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狼と少女(2)
「…ぅん」
「目が覚めた?」
「…ん、はい、おはようござい──」
「ん?」
「ギャー!?」
「へ?」
思わず絶叫してしまった。
何で?
さっきまで追われてたのに?
目の前にイケメンがいる訳!?
「あわわわわわ」
「あ~っと、落ち着いて」
ていっと、チョップを食らってしまった。
「わわわ…ふぅ。すみません、取り乱しました」
「仕方ないよ。目が覚めて知らない男の顔が目の前 にあったら、誰でも驚く」
「ははは…」
そういう訳では無いのだが。
イケメンが目の前に居たから驚いたのよ…とひとりごちていると、イケメン君が自己紹介を始めた。
「ルージュだ。家の目の前で大男2人と揉めていて 、君が気絶したから助けさせてもらったよ」
「エレナです。助けて頂いて、ありがとうございま した」
「いや、家の目の前だったからというだけで、そん な感謝される程では──」
「いえ、お礼をさせてください!」
「そんなわけには──」
「お願いします!」
「え…と、じゃあ」
ルージュさんが上目遣いで見てくる。
「一緒に、旅をしないか?」
…はい?