~栄光の談~
本作をご覧いただきありがとうございます。
ついに物語は一つの節目を迎えます。ウィザードとの決戦を経て、勇者が手にした「栄光」と、相棒のゆい君が語る「出張」の記憶。
ファンタジーの世界観と現代のビジネスシーンがどのように結びつき、そして収束していくのか。最後まで、主人公の視点に寄り添って見守っていただければ幸いです。
王様の前で今回のウィザードとの商談の報告をした、数日後。
陛下は、皆の前で私をロイヤルガードに任命した。
だが、断ろう。私は前線で戦いたい。
「いいえ。」
「謙虚さ、結構。引き受けてくれるな。」
「いいえ。」
「謙虚さ、結構。引き受けてくれるな。」
…これ、「はい」しか選べないやつだわ…
「昇進、おめでとうございます。勇者様」
ゆい君の無邪気な称賛の声が耳に残っていた。
これは体裁の良い罰だ。あの時、魔導書を使わずとも、王国の導士を待っていれば、解決した案件だったと、後で聞いた。
営業法務課長の称号が重い。
王様は娘に譲位した。きっと私は小生意気な新女王にこき使われる。
ま、社畜時代より数段マシだけどな。
*唯
初出張、長かった。大型連休が来る。やっと休める。お兄ちゃんに肩もんでもらおうかな。
結局、新製品の仕様書に見合う強度の部品の定期納入してもらう契約は滞り無く進んだ。「誠意を見せろ」と言われて、その場で試作品を分解してみせた先輩の雑さと大胆さ。ハラハラしたよ。
「口外するな」の言いつけ。確かに「口外」はしてないんだけど。
私のデスクからボールペンを勝手に持って行く先輩は今も勇者だ。
あ、引っ越しの準備もしないとだ。やることがいっぱい。お仕事は戦いだ。もう、猫になりたいよ。
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幾多のシーンの断片が、フラッシュバックし、エンドロールが流れ、スタッフの名前が流れていく。BGMが静かに途切れる。
~FIN~
観客が席を離れる。
おかしい。まだ会場が明るくならない。みんな、なぜ気が付かないんだ。
……まだ続きがある。
【あとがき】
最後までお読みいただきありがとうございました。
ロイヤルガード(営業法務課長)への任命という大きな節目を迎えましたが、物語はここで終わりではありません。
エンドロールの後に残された静寂。会場が明るくならない違和感。勇者が見据える「続き」とは何なのか……。




