ヒーローの死
僕のヒーローは亡くなった。この世からはいなくなったのだ。僕のヒーローは癌だった。もちろん、僕だって、ヒーローが普通の人間のように病気で亡くなることは理解してるし、僕のヒーローはただの人間だってこともわかってる。
でも、中学生の頃僕が憧れたあの人は紛れもなくヒーローでそれは今も変わらない。小さな体で大きな相手をノックアウトする姿。闘志むき出しで、大きな相手に立ち向かう姿。そして、ファンを大切にするあの姿。僕がはじめて出会った大人のヒーローだった。
そんな ヒーローはもう、この世にはいなくて、辛くて寂しくて、僕は世間でいう立派な大人の歳になったけど、やっぱり中学生の頃みてたヒーローにはまだまだ遠く及ばなくて、あのヒーローが与えてくれた勇気を僕は誰かにあげられるのかな。自分の周りにいる家族を悲しませるようなことばっかりする僕が、人のために何かできるのかな。
心の中でヒーローは僕に語りかける。「なぁ、お前、人生そんな長くねえぞ。もっと真剣に闘えよ。家族悲しませんなよ。お前はやれるよ。」って。僕はこれからヒーロの背中を追い続ける。もちろん、僕がヒーローの代わりにみんなの新しいヒーローになることは到底ない。でも、僕は大切な人にはヒーローでありたい。ありがとうヒーロー。僕も頑張るよ。