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~序談~

唯。シリーズの第二弾です。前作「私の変なお兄ちゃん」とは独立して読めるので、未読の方はそちらもどうぞ。


ブラック企業から異世界へと「アイターン」した主人公が、優秀(?)な戦闘メイド・ゆい君と出会うところから物語は動き出します。

勇者視点の格好いいバトルと、どこか生々しい現代の記憶が混ざり合う独特の空気感を楽しんでいただければ幸いです。


暑い。焼けそうだ。

アスファルトで覆われた大地と楽園を生む機械が吐き出す熱風が照りつける日差しと共謀し、都会を人工の砂漠へと変える。

ビジネスシューズの底を溶かし、歩く男が蒸発した。


ぷはっ。誰が書いたんだよ。今どき「蒸発した」とか言わんだろ

…ツッコミを入れつつも、読み進め、ひきこまれ、これは私自身じゃないかと思うようになってきた。

「完全に一致」(w)


…架空世紀1026年 聖公国の隅っこ。

私はいわゆる異世界に転生した。1年ソロで活動した私の最初の仲間は、高度な教育を受けた戦闘メイドのゆい君だった。ちょっぴりおっちょこちょいな彼女と私の冒険が始まる。


成果が上がらなければほぼ法定最低賃金。成果を上げるため、仕事外の付き合いと言う名の残業、接待。

はじめの数年は、やればやるだけの見返りと喜んで自ら沼にはまり込んだ。気がつけばどうもがいても抜け出せない。私は、疲れてしまった。何処か遠くへ行きたい。

「今日は、早退で直帰します」

プッ

返事を待たずに電話スマホの電源ごと切った。


そのまま帰宅の電車に揺られていたはずが、目を覚ますと知らないところにいた。



私はこの異世界で生きてゆく。異世界転生、アイターン。


そう決めてから1年、まずは自分の実力を世界に示すためソロでやってきた。

「星屑の勇者」という通名もそろそろ浸透し始めてきた。

転生チートはある。世界そのものが違うんだ。私はそれを冷静に分析するために、先代勇者たちの足跡をあえて無視し、ソロを貫いた。でも、そろそろ良いよね。業界ルールも概ね解ってきたし。


地上に設けられた洞窟の扉。新人冒険者の適性を測るための通称0階層。

基本初心者でも危険は少ないはずだが、ときとして最下層ボスクラスの権…魔力を持つ存在も目撃されるという。


私にふさわしい新人の相棒を、見つけるため、0階層に足を踏み入れる。


初々しい面々と指導者となる中堅たちが並ぶ。私はそのどちらにも属さない。

ざわざわと新人同士で話している。


「今どき強制参加の飲み会とかどうかと思う…」

「タダメシはなんでもうまいから良いじゃん。」


石化能力の無いレッサーコカトリスとグリーンゴブリン、レッサーオークそしてアシッドスライム。どの魔物も、楽勝だ。


一体ずつ確実に怪物の体勢を崩し、戦いを、味わう。私の体調も悪くない。


あの新人、なかなか気が利く。支援魔法を前線から順番にかける。そして、何より笑顔がいい。

「そちら、ポーション切らしてますね。回復魔法、いきます。」


少しぎこちないが、それが微笑ましい。

「戦闘メイドのゆいさんですよ。レベルの割に高スペックですね。」

私の横で共に前線を維持する老戦士が呟いた。


それを横目で見ながら、私の剣は獲物の魔物を喰らい、飛び散る魔物の血と肉片が私を酔わせた。

ゆい君の戦闘スタイルは独特だ。一見給仕用のお盆に見えるラウンドシールドは、盾であり、投擲武器でもある。強いて言うなら某キャプテン。

スカートの裾がヒラヒラと…しない。何でできているんだ?


「流石、勇者様。戦い慣れしてる」


フッ。転生前の職場のストレスを思い出せば、こんなの何でもない。ほぼ徹夜の連続接待、地獄の残業と比較。余裕も良いところだ。


「流石です。勇者様、良い飲みっぷりです。」


いくら敵が弱いとはいえ、連戦すれば疲弊する。まだ若い英雄の卵に負担をかけてはならない。その思いが率先して前線に立ち、魔素を浴び続けたのかもしれない。気が付かない内に私は千鳥足で歩いていたようだ。おのれ、分身の術…れ?

私はまさかの戦闘不能になった。無事町帰還できたのはゆい君のタク…送迎魔法のおかげだったのだろう。


*唯

新入社員歓迎会の名目での社内親睦会。この名目さえなければ参加しなくて済むのに。案の定、私はボロボロで帰宅した。真新しいスーツに砂やお酒の汚れがついてしまった。クリーニングに出さないとね。

あの先輩、勇者の私に任せろとか言いながら結局潰れちゃうんだもん。

明日も仕事なのに。流石に風呂キャンも出来ないし。あー、早く寝たい。

「スポーツドリンク冷蔵庫にあるから飲んどけよ。明日、少しは楽になるぞ」

流石お兄ちゃん。ありがとー。

軽い頭痛を圧してシャワーを浴び、ブォーンとドライヤーが髪を乾かす。なんとかたどり着いたパイプベッド。

わたしは夢の世界へと誘われた


お読みいただきありがとうございました。

勇者の飲みっぷりと、現実世界の「ボロボロのスーツ」……。この二人の関係性が今後どうなっていくのか。

もし少しでも「続きが気になる」「あるある(?)だな」と思っていただけましたら、ブックマークや評価などで応援いただけますと励みになります!


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