表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

愛情に飢えた少女の物語

作者: タンポポさん

三回目の短編です!

この作品もまた、重いです。


ただの小さな思い出だった。

私にとってはもう、頭の中、どこを探してもない記憶。

それでも、その言葉だけは覚えていた。

ただの、口約束にすぎないのに――――――



☆☆☆☆☆



私は何故、こんな所に生まれたのだろうか。

どれ程までに後悔して、罪悪感を感じただろうか。


『約束する。絶対に迎いに来て、幸せにしてやるから』


たった一人、そう言った男の子がいた。

その時の私は、とにかく不遇な生活を送っていた。

でもそれは、何も今よりも変わらなかった。


それはもう、全部諦めて。

親には捨てられ、そのまま放置。

鍵は開いていたし、人も通っていた。



でも私は、助けを求めようとはしなかった。

このまま死んでしまえば、きっと楽になれると信じて。


その時にその男の子は入ってきた。




「大丈夫?もう少しで、飢え死する所だったのよ」そう言って、その人は部屋を出た。

「……………………」


黙ることを決め込んだ。


「何で……何で出なかったんだよ!」私が生きるきっかけとなった男の子が叫んだ。


「…………」



「生きれたんだ」

「そう」素っ気なく言った。


「俺は、あんたの為に!」


その言葉を聞いて、私はもう、どうでもよくなった。



「だったら、どうして助けたの!?私の願いはあのまま死んでしまうことなのに!!貴方とは訳が違うのよ!!私は、幸せになれないのだから……っ………」私は歯を食い縛る。


「だったら、俺が幸せにしてやる」

「え…?」涙を流しながら、私はその男の子を見た。


「だから約束する。絶対に。迎いに来てやるから」そう言って、小指を差し出してくる。


「な、に……?」

「小指だせ」

そう言って、乱暴に私の指を出す。



そうして、小指を絡め、何かを言い始めた。


「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲~ます。指切った」


「……………………………ありがとう」初めて、笑えた瞬間だった。


「……っと……約束する。絶対に迎いに来て、幸せにしてやるから。だから!それまで待ってろよ」


「………うん………」私はまた、微笑んだ。



★★★★★



今は保健所暮らしである。

それでも、私は歓迎されなかった。

誰からも愛されないし、必要ともされない。


私はもう、何も無いから。

あの約束はもう、果たされない。

絶対に。

こんな口約束、しかも小さい頃の話だ。

本当にバカだ。

それがまだ、その口約束を信じていた。

絶対に叶うはずなど無いから。


でも、もう限界だ。

私にはもう、耐えきれないから。



「おい」道路に出ようと、私は逝こうとした。


だが、それは私の腕をつかんだ人によって、遮られた。



「………誰?」振り向きながら、私は言った。



「約束しただろ。“迎えに来るから、待ってろよ”って」


あの時よりも、少し大人になったその人は、約束を―――――



「どうして………約束………」次第に涙が出てくる。


「俺は、絶対に約束を守るから」



        その約束が今、果たされる



最後までご覧頂いてありがとうございます!

また、短編を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ