ふりつけ。
あゆなつ祭で歌うシスターズの曲のふりつけは結局なつが行うことになった。
新人のからひなには無理だし、演劇をかじった位の経験しかないさえにも無理だったからだ。
そして出来上がったふりつけは。
「なんかこのふりつけって朝の魔法少女モノぽくね?」
「……バレた~?」
そう。
このふりつけは自分が昔よく見ていた朝の魔法少女モノの歌のふりつけによく似ていた。
でもまぁそのおかげで、わりと踊りやすいちゃ躍りやすいんだけれども。
さえも昔はよくかえと一緒になってテレビ見ながら踊ったりしてたしなー。
とりあえず通しで一通り踊ってみる。
「おー……すごいさえちゃん~……」
「さえ先輩、すごいですっ!!」
さえが踊っているのを見学していた二人は素直に感心していた。
まぁ、さえが本気を出せばこんなの簡単なんだよ、うん。
「それじゃ、今度はひなちゃんいってみようか?」
なつに促されひなは鏡の前に立ち音楽と共に踊り始める。
しかしその様子はどこかぎくしゃくしていて。
踊りをちょっとかじった位のさえにも分かるくらい駄目だこりゃと感じる程だった。
「うーん……どうしようか……?」
「ん? なんか用事でもあんのか、なつ?」
ちょっと困ったなという顔をなつが浮かべているので問いただす。
「今日は、ちょっと配信のお約束を皆としちゃってて……」
ふりつけ練習の日にそんな予定をいれるなよとさえは思ったけどあえて口にはしない。
さえはともかく、ひながここまで踊れないとは思ってもいなかったのだろう。
「わかった。さえがからひなのことを見といてやるから。なつは帰っても良いぞ」
「ごめんね、さえちゃん~……」
一言謝罪をして、なつは自宅へと帰っていった。
「すいません、さえ先輩……」
「別にかまわないぞ?」
そうしてのんびりとさえはひなにふりつけの指導をする。
小一時間程して。
「はー……まぁ大体こんな感じだなぁ」
「ありがとうございました」
「良いって良いって」
さえは言いながら体育座りをしているひなの頭を撫でる。
「さ、さえ先輩。あのっ」
「なんだ? からひな?」
何か妙に思いつめた顔をしているなと疑問に思いながらさえは応える。
「えっとさえ先輩は私より、あゆみさんの方が良いのかなぁって……」
「はぁ? 何の事だ?」
さえがあゆみの方が良いって何のことだか皆目見当がつかない。
ひなの頭を撫でながらさえは頭の上にクエスチョンマークを浮かべる。
「え、いや、だってメイド喫茶であんなに仲良さそうにしてたじゃないですか」
真っ赤な顔をしながらからひなはさえに問いかけてくる。
「あー……。あれはお金の為に仕方なく……」
「そう……なんですか……? そ、それじゃ、私にもよろしくお願いします」
そう言って真っ赤な顔を更に真っ赤にしてひなは足を体育座りから正座にして、ポンポンと太腿を叩いていた。
「……なんだ、そのポンポンは」
「私にもしてくださいっ」
目をつぶって今にも顔から火が出そうな表情をしてひなは勢いよく告げる。
はぁ……しょうがないな……。
そう思いながらさえはひなの太腿にちょこんと座る。
座った瞬間、ひなの背筋がビクリと跳ねる。
「でも……どうしてあのメイド喫茶に来たんだ?」
とりあえず、どうしてからひながさえのバイト先を知っていたのか知っておきたかったので聞いてみる。
「えっと……それは……」
ひなはなんだかとっても言いにくそうな表情をした後。
「先輩をつけてビルを見張ってたら、あゆみさんも入っていっちゃって。二人ともなかなか出てこないから気になって入ってみたんですっ」
はぁ……そいうことね……。
深くため息をついた後、ポスリとさえはひなの胸に体を預ける。
「百合営業はお前とだけだから、安心して良いぞ、からひな」
ニシシと笑みを浮かべながらさえはひなに向かって微笑んだ。
読んでいただきましてありがとうございます。
ふりつけもなんとかなったなりあがりシスターズ。
徐々に本番に向けて歩いております。
楽しんでいただければ幸いです。




