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なりあがりシスターズ!~流行病の蔓延る街でゆるふわ声優達が頂点を目指す!~  作者: 牛
第二章 それでも、舞台の幕は上がっていく。
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なりあがる途中だけれど。

「それでは今日の『なりあがりシスターズ』の放送はここまでです」


「「「「まったねー」」」」



 放送終了後、マネージャーOに声をかけられる。



「なんか吹っ切れたって感じね、二人とも。何か良い事あった?」



 さえとからひなの繋ぎっぱなしの手をニマニマとした表情を見つめながらそんな事を問いかけられた。



「さ、さえ先輩と正式にお付き合いすることになりましたっ」



 からひなは顔を真っ赤にしながらぼそりと呟く。



「ほうほう。アイドルに恋愛はご法度だけど、同性だし数字が取れればそれで良しっ」



 ……良いのかよ、それで。

 相変わらずいい加減なマネージャーだな。

 まぁいい加減なのは今に始まった事ではないのだけれども。



「で、どこまでいっちゃったの?Cまでいっちゃった?」


「はい?なんですそれ?」


「はー……今の若いものはそれだから。Aはキス。Bはペッティング。Cはセックスよ!!」



 からひなはその言葉を聞き顔を真っ赤にしながら。



「わ、私たちの交際は、清い交際ですっ!!」



 そう言ってさえを引きずりながら駆けて行った。

 デリカシーなさすぎだわな、マネージャー。

 さえ達は事務所のビルを出ると物陰に隠れてからひなは顔を真っ赤にして。



「……キス、しますか?」



 なんてことを言ってきた。

 いやいやいやいや。

 何言ってんだ、からひな。

 と言ってやりたかったが、何となくその場の空気に飲まれてしまった。


 無言の圧力が。

 さえを見つめるからひなの視線からさえ視線を逸らすことができない。

 お互いの顔が近づいていきお互いの唇が触れる寸前で。



「あああああ!!さえちゃまあああああああ!!さえちゃまにキスはまだ早いよっ!!!」



 あほのあゆみの大声が響き渡った。

 その声でその辺を歩いていた人たちの視線が一気にこちらに集中する。



「まったく、あゆみのやつっ!!」


「逃げますか?」


「もちろん」



 そう答えるとさえとからひなはあゆみから逃れるべく逃避行を始める。

 けれどあゆみは逃げども逃げども執拗に付きまとってきて。

 結局、あゆみが諦めたのは終電が無くなりそうな時間だった。



「……家に帰れねーじゃん」


「えっと……私のうちなら近いですから、泊っていきます?」



 からひなは顔を真っ赤にしながらそう告げる。

 えーっとこれはなんだ。

 Aをいきなりとびこすというやつですか?

 頭の中でぐるぐると思考が回転する。


 けれど、からひなはさえの返事を聞く前に。



「行きましょう」



 そうニッコリと微笑んで、自宅への道へと歩き始めた。



 ―――



「あー……そこにあるパジャマ使っちゃってください」



 あゆみに追いかけられて汗だくになった衣類を洗濯籠にいれ、シャワーを浴びているとそんな声が聞こえてきた。

 シャワーを浴び終え準備されていたパジャマに袖を通す。

 普段からからひなが使っているものなのかさえには少し大きすぎた。

 けれども、からひなの匂いがほのかに全身を包み込む心地で気分が安らいでいた。



「ちょっと、大きかったですかね?」


「まぁな……。でも曲げればなんとかなった」



 服に着られているというのはまさにこの事なんだろうなと感じながら、からひなのベッドの上に身を投げ出す。

 はぁ……からひなの匂いがする。

 いい匂いだな……。

 そんな事を思っていると、からひなは顔を真っ赤にして。



「私もシャワー浴びてきますっ」



 なんて言って部屋を飛び出していった。

 変な奴。

 からひなが出て行った後、改めて部屋を見渡すと部屋中に漫画の山が築かれていた。

 ホント、漫画が好きなんだなぁ……。

 ぽすりとからひなの枕に身を預けるとなんだかちょっと眠くなってきた。

 はー……このまま寝ちゃうか……。

 そうしてさえはそのまま心地よい眠気に誘われるように眠りについた。


 チュンチュン。

 すずめの泣き声がする。

 さえはまだ眠い目をこすりながら目をあけると。

 その目の間にはひなの胸があった。



「……えっと……」



 どうやら一晩中抱きしめられて眠っていたらしい。

 あー……もうA通り越してBやっちゃったなとため息をつく。

 とりあえず抱きしめられたままじゃ起きようにも起きれないので辛ひなを起こすことにする。



「おふぁようございます……」


「ああ、おはよう。で、なんでこんなんなってんの?」


「えっと……それは寝てるさえ先輩が可愛かったから……」



 顔を真っ赤にしながら頬をかくからひな。

 ……まあいいけどさ。

 でも。



「今度からは、しっかり許可をとること!」


「は、はいっ」



 からひなはベッドの上で居住まいを正す。

 まったく……可愛い後輩だな、こいつは。

 そう思い、ふいうちでさえはからひなの口をキスで塞ぐ。



「……っ!?」



 からひなの眼は驚きに満ちて見開かれていたけれど。

 次第に幸せそうな表情になり、手を絡めてさえを求めてくる。

 さえもその求めに応じてやる。



「ぷは……。からひな、がっつきすぎ……」


「だって……さえ先輩が可愛くて……」



 その言葉を最後に無言になる。



 静寂の支配する中。

 ピロン。

 さえのスマホの通知が一件届く。



『昨晩はお楽しみでしたね、じゅるり』



 なつだった。

 ピロン。

 続けてなつからも着信。



『おー、ついにやっちゃったか。おめでとう妹よ』



 同じ家に暮らしてるくせにいけしゃあしゃあとあの姉は……。



「……先輩」



 絡めあった手を握り締めながら。



「まだまだ、未熟者の私ですけど」



 からひなはまっすぐな瞳で。



「さえ先輩と一緒なら。援けあって成り上がれるって気がします」



 ……それはさえも同じだ。

 だからからひなにかける言葉はたった一つだ。



「これからも一緒に援けあって皆でなりあがっていこうぜ、からひな」


「はいっ」

読んでいただきましてありがとうございます。

なりあがりシスターズ楽しんでいただければ幸いです。

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