詩 虚勢正義の執行者
自分の本音など分からない
ただ乱暴に
一刻も早く目につかない場所にと
どこか知らない奥の奥
ひらすらの奥底に閉じ込めたそれを
見つめる時間も余裕もないからさ
「私は今日も正しい行いをします」
「大人げない? 何を言っているのですか?」
「私はただ正義の行動をしているだけですよ」
やり返してなどいません
報復などではありません
何を言われても分からない
だって首をかしげるしかない
何を見当はずれの事を
勘違いでもしているのでは?
(私は虚勢を本音だと思い込んでいるらしいけれど
そんな事はない
これは私の本音
世界を良くするために
みんなの為に行動している)
――その方法では、彼女の虚勢をはがす事はできないだろう
――剥がれた瞬間に鼓動が止まる。そんなものを、どうして自らはがそうとするものか
「ストーリー」
彼女は犯罪者を狩っていた。
「貧しかったから、盗まなければ生きていけなかったんです」
「そうですか。可哀そうに。でも、窃盗は犯罪ですから罰を受けてくださいね」
「そんな!」
それが正義の行いだと信じてやまなかった。
けれど、それは彼女が昔やられたことをやり返しているだけだった。
復讐したいという本音が、歪んだ形になった行為だった。