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なりあがりシスターズ!~流行病の蔓延る街でゆるふわ声優達が頂点を目指す!~  作者: 牛
第二章 それでも、舞台の幕は上がっていく。
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ひきこもニート。

 話の舞台は、緊急事態宣言前。

 それよりも、はるか昔の物語。


 ある所に一人の人気子役がいた。

 その名前は会津かえ。

 少女には双子の妹がいた。


 妹の名前は会津さえ。

 かえと瓜二つの見た目と声を持つ少女。

 しかし決定的に違うのは。

 さえにはかえ程の役者の才能が無かったという事。

 それはほんの小さな差だったけれど。

 時間が経過していくほど、決定的な差となってしまう。

 オーディションを受けても受けても受かるのは姉のかえばかり。

 誰もさえのことを歯牙にもかけない。

 果ては関係者からは、さえはかえの残りカスとすら囁かれるようになってしまった。


 それがさえには苦痛で。

 いつの頃からさえは学校に登校しなくなり。

 そして会津さえは、引き籠りのニートとなった。

 ひきこもニート会津さえの誕生だった。


 薄暗い自室でぼんやりとさえはテレビを見つめる。

 テレビの中では同じ顔、同じ声をした一人の少女がにこやかに役を演じている。

 さえは自分に問いかける。

 さえとかえ。

 同じ容姿で同じ声。

 どこでこんなに道を違えてしまったのか。



「ただいまー」



 そんな元気な声が玄関から聞こえてくる。

 姉のかえだ。

 さえはビクリと背筋を伸ばし、つけていたテレビをオフにする。

 そして、もそもそとベッドの布団の中に潜り込む。


 姉が自分の部屋に入ってくることはない。

 自室には鍵がかかっているのだから。

 だから、こんなに怯えるように布団に籠る必要はない。

 それなのに。

 どうしても姉の存在が怖かった。


 スタスタスタと階段を上ってくる音。

 さえの部屋の前を通り、かえは自室へと入っていく。


 しばらくして。

 コンコンと扉を叩く音。

 さえはその無言の問いかけに応えない。

 それでも姉のかえはさえに話しかけてくる。



「さえ……。かえは声優になるよ」



 は……?

 何言ってんの?

 馬鹿なの?

 今が役者として、人気絶頂じゃないの。

 なんでわざわざ裏方の声優なんかに……。

 そう言葉にしようとして気付いていしまった。

 これは全てさえのせいだという事に。


 こうしてさえがかえの姿をテレビで見る事がさえの重荷になっていると。

 姉のかえは気付いていた。

 だからせめて、自分の姿を見る事がない、裏方の声優になろうとしているのだろう。

 さえはかえの言葉に応えない。

 さえが何を言ってもかえは自分の決めたことはやりきるだろう。

 今までも。

 そう。

 そしてこれからも。


 姉にあってさえにはないもの。

 それは強い意志。

 さえにはそれが無かった。


 スタスタスタ。

 かえは無言で居間の方へと降りて行った。

 ぼんやりとさえは思う。

 これでテレビで姉の姿を見なくて済む……。

 けれど……。



「誰よりも有名な役者になるんじゃなかったのかよ……」



 被った布団の中でさえは呟く。

 ぽたり。

 枕の上に黒いシミができる。

 ぽたりぽたり。

 シミがとめどなく作られていく。

 さえは溢れる涙をこらえきれずに顔を枕に押し付けた。

読んでくださりありがとうございます。

今回から第二章会津さえ編です!

もう二話ばかりコメディ抜けますがお付き合いいただければっ。

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