番危険に晒されるのはザイン様だから十二分に注意してね。」

「わかった。」


差し出された拳に拳をぶつけ、私は舞台へと足を踏み出した。







『実に30年ぶりの再戦!しかも、個人戦優勝者のフォルティス選手が挑戦状を叩き付けたとあって、観客の興奮度も今大会最高潮!さぁ、さぁ、さぁ!!!野郎共!両選手の入場だあぁぁっ!!!』


ざわついていた闘技場は、選手の入場に会場を揺らす様な大歓声を上げた。


『アイスブルーの髪に銀の瞳の冷たい美貌、鍛え抜かれた体躯と冴え渡る技に犬系乙女のみならず野郎共も熱い溜め息を溢す!!東ゲートから入場は、今大会個人戦優勝者、氷の狼フォルティス・グラキエスーー!!』


狼牙族からの声が大きいのか、黄色い声に混じって雄叫びの様な声援がフォルティスの名を叫びながら上がる。


『狼牙族を代表する"冷徹のグラキエス"一族を率いるこの男、ザイン王に敗北した後に狼牙族代表の座を返上し、失意の中失踪したとの噂を今大会、拳をもって払拭した!!はーたーしーてーっ!!爪を研ぎ、虎視眈々と狙ってきた勝利をその手に掴むことは出来るのかーーーっ?!』

『対するはぁーー!!!純白の鬣に漆黒の体躯!勇猛果敢、疾風怒濤の獅子族において、稀すぎる焔の属性スキルを有していながらも戦いを嫌い、かつては臆病者と蔑まれたこの男が奥方を得るために獅子奮迅の戦いを見せたのは既に語り種!!お迎えしましょう!!!西ゲートから入場は、ラウルス最強の王者!焔の獅子ザイン・フィロソフスぅーーーー!!!!!!』


地響きの様な歓声を上げる観客に中央に向かいながら視線を巡らせば、上手く警備に見せ掛けたモーレスの部下が対象の側に複数人配置されているのが確認出来た。相手は族長クラスの実力者ばかりだが、任せて欲しいと強く言った息子(あれ)に全権を委ねた事に後悔はない。


『玉座の防衛は史上最多の3度!王になった後も部族対抗武闘会は勿論の事、公式、非公式に限らず1度たりとも敗北は無し!まさに絶対王者っー……はい?はい、えー…只今、ザイン王より声明が……な、なんとっ!この戦いに敗北した場合、ザイン王は玉座を降りるとの宣言がなされましたーっ!!!!』


更なる歓声が上がる中、相対するフォルティスがぐっと眉根に皺を寄せたのが見えて僅かに自身の口角が上がるのを感じた。


「早まった事を…」

「なに、この程度の覚悟は無くてはと思ってな。」


互いの声が届く中央で向かい合い、そう答えればフォルティスは更に顔をしかめた。


「それに…お前は命を掛けているのだ。掛け金としては安かろう?」

「ザイン!」

「フォルティス、私は玉座を降りるつもりはない。故に、これは勝利宣言だ。」


ぎりりと奥歯を噛み締める音が聞こえる気がした。


『会場の熱気は最高潮!両者の闘志のぶつかり合いが既に始まっているぞぉーー!!』

『どのような戦いになるのか、非っ常ーーに楽しみです!!それでは参りましょう!!』

『『試合開始ぃっ!!』』


前書きの続きになりますが、ゆるゆる全体を見直しながら進めるつもりなので、相変わらずの不定期にはなりますが、長く生暖かい目で見てくださいませ。どうぞ宜しくお願いします。


◇変更点◇

①勇者と魔王以外視点の話にsaid:○○と付けることにしました。

②物語の主軸に関係の無い話を"閑話"とすることにしました。

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