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神体コレクターの守護世界  作者: ジェイス・カサブランカ
第一章 創世編
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第16.5話 ブーム

サブストーリーです。彫像作成中の間のお話。

 彫像を皆で作り始めて数か月が経ち、作業工程もそろそろ第二工程へ移ろうとしていた頃。


 エルフィーは彫像作業へはさほど携わっておらず暇そうだったので、代わりにまだ言葉を喋れない者達への先生役を頼もうと思い、俺は彼女を呼んだ。


「と言う訳で、私は彫像の作成作業での指示をせねばならないので、皆への講師を頼めるか?」


 と彼女に頼んでみたのだが、意外な返答が返ってくる事となった。


「嫌です……」


 なん……だと……?


 え……? あれ?

 今まで何か頼むと嬉しそうに引き受けてくれてたよね!?

 どうゆうこっちゃ!?

 も、もしかして、反抗期って奴か?

 エルフィーもお年頃って事なのか?


 今までになかった事に若干パニックになっていると、突然頭の中にエルフィーの声が響いてきた。


「(大樹様……聞こえますか? 今、大樹様だけに話しかけています)」


 こいつ、俺の心に直接!?……いや、これは神語か?


 こんな風に話しかける相手を限定する様な使い方もできるのか。


「(どうした? 何か他の者には聞かれたくない話があるのか?)」


「(はい、その……みんなに言葉を教えるのは構わないのですが、皆の前に立つのが嫌というか……何か、不快に感じるのです)」


 これは……


 あぁ、そういうお年頃になったのかな?


「(それは恥ずかしいという感情を感じているのか?)」


「(それです! 恥ずかしいんです!)」


 やはりかそうか。


 そういえばエルフィーも、もう16歳か。


 エルフィーもエルフ特有の体形ではあるが、色々と成長して細身の美人さんになりつつあるし、男達の注目を浴びる事が多くなってきたのだろう。


 それと彼女には他の者とは違い、過剰な知識までも与えたせいか情緒面でも皆とは差異が有るのを忘れていた。

 まだ皆には服を着るという文化も常識も無いのだが、エルフィーには素っ裸で大勢の前に立たせるような事は酷だな。


 たしかアダムとイブも、禁断の果実だか知恵の実なんかを食べてから羞恥心を覚えて、葉っぱか何かで隠すようになったんだったか?

 それと同じ様な事がエルフィーにも起きてしまってるのか。


 うーん……何か、葉っぱで服でも作らせて、それを着させれば大丈夫かな?


 幸い周辺の木々には、様々な大きさや形の葉が有るのだし、それらと草の茎や蔓を使って組み合わせれば簡単な物なら作れるだろう。

 もしくは時間は掛かるだろうが、繊維質な草から糸を手作りして編み上げるという手もあるか? いや……これは難しいか。

 布の作り方や編み方なんて、俺も詳しくは知らないしな。


 とりあえず応急処置的に葉っぱなどでの服を作らせておくか。

 ついでに暇気味な、竜人の女の子二人も参加させよう。

 この三名は仲良しっぽいし、三人集まればなんとやらだ。


「エルフィー、それとシルティアとリーティア。

 お前達三人は、葉や草を使って服を作りなさい。

 糸の代わりに蔓や草の茎を使えば簡単な物なら作れるはずだ。

 エルフィー、服の事は分かるか?」


「服……はい! わかります!」


 今度はいつもの様に、エルフィーは元気に答えたのだった。



 それから一年ほど、俺は彼女達のファッションショーらしき事に付き合う羽目になった。


 最初の頃は、大きい葉っぱを被る程度の物だったのが、だんだんと手の込んだ物を作るようになっていき、最終的には蔓や草を編み込んで布の様な物まで作り始めた。


 途中から彫刻作業にかかわってない者達も参加し、規模が大きくなり始めて、最近では彫刻作業の昼休みに、皆で集まり最新作の発表会をするようにまでなってしまった。


 エルフィーもそれに積極的に参加しており、1年前までは大人数の前に立つのが嫌だと言っていたのが嘘みたいだな。

 うーん……まだ必要になるかは不明だが、俺の着る服も作ってもらおうかなぁ。

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