あ
和隆の日課の1つにチャットにログインすることがある。
同じような悩みを持つものが集まる、メンタル系のチャットサイトだ。
最初はただの暇つぶしにログインしてみたが、妙な居心地の良さからすっかり常連になってしまった。
会ったこともなければ、顔も名前も知らないはずなのに、学校の友人なんかよりも、ずっと気楽に話せる存在なのである。
ロク:一旦落ちますね。またあとで来ます。
いちご:りょうかーい!私はまだまだいると思うからまたあとで話そう!
しらゆき:私も一旦落ちます!!旦那が帰ってきそうなので…(憂鬱)
れおん:またあとでー♪
―ロクさんが退室しました―
ロクと言うのは、和隆のここでのハンドルネーム。
6月6日生まれにちなんだ安易なハンドルネームだ。
「さてと、コンビニでも行って腹ごしらえといくかな。」
薄手のパーカーを羽織り、和隆は外に出た。
最寄りのコンビニまでは徒歩でも5分とかからないのだが、夜風が気持ちよく和隆は散歩がてら少し離れたコンビニへと向かうことにした。
自然と足は何時もの場所へと向かう。
和隆のお気に入りの公園だ。
週末は家族連れでにぎわう大きな公園。
和隆はこの公園で読書をするのが好きだった。毎晩のように課題に煮詰まると本を持って出かけた。
今日は散歩がてらにと公園のいつもの場所へと向かった。
いつものベンチに腰掛ける、コンビニで買っておいたサンドイッチを食べながらぼーと噴水の水を見ていた。