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おんらいんみーてぃんぐ

「えーっと……長女役、唐津ひなです。よろしくお願いします」



 ひなはノートパソコンにカメラに向かってしゃべりかけていた。

 ノートパソコンのキャスのチャンネル窓にはマネージャーO……その他に初めて見る少女が二人。

 世間一般で言うリモート会議というやつだ。



「かえは、会津かえだよ★次女役★仲良くしてねっ★」



 ツインテールの少女がキャピキャピっとポーズを決めながら自己紹介をする。



「……水戸なつ。三女……よ、よろしくー……」



 うって変わって黒髪ロングの少女がオドオドとした調子で自己紹介。

 かえという少女は、まぁそういうキャラなんだろうなーと無理やり納得することにしても。

 このなつという少女は果たして大丈夫なんだろうか?

 こんなにオドオドした調子で声優の仕事できるんだろうか。

 そうひなは二人の少女を見つめながら首を傾げる。



「一応言っておくけど、かえも、なつもひなより芸歴すごく上だからね」



 ひなの不安気な顔を察してかマネージャーOはそう付け足す。

 え”。

 なつはともかく、かえも芸歴上なの?

 どこからどう見てもかえはJCくらいにしか見えないのに。

 もしかして見かけによらずすごいおばさn……。



「こらこらこらー、ひなちゃんっ★今すんごい失礼なこと考えてるな★」



 図星をさされた。



「いやー私より歳上? なのにすごいなぁって……」



 主にそのキャピキャピとか。



「かえはこれでも十九歳だぞっ★」


「(・○・)……」



 かえが自分とさほど変わらない歳という事実を突きつけられてひなは思わず言葉を失う。

 それなのに芸歴がすごく上とはこれ如何に。



「ひな、あなた、そんな馬鹿なって顔してるわよ」


「(・○・)ソンナコトナイデスヨー……」


「仮にも舞台の上に立つ役者なんだから表情位隠しなさい。……まぁいいけど」



 何とも言えない表情をしているひなを見つめながらマネージャーOは、一つはぁっとため息をつく。



「かえは元人気子役の声優。なつは小さい頃から演劇をやってきた声優。二人とも演技の大先輩よ、大先輩」


「……その演技の大先輩方とどうして私みたいな新人なんかがアイドル声優姉妹ユニット?を組むことになったんですか?」



 怪訝な顔をしながらひなはマネージャーOに問いかける。



「それは……」


「それは?」



 マネージャーOの言葉にゴクリと息を飲む。



「この子達、人気はそこそこなんだけど声優経験からっきしなのよ。新人声優を目指すド新人の姉。元人気子役の新人声優。演劇畑の新人声優。そんな姉妹が声優界のスターダムにのし上がる!!これは売れるって予感がビビッときたのよっ!!」



「……あまりあてにならない直感ですね……」


 割とよくある設定だしね……。

 ひな達はジト目でマネージャーOを見つめる。



「まぁ。今日は顔合わせって事で、番組の内容とかはあなた達にお任せするから。放送は来週の金曜日からだからシクヨロー」



 ブツッ。



 マネージャーOの画面が唐突に切れる。



「「「……」」」



 その様子を少女達は三人でぽかんと口を開けて見つめるしかなかった。



「……はー……やってらんねー……」



 まず口を開いたのはかえだった。

 さっきまでの語尾に★のついた口調とは対照的に、超絶柄が悪い。



「なつはともかくなんで、超新人のひなとユニット組まなきゃいけないんだ?しかもかえが次女ってどういうことだよ。見た目だけならかえが三女だろ」


「まぁまぁ……かえちゃんが次女の方がインパクトあるんじゃないかな……?」


「そりゃ、なんか守ってあげたくなる雰囲気はなつの方があるけどなー……」



 かえとなつは二人でオンラインで会話を進める。



「あのー……、お二人はお知り合いなんですか?」



 ひなは恐る恐る談笑をする二人に声をかける。



「ん? あー……かえとなつは小さい頃から幼馴染なんだ」


「かえちゃんも小さい頃は舞台にも引っ張りだこだったんだけどねぇ……」


「最近は普通にリアルな子役が多いからなぁー。かえみたいな合法ロリはお払い箱なんだとさ」


「……そ、それは大変ですね」


「だからかえは声優を目指すことにした。声優だったらこのロリボイスでいつまでもチヤホヤしてもらえるからなっ!!」



 それは売れたら、の話なんだけどなぁと思いながらひなはあえてツッコミを入れない。



「とりあえず番組のコーナーとか考えませんか?」



 ひなはおずおずと二人に提案する。



「んあー……? とりあえず、番組頑張ってます★感だせばいいんじゃね?」


「私は、二人が頑張ってる姿見てるだけでご飯三杯いけるよー……」



 頑張る頑張るって言っても……何を頑張れと。

 ひなは二人の言葉に頭を抱える。



「まぁその辺は新人のひなが考えてくること。それじゃなー」


「た、頼りにしてるよー……」



 ブツン。



 チャットルームが強制終了する。

 ……なんなんこれ。

 新人に企画丸投げとか、早速ユニット崩壊の危機か?

 はぁ……でもこれも声優のお仕事だからやるしかないんだよね……。

 新人はつらいよ……。

 そんなことを考えながら何か番組のネタになるものがないか、ひなはYOURチューブ動画を漁り始めた。

読んでくださってありがとうございます!

楽しんでいただけていれば幸いです。

もしよろしければ評価をぽちっと押したりブクマしてくださると執筆速度も上がります(あ

ですので、今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m

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