勇者、ギルドに赴きました。
ブクマが100を超えましたー!
本当にありがとうございます。
更新がどんどん遅くなってて申し訳ないです(-_-;)
が、頑張ります!拙い文章ではございますが、これからも宜しくお願い致します。
ざわざわと行き交う人の多さに、シリウスやレオニスだけでなく、ルークスまでもが驚きを隠せずにいる。
3人とも、口が開いてますよ。
竜王国アストルム。
代々竜人が王を務める多種族国家で、世界的には一番歴史が浅い国ではあるが、世界で一番栄えていると言っても過言ではない。交易が盛んで、アストルムで揃わない物は無いと言って良い。だが、この国が一番優れている所は種族に対する隔たりが殆ど無いところだ。それは国の中枢も例外ではなく、能力さえあれば手厚く重用される。だからこそ人が、物が集まるのだ。
「3人共、いつまで口開けて呆けてるの?」
3人同時に慌てて口を閉じるのを見て、クスクス笑いながら歩き出す。3人は興味深そうに辺りをキョロキョロしながら後ろを付いてきた。
「そんなキョロキョロしてると迷子になるよ?」
今居るのは、アストルムの王都アエスタス。アストルムの中でも最大の交易都市だ。しかも、店が開き始める時間帯な事もあって辺りは人でごった返している。はぐれたら暫く会うことは叶わない、ニヤリと笑って言うとシリウスが私の手を、レオニスがルークスと手を繋いで、更にお互いの手を繋いだ。完全に親子状態である。
「どこへ向かうんだ?」
「先ずは、冒険者ギルドに登録して身分証になるギルドカードを発行して貰うつもり。」
「身分証?」
都市に入る際にはどの国でも身分証の提示は必要だ。先程、街門を通る時には仮の通行証を発行して貰ったが、仕事を請け負ったり依頼したり、国の施設を利用するには正式な身分証が必要になる。そこで、一番容易に手に入れられる身分証がギルドカードである。ギルドは主に2種類、冒険者ギルドと商会ギルドで、アストルムでは殊更戸籍管理がしっかりしているので、国から身分証が発行されるが、他国だと使い勝手が良いためどちらかに登録する者も多い。外部からの移住だと役所に届け出ると身分証は貰えるが、手続きにえらい時間が掛かるのも要因だろう。
ギルドカードには、経歴や能力、ランク、討伐又は売買記録など様々な情報が登録される。勿論ある程度秘匿することも可能だ。
「そ、あると何かと便利だからね。」
「「冒険者ギルド…」」
「私も更新しなきゃいけないしね。」
私のギルドカードは、勇者の時のままなのだ。
「ところで…何故変装している?」
私は現在、幻惑の魔法で角を消し、眼鏡を掛けてフードを被っている。アストルムでは、竜人は勿論半魔自体は…実は、そんなに珍しくはない。なのでルークスやシリウス、レオニスはそのままの姿だ。では、何故を変装しているのか…答えは簡単なことだ。
「勇者として顔が知られてるからね。角が生えたり、髪色が変わったりしてるし、冒険者もしてたから大丈夫だとは思うんだけどね。」
「一応、死んだのだしな。」
悪戯っぽくルークスが笑う。
「ま、用心に越したことはないからさ。」
苦笑を返す。
そんな風に話ながら、迷うことなく冒険者ギルドに着いた。大通りに面した冒険者ギルドは、世界共通で青いタイル作りの建物だ。看板などなくても直ぐに解るようになっている。勿論商会ギルドも同じで、商会ギルドは緑のタイル作りである。アエスタスの冒険者ギルドは、所謂総本部で一際大きく、4階建ての立派な造りになっている。
盾と剣が描かれた両開きの扉を押し開き中に入ると、中は冒険者でそこそこ賑わっていた。
円形の巨大なホールの奥寄りに大きな柱があり、その周りにカウンター、左側には依頼が所狭しと張られた掲示板、右側には併設された食堂兼酒場に繋がる扉がある。
私は、空いているカウンターを探して列に並ぶ。
今は冒険者達が依頼を受けるために混み合うピークの時間は過ぎているため、それ程待たずにカウンターにたどり着いた。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。」
「すみません、ギルドマスターって居ます?」
「ギルドマスター、ですか…?」
受付嬢は、訝しげな顔をする。
「呼んで頂けると助かるんですけど…」
「はぁ……あ、ギルドマスター!」
未だ怪しんでる様子の受付嬢が私の後方へと声を掛けた。
振り返ると、今入ってきたのか入口辺りに長身でがたいの良い…いや、ゴリマッチョに限りなく近い灰色の狼の獣人が呼び声に気付いて大股でこちらに来た。
「おぅ、どうした?」
「こちらの方が、ギルドマスターに御用があると…」
「うん?」
私を鋭い目付きで見下ろすゴリマッチョと視線が合った瞬間、私は拳を繰り出した。パァンッ!と言う音と共に辺りに衝撃波が拡がってあちこちで声が上がった。
今回は、少し短めです…実は、もう少しと言うか3倍位あったのですが…切る所が無くなっちゃって(;´д`)
その代わり、次回は早めに更新できるかと…思います。




