おまつり!
『お祭り、やるよー』
『なりあがりシスターズ』の配信後。
反省会から一息ついたところで、なつがまた突拍子もない事を言い始めた。
なつのその発言にまたかと思いながらひなとかえはため息をつく。
『「……馬鹿なの?」』
画面の中のかえとひなの声がハモる。
『ほんと、私のことなんだと思ってるの、二人とも~……』
涙目になりながらなつは二人に訴えかけてくる。
まぁ……馬鹿だ馬鹿だと言っていても話が始まらないので。
「で、何でお祭りするんですか?」
『うう……馬鹿じゃないもん……』
「はいはい、なつ先輩は馬鹿じゃないです。だから続きをどうぞ」
『……とっても投げやりすぎて、やり投げ記録、新記録更新しそうな勢いだよぉぉぉ……』
「(・○・)ソンナコトナイデスヨー……」
サクッと100m位先に刺さっていそうなやりから話題をそらす。
『ああもう、話が進まねぇから早く続き!!』
静観していたかえも業を煮やし先を促す。
『うー……。あのね。この前、地下演劇をやって反響良かったじゃない?」
「そうですね」
『そうだなー。まぁかえが主役だったんだから当然だけどなっ』
かえは画面の向こうでどや顔をしている。
バズった理由はそれだけじゃないんだけどなぁ。
まぁ、別に良いんだけど……。
確かにかえの演技力は惚れ惚れするほどだったし。
『それで、あゆちゃんと相談して決めたの。演劇のお祭りやろうって』
「はぁ……演劇のお祭りですか……」
『なんでそこであゆみの名前が出てくるんだよ』
心底嫌そうな顔をしながらかえがぼやく。
『だって、あゆちゃん脚本書けるし』
『マジか……』
『そうだよ~? 知らなかった?』
『ああ。全く』
二人のやりとりを画面越しに見つめながらひなはぼんやり思う。
あゆみさんってかえ先輩から本当に興味持たれてないんだなぁ……と。
あんなにあゆみはかえの事を猫可愛がりしてるのに。
いや、逆か。
あゆみがかえを猫可愛がってるからこそ、かえはあゆみを避けるのだ。
だからかえはあゆみに興味が無いのだ。
自分で自分の疑問に納得する結論を出しながら、ふと思う。
「でも、お祭りをするのは良いですけど、お客さんはあまり入れられないですよ」
お客さんが入らないイベント=赤字確定だ。
私達に赤字を賄えるほどの財力はない。
『ふふーん。その辺は私達がちゃんと考えてるから任せて~……』
「……」
任せて、と言われてもなー……。
本当にこのド天然の百合脳妹様に任せていいものだろうか。
一抹の不安を胸に、ひな達、シスターズの新たな舞台の幕が上がる。
―――
なつから一通り説明を受けた後、『あゆなつ祭チャンネル』ものに招待されそこに入ってみると。
そこにはひなが知らない少女が一人いた。
少女の名前は星野のの。
長髪の黒髪がとても似合うアイドル然とした少女だった。
あゆみと一緒にユニット『ポラリス』を組んでいるらしい。
お互いの自己紹介も程ほどにあゆみが進行役で話が進む。
『という訳で今回のイベントではライブもやるよん♪』
『「は?」』
その言葉にひなとかえは声がハモリ、表情がフリーズする。
ライブ……ですと?
えっと……まだ私達CDデビューすらしてないのに?
ライブで生歌を披露するの?
『マジカ』
その言葉を発するかえの顔も少し強張っている。
『まじまじ、大マジ♪』
そんなこちらの様子を見ながら楽しんでいるのか嬉しそうにあゆみは語る。
『だって、せっかくのお祭りなんだから、ライブは必要だよ♪』
『そのためにあゆちゃんから呼ばれました』
あゆみの言葉を受けののはゆっくりと言葉を紡ぐ。
『あゆみこと、あゆ校長と』
『なつこと、なつ教頭が』
『主催の学園祭的なお祭り。それがあゆなつ祭なのです。ぱちぱちぱち』
あゆみとなつは代わる代わる喋り、概要をひなとなつに説明をしてくれる。
つまりあれか。
文化祭的なことをしようって訳なのか。
OK分かった。
分かったけど……お客さんとの濃厚接触問題はどうするつもりなんだろうか。
「学園祭ってなるとお客さんと濃厚接触を招きかねないけど、それはどうするんですか?」
『それは……』
「それは?」
『このアプリを使うから大丈夫大丈夫♪』
そう言いながらあゆみはスマホの画面をグループメンバーに共有する。
あー……なるほど……。
これなら確かに大丈夫かも……。
でも……ライブかぁ……。
歌のレコーディングすらしたことないのに、生歌を舞台で披露……。
その事実に頭を抱えながらも。
ひな達は、『あゆなつ祭』の開催に向けて動き出した。
読んでくださってありがとうございます!
新たな舞台の幕あけのなりあがりシスターズ。
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今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m




