コンビニバイトの面接編
私は斉藤られあ。
高校2年生。
クラスではぼっち。
部活も馴染めず一年で退部。
家族とも折り合いが悪い。
ツイッターのフォロワーも少なく、5chでスレを立てても伸びな い。
大槻ケンヂの小説「グミ・チョコレート・パイン」を何度も読み返し、己を鼓舞するだけの日々。
完璧な孤独。
とどのつまり人間は一人では生きていけない。
バイトでも始めて社会での居場所を作ろう。
というわけで、私は近所のコンビニバイトの面接を受ける事にした。
面接中。
「斉藤......られあって読むのね。イマドキ……フフッ(鼻で笑う)だなー」
「はい......」
「なんか君、元気ないね。うちの仕事やってけそう?」
「はい……頑張りたいと思っております……(ボソボソ)」
「ふーん。どうかなー。高校生のバイトとはいえ、コンビニ店員もれっきとした仕事だからな。やっぱりすぐ辞めますって事になると困るんだよね」
「そうですよね......でも私は高校卒業までちゃんと働きたいです......」
「正直言ってなんか君向いてなさそうなんだよね。受け答えとかしどろもどろだし。ハキハキ喋んないから時々何言って るか聞き取れないし」
「すいません。気をつけます」
「何だろう。君部活とか頑張ったことある? 俺は中学と高 校の両方サッカー部の部長やってて君くらいの歳から皆を引 っ張ってく立場やってたんだよね。大学は行ってないけど、 今は店長としてこの店仕切って皆を引っ張っていく立場だ し」
何で急に自分語り?!
というか私も中学生の頃は卓球部の部長でしたけど!
県大会出てますけど!
「はい。そうなんですね。凄いですね」
「まあね。俺は人より色んな経験積んでるんだ」
うん。
なんか不採用っぽいな。
もう帰りたい。
20分後。
「うーん。一週間後に採用だったら結果連絡するから今日はもう帰って良いよ」
「あっはいっありがとうございました」
結局、面接の三十分間、私の態度へのダメ出しと店長学生時代の自慢風思い出ばなしを聞かされただけだった。
一週間後。
コンビニからは連絡が来なかった。
腹いせに万引きでもしようかな。
まあ私にそんな度胸ない。
その後、2〜3回無言電話をかけて鬱憤を晴らした私は二度とそのコンビニに近寄る事はなかった。