18/18
つめたい風
嘘はいけませんだなんて
優しく諭す宗教が
実はいちばんの嘘つきで
あたしはよるべをなくして
つめたいコンクリートの森
さまよっていた夕暮れ
独りぼっち、淋しくて
12月の風
マッチを売る少女
希望の灯火は
何処へ消えた?
子供の頃に飲み込まされた
幸せの正立虚像は
脆く儚く消え去った
あたしはおわりをなくして
ナトリュームランプの並木
さまよっていた黄昏
独りぼっち、淋しくて
12月の風
マッチを売る少女
暖かい暖炉には
もう触れもできない
痛いの。もう耐えられない。
つめたい風が両の手足に
慈悲もなく突き刺さって
12月の風
吹き晒しの少女
あたしはまるで
白鳥になれなかった
醜い家鴨の仔
大丈夫。
あたしはまたあたしに嘘をついた
お久しぶりです。
短編連作の方がかなりのスランプ。鬱だ。