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神体コレクターの守護世界  作者: ジェイス・カサブランカ
第二章 出楽園編
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第26話 旅立ちの前

 エルフィーに一緒に連れて行くと約束をし、彼女を寝かしつけた翌朝。


 俺は朝食後に各種族の長達を集めて彼等にも説明をしておく事にした。


「少し遠くの様子を見に行ってくる。

 数日の間はこの体では帰ってこないが、毎日朝には世界樹の方へ宿って戻るので、何かあったらその時に話してくれ」


 目の前に居るのは


 人間のウアとアーウ夫妻

 獣人のガウとキュイ夫妻

 ドワーフのドグとダグ

 エルフのエルとムート


 の四種族の族長達だ。


 竜人達四人には朝食の時に説明しておいたのでここには居ない。


「遠くの様子?

 何を見に行くのですか?」


 と、俺の説明を聞いたウアが不思議そうに尋ねて来た。


「主に……ここから遠くの森や海だな。

 昨日、皆で食した栗や芋の様な、この近くに無い物が有るかもしれないのでな」


 とりあえず建前の様な事を俺は答えた。

 すると


「あの、主様……何か揉め事などが起きたら……?」


 と、今度はエルフのエルが困った様子で尋ねてきた。


 あー……そういえばエルフ達に関しては、俺の庇護下に居る様な状態でもあるんだよなぁ……


 彼らは俺が世界樹に降臨してから、一度離れたこの場所に戻って来てまた生活をする様になった。

 それは、肉体的に弱かったエルフを俺が保護していたからだ。


 最近では言葉を教える教師的な役割や、服や小物などを上手に作れるので皆から重宝され始めてはいるが、それでも過去の経験から不安なのだろう。


「そうだな……問題が起きた時は、私のこの体を作った残りの岩の台座……

 あれを『祭壇』とするか。

 あれに供物か何かを置いて祈ってくれ。

 そうすれば私が気が付き、直ぐに世界樹へ戻ってくる」


 天界のパソコンに表示される事象には、この体に宿って居ても、なんとなくだが感じる事が出来るので、たぶん気が付くはずだ。

 だが、悠長に祈りを捧げている場合でもない、乱暴な行為が行われた場合はどうしたものか……


 エルフでも対処可能な方法が有るには有るのだが……


「それと……暴力的な事での緊急時は、水と土と風の魔法を使い対処してもよい。

 火は昨日も教えた様に火事になる可能性が有るので、料理以外の事に使っては駄目だ」


「よ、よろしいのですか?」


 と、俺が緊急時の対処法を言うと、エルは戸惑い聞き返してきた。


 俺も本当は攻撃魔法などは使わせたく無いのだが、エルフや力が非力な者達に関しては仕方がない。


「ああ。だが、できれば『死者』だけは出ない様に皆で注意してくれると助かる」


 さすがに死人が出た場合は対処が困る。


 GPを使えば何とかできそうだが、ここ最近の増加速度も良かったとはいえ、まだまだ少ないのだ。


「主様。そのぉ、あの白い石……雪花石膏でしたかの?

 あれの岩を何処かで見つけたら教えてくれんかの?」


 次にそう尋ねてきたのはドワーフのドグだった。


「ふむ……? それは構わないが、何に使うのだ?」


「主様の御身体を種族毎に揃えたいのですわい。

 この付近ではいくら探しても、あの岩と同じくらいの大きさの物が見つからんのですわ」


 俺が聞き返すと、ドグはそう答えた。


 ほほぅ……それは俺もちょっと心惹かれる提案だな。

 服みたいに体を変えて活動出来るのも面白いかもしれない。


「そうか、分かった。

 大きな岩と……練習に使えそうな物も見つけたら、私が持ち帰ってこよう」


 そう約束すると


「おぉ!それは助かりますぞ!

 主様、よろしくお願いします」


 と、ドワーフのドグとダグのコンビは喜色満面の表情で喜ぶのだった。


 やはり彼らドワーフは物作りが好きな種族なのかね。


「他に何かあるか?

 要望でも心配事でもかまわんぞ?」


 ドワーフのお願いだけを聞くのもあれなので他の種族達にも聞いておくと、人間とドワーフとエルフは特に無いとの事だったが、獣人のガウとキュイの二人が心配事を言ってきた。


「その……主様が居なくなると、我等の若い者達を仕切るのが難しくなるかと」


「そうねぇ……最近は私達も、動き回ると疲れる事が多くなってきたし……

 これが前に主様の言っていた老いるって事なのかねぇ……」


 むぅ……たしかに獣人の若者達には血気盛んな者が多く、それに加え族長的な立場の彼等に加齢による衰えが出始めているらしい。


 二人のステータスを見てみると状態の欄に「老齢」と表示が追加されていた。

 他の種族の者達にはまだ見られない状態表記なので、おそらくだが獣人は他の種族よりも寿命が短いのかもしれない。

 まだ皆には寿命の話をしていないのだが、どうしたものか……


 ……おっと、今は彼らでは無くて若者達の問題が先か。


 獣人の若者の中で肉食系の動物を模している者達は、良く言えば元気が良い、悪く言えば乱暴者の者達が多い事は前から分かっていた。

 とは言え、力関係で勝る者の言う事は素直に聞くので、俺はさほど問題視はしていなかったのだが……


 何か、彼らの気をそらせ、疲れさせる様な物はないだろうか?


 相撲やレスリングなどの格闘技系の物は普通に殴り合いを始めそうなので、管理できない状態で放置するのはちょっと怖い。


 それに、彼らは知恵比べなどの遊びには関心が薄いしなぁ……

 薄いというか苦手なので、あまりやりたがらないのだ。


 やはり体を動かす遊びをと思ったのだが、獣人の強靭な爪や体との触れ合いは怪我などの心配が大きすぎる。


 肉体の接触を伴わない物は何かないか?


 せめてボールなどの遊具が有れば……


 ボールが有れば単純なルールで、直接的な肉体の接触を避ける事が出来る。

 安全性を配慮したゴムボールかスポンジで覆われたテニスボール程度のが望ましいが……


 作らせてみるか?


 いや、クッション性のある素材を用意するのが難しいか。

 糸や紐をぐるぐる巻きにして作っても、固い硬球の様な物しか出来ないし。

 クッション性など有って無い様なものだ。


「うーん……」


 何か他に良い物はないもんか……と、俺が考えを巡らせていると、鼻孔に砂糖が焦げた様な甘い匂いが漂ってきた。

 俺はその匂いの元となった物を思い浮かべ「これだ!」と思い至ったのだった。



 てなわけで、獣人の若者達に教えるのはドッチボールにした。


 相手の体にボールをシュートッ!すれば、凄く!エキサイティングッ!!な

 小学校などで、休み時間に大人気な遊びである。


 今回、使うボールは栗だ。


 この世界で見つけた栗は外の皮がトゲトゲになっておらず、針の代わりに太い毛が絡まった様なふわふわとした優しい作りをしている。

 これを中身を取り出さずに、そのまま丸ごと使えばクッション性の高いボールとして使えると気が付いたのだ。

 大きさは大人の男の拳程度の大きさしかないので、ドッチボールに使うにしては少々小さめであるが、それには目をつぶろう。

 拾ってくるだけだから用意するのも楽だし。


 そして、現在、俺の目の前では熱戦が繰り広げられている。


 もう勝負はつきそうな状態なのだが、片方のチームの豹の獣人が一人だけ内野に残って、かれこれ10分近く相手からのボールを避け続けているのだ。


 まだボールを受け止める事に慣れていないみたいだが、そのしなやかな肢体で巧みにボールをかわし続ける様子に、周りで見物している者達も大興奮だ。


 これなら獣人の若者達のエネルギーはこの遊びで発散されるだろうし、暫くの間は安心して遠出できるかな?と思い俺は一安心してたのだが。

 その様子を見ていた他の種族の者達や幼い子供達までやり始めたので、顔面へ栗ボールをぶつけるのは禁止などのルールを作り周知していたら昼近くまで掛かってしまった。


 出発は、昼飯の後にするか……

現GP:25

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