第21.5話 リサイタル
作ってもらった草鞋を履き世界樹の根元まで皆と一緒に帰る途中、どうやら何時もより帰りが遅くなったらしく到着する前に日が暮れてきてしまった。
森の中を歩いているので殊更暗く、木の根などに足を取られて転倒しそうになる者達が出始めたので、俺は魔法で光球を作り出し、エルフィーと一緒に先導する事にした。
こう、皆を引き連れて帰路に就いてると、子供の頃の集団下校の様な雰囲気を思い出すな。
町内だか学校だかのスピーカーから、子供は帰る時間だよと知らせる曲が流れてたっけ。
「ん~ん~んん~ ひ~か~り~ ふ~ん~ん~ん~ふ~ん……」
あの曲を流すと子供に限らず、居酒屋やバーで閉店時間まで粘るお客さん達も、こぞって帰っていくという最強ソングだったなぁ……
などと懐かしい記憶を思い返していると、隣に居たエルフィーが俺をガン見している事に気が付いた。
「なんだ? どうしたエルフィー?」
「えっと、今のは……歌……音楽?という物でしょうか?」
何事かと尋ねると、彼女はそう聞き返してきた。
しまった……
ノスタルジーに浸ってた所為で、無意識に鼻歌をしてしまっていたらしい。
先程まで俺の後ろの方で、草鞋の感想や改良点を話し合っていた他の者達まで、静かになり俺を凝視するように見ていた。
「あ、あぁ、そうだな」
「聞いていると、不思議な感じがしました。
何か……物悲しさと一緒に安息を感じるというか……」
と、感想を言われたが、こっちとしては気が緩んでいる時の鼻歌を聞かれた気恥ずかしさで一杯だ。
「主様! 主様! もっと!もっと聞きたい!」
と、リーティアに至っては、さらに続けろとせがんできてしまった。
仕方ないので、俺は皆を引き連れ鼻歌を続けながら帰る事となった。
そして……明かりを携えて皆で帰って来た為、まだ寝入ってなかった者達の注目までも浴びる結果となり、その日は帰って来てからも俺はソロでコンサートの様な事をする羽目になったのである。
最初の方は思いつく曲を気ままに披露していたが、途中からは寝ていた者達も起きて参加し始めた辺りで俺は思った……
――このままでは皆、寝そうにない――
別に明日の予定や決まった生活の規則が有るわけでは無いが、中には幼い者達も多いのだし、あまり夜更かしはよろしくない。
そう考え、俺は歌う曲のジャンルを、ゆったりとして落ち着いた感じの曲へと変更していった。
すると、聞き入っていた者達は、ちらほらと舟をこぎ始める。
やがて一人、また一人と地面へと横たわり、スヤスヤと寝入り始めた。
どうやら子守歌作戦は成功の様だ。
皆がこちらの目論見通りに寝静まるのを待ち、俺は歌声のボリュームを少しづつ下げながら、皆の寝顔を見てほっと一息ついたのだった。




