愛情に飢えた少女の物語
三回目の短編です!
この作品もまた、重いです。
ただの小さな思い出だった。
私にとってはもう、頭の中、どこを探してもない記憶。
それでも、その言葉だけは覚えていた。
ただの、口約束にすぎないのに――――――
☆☆☆☆☆
私は何故、こんな所に生まれたのだろうか。
どれ程までに後悔して、罪悪感を感じただろうか。
『約束する。絶対に迎いに来て、幸せにしてやるから』
たった一人、そう言った男の子がいた。
その時の私は、とにかく不遇な生活を送っていた。
でもそれは、何も今よりも変わらなかった。
それはもう、全部諦めて。
親には捨てられ、そのまま放置。
鍵は開いていたし、人も通っていた。
でも私は、助けを求めようとはしなかった。
このまま死んでしまえば、きっと楽になれると信じて。
その時にその男の子は入ってきた。
「大丈夫?もう少しで、飢え死する所だったのよ」そう言って、その人は部屋を出た。
「……………………」
黙ることを決め込んだ。
「何で……何で出なかったんだよ!」私が生きるきっかけとなった男の子が叫んだ。
「…………」
「生きれたんだ」
「そう」素っ気なく言った。
「俺は、あんたの為に!」
その言葉を聞いて、私はもう、どうでもよくなった。
「だったら、どうして助けたの!?私の願いはあのまま死んでしまうことなのに!!貴方とは訳が違うのよ!!私は、幸せになれないのだから……っ………」私は歯を食い縛る。
「だったら、俺が幸せにしてやる」
「え…?」涙を流しながら、私はその男の子を見た。
「だから約束する。絶対に。迎いに来てやるから」そう言って、小指を差し出してくる。
「な、に……?」
「小指だせ」
そう言って、乱暴に私の指を出す。
そうして、小指を絡め、何かを言い始めた。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲~ます。指切った」
「……………………………ありがとう」初めて、笑えた瞬間だった。
「……っと……約束する。絶対に迎いに来て、幸せにしてやるから。だから!それまで待ってろよ」
「………うん………」私はまた、微笑んだ。
★★★★★
今は保健所暮らしである。
それでも、私は歓迎されなかった。
誰からも愛されないし、必要ともされない。
私はもう、何も無いから。
あの約束はもう、果たされない。
絶対に。
こんな口約束、しかも小さい頃の話だ。
本当にバカだ。
それがまだ、その口約束を信じていた。
絶対に叶うはずなど無いから。
でも、もう限界だ。
私にはもう、耐えきれないから。
「おい」道路に出ようと、私は逝こうとした。
だが、それは私の腕をつかんだ人によって、遮られた。
「………誰?」振り向きながら、私は言った。
「約束しただろ。“迎えに来るから、待ってろよ”って」
あの時よりも、少し大人になったその人は、約束を―――――
「どうして………約束………」次第に涙が出てくる。
「俺は、絶対に約束を守るから」
その約束が今、果たされる
最後までご覧頂いてありがとうございます!
また、短編を予定しています。