ご主人様、おじさんを助けて(said:フェンリル仔狼)
気がついたら真っ暗で、とってもとっても冷たい場所にいたの。ついさっきまで森の中でおじさんに遊んでもらってたはずなのに…なんでだろう?
遠くからお父さんとお母さんの悲しそうな声が聞こえて、僕達はここに居るよ!って叫びたかったけど、体が冷たくて、声が出なくて、悲しくて、悲しくて…暗闇に僕達が溶けてしまいそうになった頃、誰かの温かい手が僕達を撫でてぎゅって抱き締めてくれたの。
ビックリして目を開いたら、目の前に真っ白な髪のお姉ちゃんが居た。僕達にはすぐに解ったよ!このお姉ちゃんが僕達のご主人様だって!
「お父さんとお母さんの所に行っておいで。」
ご主人様が僕達を優しく撫でてそう言ったから、僕達は元気よく返事をしてお父さん達の所に走っていったよ。お父さん達は顔をぐしゃぐしゃにして泣きながら僕達をぎゅうぎゅう抱き締めた。
なんでそんなに泣いてるの??
首を傾げる僕達に、お父さん達はただただ嬉しそうに笑ってた。
その後、ご主人様に遊んでほしくておじさんにするみたいに飛び付いたらご主人様が倒れちゃって怒られたけど、ご主人様は僕達をわしゃわしゃ撫でてくれたの。
そうだ、おじさん。
ご主人様がお城に行っちゃってから僕達はおじさんの事を思い出したの。森の奥でしゅぎょう?をしてて、行くといつも僕達と遊んでくれて、おやつに干し肉とかくれる優しいおじさん。そのおじさんが、あの日はすっごく苦しそうだったの。
何日かして、夜にご主人様があわてて森に来て僕達を呼んだの。だから、僕達はご主人様にその日の話をしたんだ。
「………じゃあ、そのおじさんが目をふさいだ後、気が付いたら暗い冷たい場所にいたのね?」
うん、そうだよ。
「…………。」
僕達が元気に答えると、ご主人様もお父さんもお母さんも怖い顔をして黙っちゃったけど、僕達はご主人様にお願いしたの。
おじさんを助けてって。
「助けて?どうして?」
あのね、あのね!おじさんいっぱい泣いてたの。
すまない、すまないって何度も何度も謝ってたの。
すっごく、すっごく苦しそうだったの。
だからおじさんを助けて!ご主人様!!
僕達はご主人様の周りをうろうろしながら一生懸命お願いしたの。そしたら、ご主人様はお父さん達を見てから膝を付いて僕達をぎゅってしたの。
「分かったよ。おじさんは私が必ず助ける。」
本当?
「うん、約束。」
本当に本当?
「本当に本当。」
わーい!ご主人様大好きーー!!って飛び付いたら、ご主人様が後ろに倒れちゃってまた怒られた。
ご主人様が約束してくれたから、きっと大丈夫だよね?きっと…また遊べるよね?おじさん。




