戦い終わって一息
「桜姉さん、楓姉さん、椿は?」
不意にこの場にいない双子の姉、唯一ワープ機能を有する筈の椿がいない事に疑問を抱き、薺が首を傾げながら2人に訪ねた。
「ああ~、椿なら――」
「私ならここよ、薺ちゃん」
不意に空中に開いた人一人分の穴からまるで暖簾でも潜ってきたかのように薺の横に椿が姿を表す。
「私は貴方達が派手にあのワイバーン達を吹き飛ばすから、フェアリーを使って建造物に被害が出ないように防御にまわっていたの」
ロゼと花奈、妹の薺に向かってニコッと笑ってみせる椿だが、何故だろうか若干の怒りを言い回しから3人は感じたので「ご迷惑をお掛けしました」と謝罪の為に頭を下げた。
それに対して椿は「あらあらうふふ」と頬に手を当て微笑みを向ける。
「お嬢様、そろそろ帰りましょう。奥様が心配なさいます」
「うん、そうだね。あの~私達そろそろ帰ろうかなあって思うんだけど?」
花奈の提案に頷き、桜達に帰る旨を伝えるロゼ。
それに対して桜達は「帰れるなら帰っても良いよ」と言うが、その表情は何故か暗い。
4人が4人共に心配そうにこちらを見る事に疑問を感じながらもロゼと花奈は「じゃあさよならー」と歩き出したが、その一歩目で2人は膝から崩れ落ちるようにその場にへたり込んでしまった。
「はれ? なんで? 立てないんだけど、ていうか痛い! 全身が筋肉痛になったみたいに痛い!」
「っく、お嬢様の前でなんという醜態」
「ああ、やっぱりねえ。怪我が無いかスキャンしてみたけど、2人共極度の疲労状態みたいだねえ。
魔法の事はよくわからないから推測でしか言えないけど、魔力ってやつの使い過ぎかもねえ。
薺ちゃんから送られてきた戦闘記録から見ても明らかに人智を超えた力を使ってるし」
「反動って、こと!? 聞いてないよこんなの!? アイタタ」
桜の見解に半泣きになりながらもロゼは応え、立ち上がろうとするが、体はそれを拒否。
ロゼと花奈は地べたにへたり込んだまま困ってしまい、どうしようかとお互い顔を見合わせた。
「怪我じゃないから病院は違うよねえ」
「姉さん、2人を家に招待しませんか? せっかくお近付きになれた事ですし」
「私は、椿の意見に賛成」
「良し! 2人を我が家に招待しよう!」
「はえ?」
「し、初対面の方のご自宅に厄介になるわけには――」
桜達の話しを拒否しようとするも、体が痛くて動かし辛い現状とワイバーン襲来により交通機関も麻痺している街の状況を見て、自宅に帰るのも一苦労しそうだと思ったか、小学生2人は出会ったばかりの少女4人のお世話になる事にした。
「お姫様抱っこが良い? おんぶが良い? 肩に担ぐという手段もあるけど」
「その3つなら、おんぶでお願いします」
「オッケー! 任せて!」
というわけで、ロゼを桜が、花奈を楓が軽々と背負うと4人は郊外の自宅へと向かっていった。




