修学旅行の飛行機編
私は斉藤られあ
高校2年生
今日は修学旅行だ。
行き先は京都!
ぼっちだけど逆に観光に集中できるなぁ。
行きの飛行機の座席もクラスの話し合いで決めたのでクラスの生徒数が奇数だから当然私は一人席。
寂しくなんかない。
むしろ一人の方が気楽だ。
しかし私の隣の席には修学旅行付き添いのカメラマンがいた。
知らない大人の男性と二時間、空の旅を共にする事となってしまった。
超気まずい。
「やあ。僕は山添っていうんだ。よろしくな」
「あっどうも」
なんか急に馴れ馴れしい。
山添は茶髪パーマに白地の逆布袋柄のようなYシャツにくす んだGパンを履いたやや色黒な四十歳前後のおじさんだった。
おじさんなのに年甲斐もなく陽のオーラを感じる!
苦手なタイプだ!
「君はなんて名前なの?」
「あっ斉藤です」
「下の名前は?」
「られあです」
「えっ? なんて?」
「ら れ あ です」
「られあちゃん?! 珍しい名前だねぇ。皆からなんて呼ばれているの?」
「いえクラスの皆と会話する機会がないので、あだ名とかは 特にないです」
「なんで話さないの?」
「いや、あの特に話す話題がないですし、誰も私と......話したいと思ってないでしょうし」
「どうしてそう決めつけるんだよ。他の皆だって相手の事を 分からないんだからまずはお互い知ろうとしないと」
なんで会ったばかりのどうでもいいおっさんに説教されて いるんだ私は。
「まあ。気持ち分かるよ。俺も昔は人見知りだったから」
そんなわけないだろ。
人見知りだったらいい歳こいてそん な派手な柄のYシャツ着て第二ボタンまで開けねぇよ。そもそ も人見知りは日焼けしねぇんだよ。
「最初話掛けるハードルは高いけど、そこ乗り越えたら……人生 変わるよ」
「はぁ......そうなんですね」
何が人生変わるよだよ。会って間もない私の人生否定する なよ。
「カメラマンさーん。私達撮って」
めぐちゃんとさやちゃんが山添を呼んだ。
「分かった。分かった。離陸終わったら席回って皆撮るか ら」
「はーい」
「はあー忙しい。忙しい」
レンズふきふき。
「クラスの子達皆明るくて良い子達じゃないか。この修学旅 行を機に仲良くなれるんじゃないか?」
皆明るくて良い子だから暗くて要領の悪い私が浮いてるん だよ。察しろや。
「あっはい。これを機に頑張ってみます......」
はぁ......。修学旅行なんてこなきゃよかった。
しかし歴史好きなので京都観光は楽しめた。
班行動で一言も喋れなかったが……。