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しごとがない!

 緊急事態宣言中にひなは様々な事を体験した。

 YOURチューブの番組生配信に地下演劇。

 CDデビューも、同人だけれど決まった。

 流行り病が蔓延る中、職を失う同業者もいる。

 だからこんなに色々な活動ができているので、そこそこやれているような気もする。


 しかし……。

 それはそれである。



「あれ……? 私、声優の仕事してなくない?」



 気づいてしまった。

 その事実に気づいてしまった。


 声優。

 それはキャラクターのアフレコや吹き替えやナレーションをしてなんぼである。

 その活動を全くやっていないことに気付いてしまった。

 今のひなは声優というより、売れない舞台俳優のそれに近しい。


 私がやりたい事。

 それは画面の中で動くキャラクター達に声を付ける事。

 舞台の役者はそのステップに過ぎないのだ。

 とりあえず、マネージャーOに電話をかける。



「あのー、新しいオーディションってないんですか」


『オーディション? あー、ダメダメ。今、ほとんど全部大手のプロダクションに抑えられちゃってるから』


「そうですか……」



 マネージャーOの言葉にひなは肩を落とす。

 オーディションが大手に抑えられてるのは、出来るだけ他人との濃厚接触を控える為。

 だから大手の中からある程度決まった声優でキャストを固める。

 その理屈は分かる。

 理屈は分かるのだけれど……。



「はー……」



 とはいうものの諦めきれるものではない。

 かえに相談してみようかなと思い、電話をかける。



『どうしたー、からひな?』


「いや、私達って声優って名ばかりで声優らしい事してないじゃないですか?」


『そういやそうだなー。声優らしいことなー……』



 何だろう。

 何かがおかしい。

 何か言い淀んでいるような。

 そんな雰囲気。



「先輩、何か隠してますね?」


『え”。いやー、そんなことはないぞ、からひな』


「いえいえ、その反応は、何か私に隠し事をしています」


『ソンナコトハナイゾー』



 ガチャリ。

 ツーツーツーツー。

 曖昧な言葉と共に通話を切られた。


 そうですかそうですか。

 私に隠し事ですか。

 それならそれで私にだって考えがありますからねっ。



 ―――



 コソコソコソコソ。

 今日はかえがオフを取った日。

 ひなは度の入っていない眼鏡をかけ帽子を目深に被り。

 同じく妙にコソコソと街を歩いているかえをつけていた。



「確かにあの様子は不審だねぇ……」


「そうなんですよ、なつ先輩」



 隣にはやはり度の入っていない眼鏡をかけたなつの姿。



「私が何か隠してますね、っていったら通話切ってそれっきりつながらないし」


「ふむふむ……」



 コソコソと歩いているかえを見失わないように物陰に隠れながらかえをつける二人。

 そしてかえはとあるビルに入っていった。



「あー……ここかぁ……」


「なつ先輩、ご存じなんですか?」


「いやまぁ、そうだね……。知ってるっていえば知ってるよ……」


「何なんです? ここ?」


「あー……えっと……さすがにひなちゃんにはちょっと早いかなぁ……」



 何のこっちゃ。

 私に早いってどういう意味だろう。

 ひなには訳が分からず、なつを問い詰める。



「お金に困ってないひなちゃんは知らなくて良いことも有るんだよ……」


「????」



 まぁ……確かにひなは仕送りや事務所からのお給料で何とかなってるのだけれど……。

 かえ先輩はそれだけではやっていけないってことなんだろうか。

 で、このビルで何が行われてるのか……?

 コソコソしないといけないといけないような事……。



「ま、まさか援助交際っ……!」


「さすがに違うからね……」



 ポンと頭を叩かれてツッコミを入れられた。

 結局、なつ先輩はこのビルで行われていることを教えてくれず。

 今日は帰ろうというなつ先輩の言葉に促されるように帰路に着いた。

 その日の夜。

 かえ先輩のお仕事はなんのお仕事だったんだろうなと思いながら、ひなはもやもやする思いを胸に眠りについた。

読んでくださってありがとうございます!

何やらかくしごとがありげななりあがりシスターズ。

ブクマ感想等もたくさんつけて頂いて嬉しいです!

今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m

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