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勇者と魔王~2人で始める国創り~  作者: 黒猫庵
第1章 虚偽と欺瞞の中の真実
17/61

勇者、怒られました。

「ほ、本当に…」

「夜宵ですよ?」


恐る恐る、と言った風のラピス様に笑いかける。


「その姿は…一体、どうしたのです。」

「その説明は、後で。」


そう言って、私は部屋へと入る。

中央に円卓が置かれたこの部屋は、それほど広くはない。

部屋に入れるのが、各国の王だけと言う事もあって広い必要も無いのか、約10畳程しかない。


「そもそも、どうしてここに入って来れた!」


ぐるりと王様達の後ろを通って行く私に、ラディウス様が声を荒げる。


「それは、私達が国主として認められたから、ですね。」


私と、後から入ってきたルークスが、いつの間にか7つに増えた椅子の背に触れると、4人の王様達はぎょっとしたような顔をする。


「とりあえず、説明は後にして…今日は、確認したいことがあって王様達に会いに来たんです。」


私は、手を後ろに遣ってイベントリに突っ込む。

そこから二振りの剣を引っ張り出して、円卓の上へと置く。

更に破損したブレストプレートと本を1冊置く。


「聞きたいのは、唯一つ…王様達は、私の敵ですか?」

「どういう、意味か。」


ザイン様が探るように問うてくる。

その問いに、私は意識的に表情を削ぎ落として口を開く。


「ここにあるものに、見覚え…ありますよね?

魔力喰いの魔剣はラウルスに、神殺しの呪剣はサフィラスに封印されていたもの。このプレートはアストルムで特別に作ってもらったもので、この本は精霊界以外ではカエレスエィスにしか存在していない。」


王様達は、困惑した顔で私を見ている。


「全部、私を殺す為に使用されたものです。」

「誰が…!」


真っ先に驚きを示して席を立ち上がったのはミセリア様だった。


「皇子達、ですよ。」

「仲間に殺されたと言うのか。」


ラディウス様が声に怒りを滲ませる。


「待ってください、だとしても…その本を持ち出すのは不可能です!」

「持ち出す必要はありません。必要な(・・・)箇所を閲覧出来れば良いんですから。」


ここにあるのは精霊界から借りたものです、と告げればミセリア様は頭を抱えて椅子に座り込んだ。


「封印されてたはずの二振りの剣、禁書指定の本、信頼の置ける職人以外が介入するはずの無い防具…一体、どういうことでしょう?」


つらつらと項目を連ねると、王様達の表情が強ばっていく。

私は、敢えてにっこりと笑って口を開く…


ずびしっ!


「あいたっ!…痛いよー何するの、ルー。」


チョップをされて振り返ると、呆れ顔のルークスが私を見下ろしていた。


「いつまで悪役に浸ってる。」

「あれ、バレてた?」


テヘペロ♪


「王達が困ってる。」

「ごめんなさーい。」


無言で椅子から立ち、ラディウス様がこちらに来た。


ごちんっ!


星が飛び散る位、思いっきり拳骨で殴られました。


「いったーぃ!!」

「お前、俺達がどれだけっ!!」


更にこめかみをぐりぐりされて、痛みに悶える。


「質の悪い冗談ばかり言いやがってっ!」

「死んだのは本当だもんーっ!!!」


ぴたりとラディウス様の手が止まった隙をついて逃げ出すと、ルークスの後ろに隠れた。


「………本当なのか…?」

「ゼノに調べさせたんでしょう?」

「…だが……」


今の流れのせいで冗談だと思われたらしい。

悪のりするんじゃなかった。


「裏切られて、皇子達に殺されたのは本当。」


1ヶ月死んでいた。


「王様達にも裏切られたかもって思ったのも本当。でも、顔を見れば王様達がしてないって事は、直ぐに判った。」


悪のりしてごめんなさい、と頭を下げる。


「はあぁ~……」


ラディウス様は溜息を、他の3人の王様達は苦笑した。


「君に、もう一度会えて嬉しく思う。」

「妾もじゃ、夜宵。」


ザイン様とラピス様が優しく微笑んでくれる。


「経緯はじっくり聞かせて貰いましょう。」


ミセリア様は、どこかほっとした顔で笑ってくれた。

ラディウス様が、今一度溜息をついた。


「まぁ、なんだ…お帰り、夜宵。」


更新遅れましたー(>_<")

寝落ちしたら、データが飛んでしまいました。

途中保存、大事…です。


なんか、コントみたいな感じになって…話が先に進んでない上に、王様達の外見の説明が皆無…!

次話に回します…。

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