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勇者と魔王~2人で始める国創り~  作者: 黒猫庵
第2章 神の大地と自由への解放
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勇者、三度目の事情説明をしました。

秋ちゃんと再会した翌日…目を覚まして悲鳴を上げなかった私をどうか褒めて欲しい。


起き抜けに悶絶しそうなイケメンボイスとか、本当に心臓に悪いので止めて欲しい。バクバクする鼓動と、頬が赤くなるのを抑えながら悲鳴を飲み込む。


だって、私が寝惚けてルークスの服を掴んじゃったせいだし…。


何とか平静を装って挨拶を交わし、ルークスが部屋に戻ったところで着替え、部屋の外で合流したのだが…何でかすっごい笑顔の秋ちゃんに、ルークスが詰め寄られてた。


疑問に思いつつも、ルークスとシリウス、レオニス、秋ちゃんにネイサンさん、オリヴァーさんと連れ立って1階の食堂で朝食を摂って、1番広い秋ちゃん達の3人部屋にお邪魔した。


「えっと、先ずは…自己紹介かな?」


ベッドや椅子に腰掛けて、私は声を上げた。とはいえ、実は問題が1つある。ルークス、シリウス、レオニスは地球(あちら)、ネイサンさんとオリヴァーさんは異世界(こちら)の言葉が解らないのだ。正確に言うと、ネイサンさんとオリヴァーさんは自力で習得した秋ちゃんに習ってる最中らしく、片言でならとの事だがリスニングは苦戦中だそうだ。申し訳ないが、秋ちゃんに通訳として頑張って貰おう。


………因みに、私は神様から"他言語理解"のスキルを貰ってるので聞く、話すは問題がなく、地球の外国語にも対応している。但し、文字は別で四苦八苦しながら覚えました。


「じゃあ、先にネイサンとオリヴァーを紹介するね。」


ぱちん、と手を叩いて秋ちゃんが応えた。


「こっちの栗毛の彼がネイサン・フゥファニィ。職業はパティシエ……えっと、菓子職人で合ってるかな。でも、一通り料理は作れるそうだよ。」

「ネイサン・フゥファニィ、言う。ヨロシク。」


話さなきゃ身に付かないから、と秋ちゃんに促されてたどたどしく言ってネイサンさんは頭を下げた。


「で、アッシュブロンドの彼はオリヴァー・フォーサイス。職業は、建築家。古典建築が得意って言ってたかな?」

「オリヴァー・フォーサイスです。よろしく、オネガイシマス。」


オリヴァーさんはやんわりと頭を下げて挨拶してくれた。英国紳士って感じ。因みに、ネイサンさんがフランス人で、オリヴァーさんがイギリス人である。


「一応、僕も。朽木 秋冬です。秋冬って呼んでね?職業は…………旅人、かな?今は、行商人をしてるよ。夜宵ちゃんとは、幼なじみになるのかな?」

「ほぼ家族、だけどね。」


2人して肩を竦める。


「じゃあ、次はこっちだね。えっと…」


私、ルークス、シリウスとレオニスの順番に紹介し、握手を交わした。


「で、早速だけど…夜宵ちゃんの事情を聞いても良い?」


腰を落ち着け直した所で秋ちゃんが切り出した。


「うん。まぁ…ざっくり言うと、私が元勇者でルーが元魔王なんだ。」

「「「…………。」」」


ざっくり過ぎるくらいざっくりと説明すると、3人はぽかんとした顔をして固まった。最初に再起動したのは、やっぱり秋ちゃんだった。


「えっと…待って?夜宵ちゃん。勇者って3年くらい前に召喚されて…最近、魔王と刺し違えて死んじゃったって聞いた気がするんだけど…その勇者と魔王?」

「うん。」

「…じゃあ、あの報せはデマってこと?」


無意識の内に強張った顔をした秋ちゃんを見つめて、首を横に振る。


「デマじゃないよ?」

「刺し違えた訳ではないがな。」


横からルークスが言葉を添えてくれた。


「じゃあ…」

「ルーを殺したのは私。だけど、私はルーじゃなくて仲間に殺されちゃったの。」


で、神様の祝福でもらったスキルで2人で復活した、と苦笑しながら言うと、秋ちゃんは泣きそうな顔をした。


「そんな顔しないで、秋ちゃん。」

「だって、そんな…」

「気持ちの整理はもう付けたし…それに、このまま泣き寝入りする気も無いから。」


にっこりと笑う。


「復讐、するつもり。その為に今魔王領を国として興して足場にしようとしてるんだ。」

「復讐って、何をするつもりなの?」

「最終的には、戦争になると思う。」


はっきりと言うと、3人は一斉に顔色を変えた。仕方がないとは思う…現代の地球で、特に日本で戦争と言うものはテレビの向こうや歴史の教科書の中の出来事だ。


「なるべく規模は抑えるつもりだけど…」

「…………僕は…」

「秋ちゃん?」

「僕は、反対。」


しん…と静まった部屋に秋ちゃんの声がやけに響いた。


「……そっか。」

「秋冬、夜宵は…」

「反対、だけど…だけど……ごめん、自分でもこんなに怒ってるの初めてで、何て言って良いか解らない。」


私をフォローしようとしたルークスの声を遮って、秋ちゃんは震える声でそう言った。


「……………怒ってるの…?」

「当たり前でしょう!家族を傷つけられたんだよ?!」


叫ぶように言って立ち上がった秋ちゃんを見上げながら、ゆるゆると頬が緩んでくるのを感じた。


「よし、決めた!戦争は…反対だけど、僕夜宵ちゃんに協力する!」

2章開始です。

中途半端な感じですが、長くなるのでぶったぎりますww

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