大人の事情
「ママ~お祭り連れてって」
娘の真美にお祭り行きたいとせがまれた。
「じゃ、見に行くたげね」と言いお祭りに行く事にしたのだ。
お祭りに行くと、沢山の屋台が軒を連ね、
ソースの良い匂いが誘惑して来た。
真美は「焼きそば食べたい」と言うので、
私は「焼きそばは歯に海苔が付いて恥ずかしいでしょ」と言い、
真美が「かき氷食べたい」と言えば、
「かき氷はお腹冷えちゃうからね」と拒否し、
「じゃ、金魚救いしたい」と言えば、
「家に金魚バチないでしょ」と言った。
真美は「じゃ、何なら良いの?」と聞くので、
私は「お祭りの雰囲気を楽しみましょう」と言ったら、真美は頬を膨らませて「つまんない」とぼやいた。
そして、一通りお祭りの雰囲気を楽しんで家に帰った。
パパが仕事から帰って来ると、真美は一目散にパパに駆け寄り、「ママはケチだからお祭り行ってもつまらなかった」と言った。
パパは「今日は仕方ないんだよ」と言い、
「来年は三人でお祭り行こうな」と真美の頭を撫でた。
そう、今日は仕方ないのだ。だってパパの給料日は明日なんだもの。
娘よ、大人には大人の事情が有るのよーと、
私は心の中で叫んだのだった。