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第二話 「乱歩」 (改訂版)

 数週間かがすぎ、美香が睦美に頼んだ事を忘れていたころに、映画のオーディションの話を持ってきた。


 それによると、映画専門学校の先輩がせている長身の女の子を捜してくれと頼まれたけど、それって美香のプロポーションに合うのじゃないかなということだった。


 美香は自分は確かに痩せて長身だから、受けてみてもいいかと思っていると、興味を示していると思われたらしく、睦実はたたみかける様に話を進めた。


 「先輩の話じゃ今度の映画、著作権が切れている江戸川乱歩の『青銅の魔人』という作品をモチーフにした映画を撮影するというのだけど、その登場人物の一人で雪子のイメージだって。彼女の役どころは拉致され青銅の鎧姿で監禁されるそうよ。監督の要望で雪子のイメージに合う女の子を捜しているそうだよ。よかったらあなたどう?」


 江戸川乱歩と聞いて、小学校の時にクラスにあった本棚に古い小説が置かれていた事を思い出したが、読んだことがなかったので覚えていなかった。


 とりあえず美佳はOKを出して、睦美に応募先を聞いた。映画デビューが出来るかもという誘惑に負けて、とりあえず応募書類と履歴書を製作会社に郵送したところ、しばらくして携帯電話に事務所から面接日時を指定してきた。


  美香は面接で必要かもと思い、近所の市民図書館で、その作品『青銅の仮面』を探した。最初は大人向けと思って探したが見つからないので検索したところ、児童文学コーナーにあるとわかった。


 子供がいっぱいいたので、棚から急いで取り出して、閲覧室で読むことにした。それにしてもハードカバーはともかく、字が大きいしルビが振っていた。これはタイトルにあるように少年向きだなと判った。


 だから、大変早いペースで読む事ができたが、驚愕の事実を知ってしまった。

雪子は8歳だった。いま21歳の自分ができるのか? と思った。


 それにしても、青銅の魔人の扮装を考えるとおかしなものがあった。本当に青銅で出来た甲冑ではないと思うけど、そんなので泥棒が良くできるわよね、でも雪子役だとすると、あたしもその甲冑を着ないといけないの? それじゃ私の顔が見えないじゃないの!


 そんなことを考えたが、兎にも角にもそんな心配をするのはオーディションに受けってからだと考え直した。この日は夜からコンビニのバイト当番だった。職場に図書館から借りた『青銅の魔人』を持って行った。するとオーナーから君って変わったモノ読むのねえといわれてしまった。


 

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