勇者、デザイナーズ物件を所望します。
「ありがとうございます!」
嬉しさのあまり、ネイサンさんの手を握ってぶんぶん振っていると苦笑しながら落ち着いた声が掛けられた。
「それで、私への依頼は何でしょう?」
「はっ!すみません、つい興奮して…」
またこほん、と咳払いをして座り直す。
「オリヴァーさんにお願いしたいのは、ぶっちゃけ築城です。」
「城、ですか。」
「はい。実は、魔王城…この間の戦いで半壊してまして。」
「取り壊して新しい城を、と言うことでしょうか。」
「そこは、彼に任せようかなって思ってます。」
視線を向けると、ルークスは不思議そうに首をかしげた。
「元々、ルーのお城だし…修復するか、取り壊すかはルーに任せるよ。」
「取り壊して新しい城を建てる方が良いだろう。」
「……良いの?」
「別段、あの城に思い入れは無いからな。」
寧ろスッキリする、とルークスは笑う。
「なら良いけど…すみません、オリヴァーさん。」
「話はつきましたか?」
「はい、新しいお城を。受けて頂けるでしょうか?」
「城、城ですか……良いですね、ロマンがありますね。」
ふふふ、と笑ったオリヴァーさんは"私も建築バカですね"とネイサンさんを見ながら笑った。ネイサンさんも苦笑している。
「お嬢さん、どんな城がご所望でしょうか?」
「……強いて言うならデザイナーズ物件、でしょうか?」
「それは…私の好きなように建てて良い、と?」
「はい。」
「………最低限の要望はありますか?」
「最低限…ルーは何かある?」
ルークスと2人顔を見合わせて、うーん…と唸りながら考える。
「華美過ぎなければ良い位か。」
「後は、最低限お城としての機能があれば良いと思いますけど…」
「これはまた、私の技量を試される難しい依頼ですね。」
オリヴァーさんは苦笑しながらも腕がなります、と言ってくれた。
「依頼を受けていただくにあたって必要な物とかありますか?」
「異世界の建築に詳しい方を紹介して頂きたいのと、建てる場所を直接見せて頂きたい、位でしょうか?」
建て方や素材選び等が地球とは違うだろうし、土地柄を見て設計したい…と言うのがオリヴァーさんの要望だった。
「ねぇねぇ、夜宵ちゃん。」
「ん、何?秋ちゃん。」
「お城って、作るときに魔法使いの人とかに相談したりしないの?あれって結界とかそう言うものでしょう?」
窓から見える王城を指して秋ちゃんは言った。
「…………秋ちゃん、あれが見えるの?」
「うん。ネイサンとオリヴァーも見えるよね?」
「どれの話だ?」
「あれあれ、お城を覆ってるあのガラスドームみたいなやつ。」
「あぁ、あれは魔法的なものでしたか…ファンタジーですねぇ。」
窓側に集まって3人がわいのわいのと話している。
「もしかしなくても、3人とも結構魔力高かったりするかな。」
「目視で見えるなら、それなりには高いだろうな。」
結果だけ言うと、3人は魔力量だけなら魔法を得意とするエルフに匹敵する位多かった。異世界人への祝福ってやつ…なのかも知れない。
「じゃあ、僕達も魔法使えるの?」
「多分、ね。とりあえず、それはまた後にして…ルー、私はお城に関してはあまり詳しくないんだけど、普通はどうなの?」
「私も城の建築には関わったことが無いが…魔法障壁は勿論だが、兵の訓練所等は物理、魔法両方の障壁が幾重にも張り巡らされていた。」
管理を担当していたのは、あの銀髪メガネの魔術師…宰相さんだと言う。
「あれは、そう言った事に詳しかったからな。」
「…その人は、夜宵ちゃんが倒しちゃったの?」
「あー…うん。」
「夜宵ちゃん達みたいに生き返ったりしないの?」
「それは…難しいかなぁ。」
私達は、あくまでも神様が私にくれたチートスキルがあったからこそ生き返ったのだから。
「じゃあ、やっぱりそう言うのに詳しい魔法使いの人を探すしかないかぁ。」
「アストルムの王にでも訊ねてみるのが良いかもしれないな。」
ルークス達の会話を聞きながら、私は考え込んでいた。何か、こう…どこかで……生き返る?いや、違う…宿る、そうだ!魂が、宿る…!
「思い出した!」
勢い良く立ち上がった拍子に、ガタンっと音を立てて椅子が倒れた。
「ルー、宰相さんと赤髪の剣士さん、生き返せるかも…!」
会議はまだ続きます(;´∀`)




