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勇者と魔王~2人で始める国創り~  作者: 黒猫庵
第1章 虚偽と欺瞞の中の真実
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勇者、協議しました。

運ばれてきたお茶に口をつける。

朝とは違う、果実の甘酸っぱい香りと味のする紅茶だった。

3人各々が1人掛けのソファーに腰を落ち着け、改めて本を開いて真ん中のテーブルに置く。


「そもそもね、ダンジョン自体は後付けの…瘴気を浄化する為の機構なのよ。」


ダンジョンに満ちる瘴気は、ダンジョン内部の魔獣を倒すことで徐々に薄れて行く様になっている、とルシオラ様は教えてくれた。


しかし、魔王領は神が住む場所だったことで人の手が入らなかったことと、封印早々に他とは比べ物にならない位の瘴気が満ちてしまったことで、ダンジョンは放置されっぱなしになってしまったらしい。


「確かにな…我々の中にも武器や宝物を得に潜る者は居たが、ごく一部だったな。」


まあ、むしろ仲間を増やしてくれるし、瘴気の濃さも力に反映されるしね。


「じゃあ、ダンジョンを攻略して行けば魔王領は…」

「元の清浄で、恵み豊かな神々の住まう大地に戻るでしょうね。」


そうしたら、土地を育てるのも手伝ってあげられる。

ルシオラ様がにっこりと笑った。

つまり、そこを拠点にすれば良い…と言うのがルシオラ様の意見だ。


「そうなると…もう、国として興さねばならなくなるな。」

「うーん…」


国として…そこまで考えるとなると、私には少々荷が重い。


「貴女達が統治するにしても、誰かに任せるにしても…取り敢えずその事は後になさい。」

「……うん、だね。」


取り敢えずは、自分達のレベリングも含めてダンジョンの攻略が先だ。なんたってレベル1だしね。

だけど、心配事もある。


「瘴気が浄化されていく、として…外から介入されないかな?」

「人間共は…来る可能性が高いわね。」


うーん…と3人で唸る。

魔王を倒したのだから、と占有権を主張してもおかしくない。


「手っ取り早く行くなら、結界を張っちゃう…とか?」

「通常の結界じゃ、大陸丸ごとは無理よ。」

「なら、霧の結界ならどうか。」


霧の結界は迷いの森とか魔の海域とか、ああ言ったものを造り出す魔法の1つで、1度発動すると自分自身で解除するか、自分よりも格上の術者に破られない限り維持し続けられる事が特徴だ。

ただし、発動時の魔力消費は半端ない。


「それなら行けるんじゃないかしら?」

「大陸丸ごと…行けるかな?」

「2人でやれば何とかなるだろう。」


今の魔力量なら何とか行ける…かな?


「じゃあ、対策はそれで決定ね。」


ぱちん、と手を打ってルシオラ様が笑う。


「後は…攻略していく順序かな。」


じっとテーブルの上の地図を見る。

私には瞬間記憶能力が…ある訳じゃなく、スキルとして精密地図作成…所謂マッピングを持っている。

ただ、通常は現地に行かないと更新されないのだが、私の場合他の人がマッピングした地図や書籍、書類等でも情報が更新される特別仕様である。

これが解ってすぐ、現在のだけではなく過去の物までも、地図と言う地図を書庫で漁ったのは言うまでもない。

現在も、恐らく私のマップにはダンジョンの位置、全てが書き込まれている事だろう。


「出来れば沿岸部から攻めたいところなんだよね。」

「何故だ?」

「沿岸部の瘴気が薄れれば、早い段階で転移魔法で他国に渡るようになるからね。」


ダンジョンに潜ると、剥ぎ取ったり、取得したりするアイテムが多かれ少なかれある。

通常は、冒険者ギルドや様々な店で買い取って貰う事ができるが、今回はそうはいかない。

なので、早い段階で瘴気の薄い場所を作りたいのだ。

私が使うのは精霊魔法が主なので、瘴気が濃すぎる魔王領では精霊を呼ぶことが出来ない。


「転移魔法は、魔力消費が激しいものね。」

「大陸を移動するとなると余計にね。」

「なら、東側からの方が良いだろう。」


そう言ってルークスは東の沿岸部を指し示した。


「何で東?」


私が首を傾げると、ルークスは僅かに眉根を寄せる。


「まだ、1ヶ月だ…夜宵が居ないのだから奴等はまだ魔王領を抜けていないはず…」

「………。」


自然と顔をしかめていた。


「無理に、とは言わないが…」

「……うぅん、行く。霧の結界も…張るなら彼等が離れてからじゃなきゃいけないし。」


大丈夫だ、と2人に笑って見せるもルークスに頭を撫でられ、ルシオラ様に抱き締められた。

2人の間に火花が散ってた気がするのは気のせいだろうか?


「取り敢えず、今日は2人共ここでゆっくりなさい。」


ダンジョン攻略に必要な物は一通り用意させるから、とルシオラ様が言って書庫を出ていったので、好意に甘えてルークスと2人まったりとお茶を飲む。


「はー…こんなまったりした日は、暫くないだろうね。」

「確かに、暫く忙しいな。」


そんな事を言いながら、お互い楽しげな笑みを交わす。

誰に縛られる事のない日常が始まるのだ…色々と問題は山積しているが、ワクワクするのも確かなのだ。


「よろしくね、相棒?」

「あぁ。」


2人で笑い合い、穏やかでゆったりとした時間が過ぎていった。


個人的に、すっごくルシオラ様が動かしやすい。

まぁ、世話焼きのオネェとか大好物なだけかも(笑)

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