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勇者と魔王~2人で始める国創り~  作者: 黒猫庵
第1章 虚偽と欺瞞の中の真実
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勇者、ふかふかベッドを切望しています。

フードの付いた外套を脱ぎ捨て、ルークスが編んでくれた(魔王、器用過ぎ!)髪を後ろに払い、イベントリから小指の爪程のサイズの濃紫色の魔石を5つ取り出して机の上に置く。


「ラディウス様、彼等のご家族が来たらこっちの水晶を握って待ってる様に言ってもらえる?」


金貨大の水晶を示して言いながら、オウィスさん達呪詛本体を掛けられた5人に手のひら大の、ご家族には金貨大の水晶を握らせる。


「少しでも多く本人の魔力に触れてた方が、呪詛を移しやすくなるから。」

「解った。悪いな、任せきりになって。」

「私自身、無関係じゃないから。」


にこりと笑い、オウィスさんの左胸に手を当てると、解析の時と同じ様に三層の魔法式が浮かび上がる。ここからは、一瞬も気が抜けない…僅かでも間違えば、精霊さんが死んでしまう。


一層目、感知と偽装の精霊魔法式。

二層目、供給と連動の魔術式。

三層目、隷属と束縛と呪詛の混合魔法式。


弄るのは、二層目の魔力供給の"内蔵した精霊"の部分を魔石に変換するのだけなのだが、この作業がとんでもなく難しい。


本来、解呪というのは解呪の魔法式をぶつけて相殺するのが一般的で、それだって呪詛の魔法式を正確に読解いて行わなければならない高等技術と膨大なの知識を必要とする。魔法式は精密機械と同じ様なもので、文字1つ、紋様1つが欠けてもエラーを起こす。発動しなかった程度なら良いが、暴走事故が起きることも多々ある。故に、既に発動してる魔法式を書き換えるなんて事は、自殺行為に他ならない。


では、どうするかと言うと…心臓手術で使う人工心肺のような魔導具を使う。つまり、"内蔵された精霊"の部分に同じ記述をした魔導具を接続して目的部分の魔力を遮断、記述を慎重に消して書き直し、代替となる魔石を接続して魔導具を外し、精霊さんを回収する…正に外科手術だ。


「さて、やりますか。」


魔石、魔導具に加えて細かい記述をするためのペン型魔導具を2本取り出して作業を始める。


魔導具は栞位のサイズの板状の物で、透かし彫りで紋様を描いた金属製の板に薄く切り出した魔石を重ねてある。金属製の方が魔力を滞りなく流す為の外部動力用で、魔石の方は取り出す魔法式を記述する用だ。


「魔力は…ちゃんと通る、ね。」


魔石にペン型魔導具で"内蔵された精霊"と記述して自身の魔力を流し、きちんと流れることを確認してから板を口に咥える。板の左右に下がるリボンの先に付いた針を深呼吸をしてからそっと遮断する部分へと射し込み、外部動力用の金属板の方にゆっくりと魔力を流していくと、針に挟まれた部分の魔法式が光を失った。これで一段階完了だ。


魔力が通ったことで無事に固定されたリボンから手を離し、ペン型魔導具を手に取る。どちらも同じ物だが、片方は魔力を充填済みで片方は空にしてあり、充填機能を使って魔法式の魔力を吸い取って記述を消すのだ。


右手に空のペンを持ち、慎重且つ正確に文字をなぞる様にして消していく。同時に左に持った充填済みのペンで新たに"外部接触した魔石"と記述していく。


額や背中を汗が流れていくのを感じながら、作業を進めること約1時間…やっとのことで最後の文字を書き終えてペンを置き、用意した濃紫色の魔石を書いた上に乗せ、魔導具に流す魔力を絞っていく。


書き直した記述と魔石に光が灯った。


「出来た!」


万歳して声を上げると、周囲から感嘆と歓声が上がって飛び上がりそうになった。気がつけば、他の4人のご家族が到着していて中々の人口密度になっていた。


「……呆けてる場合じゃなかった!」


慌ててオウィスさんの体に手を当てて、そっと精霊さんを引き上げると、周りから息を飲む気配がした。精霊さんは魔石に閉じ込められた状態だった。


「……魔石からは…出せそうに無いかな…。」

「出せない、とは…」


顔をしかめて呟くと、クラヴィスさんが心配そうに聞いてきた。


「力を奪われ過ぎて、出したら姿を保てずに崩壊する。」

「そんな…!」

「だから、力がある程度戻るまで私が抱えるよ。」


魔力も有り余ってるし、何よりも精霊さん達(彼等)にとって私の魔力は美味しいらしいし。


「大丈夫なのか?」

「心配ないよ、馬鹿みたいに魔力はあるから。」


にこりと安心させるように笑って精霊さんを魔石ごと体の中に入れ、気合いを入れ直して呪詛を丸ごと形代である水晶に移す準備を始める。


手順としては、水晶を呪詛を掛けられた人物の魔力に馴染ませ、闇の魔法で本人の影から分身体を作り上げて、水晶を核にして本体と出きる限り同調させることで呪詛を完璧に分身体へと移し、水晶の形代に封じることが出来る…術式自体は先程よりは難しくないが、分身体の生成と同調に時間が掛かるのが難点だ。しかも、今回は呪詛を掛けられた本人と、呪詛に連動する術式を掛けられた人質の方々を同時に引き剥がさなければならないというオマケ付だ。


「気は重いけど、頑張りますか…」





全員の呪詛の解呪が完了したのは、東の空が白み始めた頃になった。


「……………ルー…」


部屋に満ちた歓声とは裏腹に、ぐったりとした声でルークスを呼んだ。


『頑張ったな、夜宵。』

「…………まだ、終わってない…」


そう、まだ解呪はアストルムの分しか終わっていない。ラウルス、サフィラス、カエレスエィス、更には中小国も加わってくる可能性が高い。


『………手伝うか?』

「お願い…」


泣きそうになりながら、フラフラと立ち上がる。


「うぅ…折角のふかふかベッドがぁ~…」

『残りの日数はキャンセルだな。』


苦笑するルークスの声にガックリと項垂れしかなかった。





結局、そこからルークスとアーテル様、グラース様に協力してもらって解呪に当たり、丸々2日を費やすことになった上に事後処理に追われることになり、私はふかふかベッドと温泉を堪能することは叶わなかった(泣)

1章の終わり…としては、なんだか訳が解らない感じになっちゃったので、もう何話か入れて1章を締め括ろうかと思います。


しかし、説明文が殆どな話になっちゃいました……解んねぇよ!(#`皿´)ノ

等ありましたら、遠慮なくどうぞ…(;>_<;)

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