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神体コレクターの守護世界  作者: ジェイス・カサブランカ
第一章 創世編
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第3話 種族の誕生と降臨

 しばし、ワールドエディターのツールや操作の仕方を調べたり、男女のステータスなどを見ながら配置した人間の二人を観察していると、1年ほど経った頃、二人の間に待望の第一子が誕生した。


 子育てなどの行為は大丈夫かなと、もう1年ほど観察してみると順調そうであった。


 これで人口増加は出来ると判明したので、他の種族も作ろうと考えたのだが、残りのGPは22しかない。


 他の種族を作るのは良いのだが、異種族との交配は大丈夫なのだろうか?

 少し不安だし、人カテゴリーの種族のだけにしておくか。


 人カテゴリーの種族は人間、エルフ、ドワーフ、獣人、竜人の5種。


 精霊のカテゴリーにハイエルフや人魚なども居るのだが、カテゴリー分けで違うので今回は見送る事にする。


 人間は先に男女のペアが居るので、もう一組ペアを配置し、残りのエルフとドワーフと獣人と竜人は二組ずつ配置する事に決めた。

 先に配置した二人は二十歳になってるので、他の種族の年齢も20歳にして順々に作成し配置していく。


 これで残りGPは4ポイントだ。


「さてと……人カテゴリーのは全部作ったし。GPも4しか残ってないし。

 他に出来る事も思いつかないし、住民達でも観察してるか」


 いきなり十八人も増えたせいか多少の混乱は見られたが、最初に配置した人間の男……アダム君2号でいいか、そのアダム君2号を中心に、全員がある程度は纏まって生活を始めたようだ。


 嵐の時に女……こっちはイブちゃんでいいか、イブちゃんも助けてたが、アダム君2号はリーダーシップが有り能力も高いのかね?


 そんな事を思い、彼のステータスをチェックしてみると


 名前:ウア 性別:男 年齢:20 種族:人間 

 SID:2 状態:健康

 Lv:5 HP:72 SP:32 MP:25

 STR:17 DEF:14 VIT:15 DEX:12

 AGI:14 INT:12 MND:13 LUK:15

 技能:なし


 この様になっていた。


「あれ……?」


 ちょっと前まで名前は無かった気がするが……

 アダム君2号と勝手に名付けちゃってたが、名前があったのか。

 すまんウア君。


 ステータスの表記は、一般的なRPGなどのゲームに良く見られる物と同じ感じなのだが、SIDと表記されてる数値が何なのか分からないな。

 まぁ、SAN値とか善悪値などの厄介そうな数値が無くてよかったが。


 他の者と見比べてみると、ウア君の伴侶の女性は名前がアーウ、SIDは3でLvは4となっていた。

 他のステータスは、ウア君より少し低いが、これはLvが1低いせいだろう。

 ウアとアーウの子供のステータスも見てみると、名前は空欄になっていてSIDは4でLvは1だった。


「ふむ……」


 名前は彼ら自身が付けるか、自覚しないと表示されないのかな?


 子供のステータスに関しては軒並み1~2だ。

 まだ赤ん坊なのだし、ステータスの数値は年齢や体格でもボーナスが有るみたいだな。

 あとSIDの数値が両親より高い、なんだろうこの数値は?

 とにかく、他の種族とも見比べてみるか。


 他の種族の者達のを見てみると、SIDの数値は後に作った者ほど高い事が判明した。

 エルフが7から10、ドワーフが11から14、獣人が15から18、竜人が19から22となっている。


 これは、世界に生まれた順で番号が割り振られているのか?

 ID的な物なのだろうか?


 そう考えると納得がいく。

 ウアとアーウの順に配置し、次に二人の子供が生まれて、その後に配置した人間の男女のSIDが5と6だし、探しても見つからない欠番となってる1の番号は、不慮の事態で死んじゃったアダム君のだろう。

 何の為の番号なのかは不明だが、人物の識別と何時頃の生まれかの判断にはなるか。


 他のステータスに関しては、運の数値は全種族が同じくらいなのだが、やはり性別と各種族毎で、ある程度差異がある様だ。


 性別の差異は、男性は筋力と防御が女性より少し高く、女性は器用さと俊敏性が男性より高い。


 種族間のステータスの違いは


 人間の成人Lv1のステータスは、HPは50前後でSPとMPは共に20前後、他のステータスは全部が平均して10だった。


 エルフは、器用さと賢さと精神とMPの量は高いが、その他は低めだ。


 ドワーフは敏捷がかなり低く、MPと賢さと精神は平均的で、その他の数値が少し高め。


 獣人は力と敏捷が高く、MPと賢さと精神が低く、他は平均的だ。


 最後に竜人を見てみると、竜人だけは他の種族と違い、何故か全体的にステータスが低かった。

 他の種族のLv1のステータスの平均は10前後なのだが、竜人はどれも6~7程度しかなくHPやSPとMPも平均して3割程低い。


 だが、他の種族とは違い技能欄にブレス1と書いてあるな。


 他の種族に無い技能を持っているから、初期ステータスが低いのかも?と思って眺めてたのだが、竜人は他の種族よりも体格が小さい事にも気が付いた。

 グラフィックが3頭身程度のドット絵風な物なので少し判りにくいのだが、他の種族よりも体が小さいのだ。

 もしかしたら竜人は20歳くらいだと、まだ子供なのかもしれない。


 もう少し年齢の高い竜人を作れば、彼らが成長途中なのかが判明するのだが、いかんせんGPが残り4しかないのだ。

 このまま放っておいても勝手に育つだろうし、放置……じゃなくて、見守る事にしよう。


 皆の状態やステータスの確認も終り、他に出来る事も無いので、俺は時間の進行速度を少し早めにして皆の生活を観察した。


 最初のうちは、ウアとアーウを中心に、皆は平和に生活をしていた。


 ウアとアーウが経験してきた様に、嵐などの天候変化に恐慌状態になる者が多かったが、ウアが世界樹の下に皆を集め、なんとか宥めながら取り纏めている様子が窺えた。

 その皆を守ろうとする行動が功を奏したのか、彼はそのまま皆のリーダー的な存在になったようだ。


 問題が起きたのは、皆が天候や環境に慣れ始めて、しばらく経った頃に起きた。


 アーウの子育てが一段落付いたのか、またウアとアーウがイチャイチャし始めたのだが、その様子を見て他の者達も興味を持ってしまったらしい。


 それを他の者達も真似し始め、これで人口もどんどん増えるぞ!と、喜んだのも束の間、攻撃されて昏倒する者や異性の取り合いで諍いになる者達が続出し始めたのだ。


 それとウア君が他の女性に迫ったのか? いや、迫られたのかな?

 ともかく、他の女性に手を出そうとしてアーウに殴られてた。ワロス


 GPが残り少ないので、諍いで死者が出ないか少し心配してたのだが、今の所は怪我や気絶程度で済んでいる。

 リーダー的ポジションのウア君が一番モテているみたいだが、アーウが鉄壁の守りとなって浮気は防いでいる。

 ハーレムは難しそうだねウア君。


 しかし、どの時代でも恋愛関係は大変だな。

 なまじ倫理観などが無い所為か、完全に腕力勝負になってしまっている。


 ひどくなりそうな場合は、ウア夫妻の2人が暴力的方法ではあるが止めに入って仲裁しており、なんとか殺し合いまでは発展してないので安心した。


 半年も経つとルール的な物が出来たのか、はたまた力関係が決まったのか、いずれにせよ騒動は落ち着いてきた。


 騒動を通して仲良くなり、めでたくカップルになった者達も出始め、無事に人間と獣人とドワーフは順調に子作りを始めたので一安心といった所だが、エルフと竜人の二種族は違っていた。

 一緒に行動をする様にはなったみたいだが、未だ繁殖行動には至っていない。


 やはり種族的に長寿ぽいせいか、繁殖に関してものんびりなんだろうか?

 というか竜人達はまだ子供かもしれないし、この2種族に関しては経過観察が必要だな。



 ある程度は大丈夫そうだと感じたので、時間の進行速度をさらに早めて、皆を観察してゲーム内の時間で50年程の月日が経過した。


 順調に人口は増えて行き、全体では二百人を超えた。


 一番の繁殖力を持つのは人間と獣人であるようで。

 その二種族はイチャイチャして子供を産んで人数がどんどん増えた。


 ドワーフの繁殖の速度は人間の三分の二くらいだ。

 それでも、そこそこな人数には増えた。


 エルフはやはり繁殖力が低いのか、十数人程度の子供が生まれた程度で、少し前にようやく第三世代が生まれ始めた。


 一番懸念していた竜人だが、他の種族と同じくらいの大きさまでは成長したが、まだ繁殖は出来ておらず最初の4人のままとなっている。


 異種族間でも子供が出来るようで、人間と獣人とドワーフの三種族の間ではハーフをちらほらと見かけるようにもなった。


 そして、人口増加により別の問題も発生していた。


 人数が増えたので、ウアや親達の管理が行き届かなくなる事が多くなったからか、川や湖などに入って溺れたり、木から落ちたり等の、事故で死亡する子供が出始めたのだ。


 それと、繁殖期や種族としての能力の違いからか、人口が増えるにつれグループを作り生活をする種族が出てきた。


 繁殖期が、若い内は一年中ずっと続く人間。

 人間ほど旺盛ではないが、1年を通して繁殖期なドワーフ。

 1年の内、数ヵ月間だけ極端に繁殖行動が活発になる獣人。


 この三種族は、それほど繁殖期や成長速度に違いが無いようで、一緒に生活している事が多い。


 だが、成長速度が二十歳位までは人間と同じではあるが、数年置きにしか繁殖行為をしないエルフ。

 成長速度がかなり遅く、未だに繁殖期に至っていないと思われる竜人。


 この二種族が、他の三種族から離れて生活するようになった。


 どうやら、男性側がムラムラとくると種族関係なしに手を出そうとするのが問題らしく。

 女性側が繁殖期になっていない場合や繁殖可能な体年齢になってない場合、拒否する際に諍いが起きるのだが、力こそ全てな時代な所為か腕力系のステータスが低くて負けやすいエルフ達が、皆が生活の拠点としている世界樹から少し離れた場所で生活し始めたのだ。


 竜人も、未だ繁殖期を迎えていないので、繁殖行為が頻繁な他の種族のちょっかいが煩わしく感じたのか、竜人達もエルフ達と行動を共にする様になった。


 まぁ、種族の性質や性格の問題は、もう少し理知的な考えが出来る様になるまでは仕方ないか。


 今の所、死者に関しては、争いでは無く、事故でしか出ていない。

 寿命や病気で命を落とす者も、見ている限りでは居ないようだ。


 寿命に関しては、人間はある程度予想が付くが、他の種族に関してはさっぱりだな。

 エルフは長そうだし、成長の遅い竜人も長いと思うが、獣人とドワーフは人間と同じくらいだろうか?

 どれも、あと数十年は経たないと判断できないか。


 などと考えていたら、先程までのんびりと生活していた人間や獣人とドワーフ達の全員が慌ただしく世界樹の下に集まり始めた。

 エルフや竜人達も慌てて世界樹の方に移動して、全員が世界樹の根本で身を寄せ合う様に怯えている様子が見て取れる。


 何かが起きているらしいので、時間の進行速度を等速にまで落として調べてみると、どうやら群発地震が発生している様だ。


「うーん……

 まだ惑星が出来てから2億年程度しか経っていないし。

 地殻の活動も活発なんだろうなぁ……」


 世界樹の生えている場所と周辺は平地だし、まだ家屋なども無く原始時代みたいなものだから、地震の被害で犠牲者が出る事は少ないだろう。


「てか、これ、自然災害から守ったり止めたりする方法があるのか?」


 と、ツール類を調べようとした時だった。


 ピッという電子音と共に、画面に『オブジェクトが神体になりました』と書かれたポップアップ表示が現れた。


 なんだこれ……?


 パソコンやネットなどの黎明期から発展期辺りまでの記憶がある自分としては、突然表示されるポップアップには嫌な予感しかしないのだが……


 書かれている内容を読んでみると、どうやら神体とやらのナンバリングされた番号と位置座標とオブジェクトの名前が書かれていた。


 神体No.1 座標:XXX.XXX.XXX オブジェクト名:世界樹


 と、書かれており、その下に『閉じる』と『降臨』と書かれているボタンがあった。


 閉じるは分かる、たぶんこのポップアップ表示を閉じるんだろう。


 だが『降臨』てなんだ……?


 世界樹に降臨すんの?


 昔あった、天界から地上の石像に降臨して、地上のモンスターなどと戦うゲームや物語を思い起こされる……

 それみたいに、石像など人形や動物みたいな物に宿って行動するのは想像できるのだが、世界樹に降臨て想像がつかないな……


 世界樹に宿って何か出来るのだろうか?

 これって環境を整えたりするだけの、ただのでかい木だよね?


 うーん……


 考えても仕方ないか。降臨とやらを試してみよう。


 というわけで、ポチッとな!と軽い感覚で、俺はポップアップ表示の『降臨』のボタンをクリックした――



 ――その瞬間、突然、画面から強烈な光が発せられ、その光に包まれるように、俺も、周囲の景色も真っ白に染め上げられた。


「なッ、なんだ!?」


 驚きのあまり声を上げ、あまりの眩しさに耐えきれず目をぎゅっと瞑ると、次に体が浮いた感じがした。


 いや……これは落ちている感覚か!?


 と、フリーフォール系のアトラクションの感じを思い出していると、今度は下に強引に引っ張られる感覚と共に下方へ加速していくのを感じる。


 あまりの事態の急変に、どうなってるのかと目を見開くと、恐ろしい速度で地表に向かって落ちていく様子が俺の目に飛び込んできた。


 落下先にあるのは巨大な木、たぶん世界樹だろう。

 そこへと、自分自身が隕石にでもなった様な速度と感覚で猛烈な勢いで向かっている。


 秒にも満たない時間で世界樹と激突しそうだと感じ、俺は反射的に手で頭を庇おうとしたが、その手は無く、それどころか体も無かった。


 そんな状態に完全にパニックになり、解決策も状態把握もままならないまま、俺は世界樹へと激突した――



 ――が、衝撃や痛みは無かった……


 軽い気持ちで『降臨』ボタンをクリックしたら、いきなりパラシュートも無くスカイダイビングさせられるとは思わなかったが、どうやら俺は生きているらしい。


 激突の瞬間に怖くて閉じた瞼をそろそろと開けると、目の前には自然あふれる光景があった。


 先程まで居た不自然な草原とは違う。


 色彩豊かな花々が咲き乱れ

 様々な果物を実らせた木々が生い茂り

 遠くには噴煙を上げる大きな火山があり

 また一方には広大な海が広がっている


 上空には目も眩むような真っ青な空と、太陽と日中でも見える青白い月が有り、真っ白な雲も所々にある。

 遠くには、夏休みの時に行った田舎で見たような大きな入道雲も……


 しばらく呆然と目の前に広がる景色を眺めていると、妙に自分の視点が高い事に気が付いた。

 それどころか、360度全周囲を同時に視認できている事にも……


 置かれている状態が、さっぱり分からなくなり、体などは無事なのかと自分の体に目をやると、体が巨大な木になっている事か何故か認識できてしまい


「なんじゃこりゃ!?」


 と、俺は驚愕の声を上げた――

GP:4

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