昔々
三題噺もどき―よんじゅうに。
お題:犬・襲撃・キノコ
昔むかし、ある所に、小さな村がありました。
そこには『犬』と呼ばれる一族が住んでいました。
大人も子供も、皆が仲良く、平和に暮らしていました。
毎日を、平和に。
しかし、ある日―
カンカンカンカン―!!!
「襲撃だー!!逃げろー!!!」
そんな平和な村が、襲われたのです。
襲撃をかけてきたのは、隣の国に住む『キノコ』という、一族でした。
彼らは、その昔、『犬』の一族に、支配されていました。
しかし、その因縁は解決を見て、二つの国は、協定を結びました。
それからは、貿易や様々な交流等が、盛んに行われており、過去の因果は完全に解消されたものと、思われていました。
そう、誰もが思っていました―『犬』の一族は。
しかし、『キノコ』の一族は、どうしても『犬』の一族が、許せなかったのです。
長らく支配されていた因果が、たかが数年で解消されるわけもないのです。
表では、難なくやり通し、裏では、反撃の時を待っていたのです。
日々情報収集を行い、着実に根回しをし、その時を、今か今かと。
「なぜだ!!我々は、元通りになったはずじゃ―!」
「そんな訳がなかろう!!我らキノコの一族は、先祖のためにおまえらに一矢報いる時を待っていたのだ!」
「そんな――」
裏切りにあった『犬』の一族は村の全てが焼き尽くされ、跡形も残されませんでした。
大人だろうと子供だろうと。
建物も家も何もかも。
草木の呼吸も、虫の声すら聞こえなくなりましt。
「これで、良かったのだ―」
『キノコ』の一族の長は、遠くを眺め、祖先を思い、同時に『犬』の一族を思ったのでした。