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神体コレクターの守護世界  作者: ジェイス・カサブランカ
第一章 創世編
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第16話 人ならざる者の爪

 昨夜のキャンプファイヤー的な何かは、深夜まで及んだ。


 俺もエルフィーとの〇×ゲーム勝負に最後まで付き合う事になり、ちょっと精神的に疲れた。


 途中から引き分けが続くようになり、最終的に五目並べをやる事になった。


 勝負の結果? そりゃ俺が勝ちましたともさ。


 正々堂々と戦い、実力の差という物を教えてやりましたよ。


 どんどんと上達していくエルフィーの強さに危機感を感じて意識加速なんか使ってないよ?


 そんな訳で夜遅くまで遊んでいたせいか、朝になっても殆どの者達は目覚める様子も無く、俺の近くでスヤスヤと寝ている有様である。


 まぁ、別に、仕事や学校などが物理的にも文化的にも無いのだし、このままほっとこう。

 まるで妖怪みたいな言い訳だな……


 それはともかく、皆で運んできた白く大きな岩が目の前にある。


 大きさは高さ2m以上あり幅は1.5m程だろうか。

 これを如何にかして、人の形の彫像を作れないか考えなければならない。

 現状では岩を彫る道具などは無いので、それらの調達方法かそれらの代わりになる物を探さなければならないのだが、どうしたものか……


 岩の強度としてはそれ程固くは無いはずなので、木の枝や他の石を使えば多少なりとも削れると思う。

 時間は掛かるだろうが、それらで間に合わせるしかないか?


 それと、作るにしても、俺は手足も無い状態なので当然、皆に任せるしかない。


 やはり彫刻などのクラフト系の事はドワーフが得意だったりするのか?

 それでも、いきなり彫像なんて作らせるのは難しいだろうか?

 少し何か別の物で練習なりをさせた方がいいかな……――



 暫くの間、俺が寝ている皆を眺めながら彫像の作製の事を考えていると、徐々に皆が起き始めた。


 最近、日課みたいになっている、エルフィー一家と竜人達の朝食風景を眺めていると、竜人の少年二人の手の構造が気になり、俺はそのレイディアとバハディアの手を注視した。

 女の子の竜人二人の手は普通の人と大差ないみたいだが、少年二人の手と爪の構造がドラゴンの爪の様に黒く鈍く光り、鋭く、とても頑丈そうに見えるのだ。


 彼らの爪なら、あの雪花石膏の岩を彫る事も可能ではないか?


 ちょうど、二人の朝食が済んだところで、俺は二人にさっそく試してもらう事にした。


「バハディアとレイディアよ。二人に頼みが有るのだ。

 昨日、皆で運んできたあの岩を、君達のその爪で削れるか少しだけ試してくれ」


 二人に頼み、岩を削る様子を観察すると、簡単に彫れている様だった。


 これは良い人材を見つけたな。


 他には居ないだろうかと見回してみると、獣人の男の中にも手が獣の様な爪を持つ者達が居た。

 獣人達もスカウトしておこう。



 岩の大まかな形を整える作業を、竜人と獣人の男達に任せる事にしたは良いが、やはり作業の指示などをするにしても、出意思疎通が不可欠になってくると思う。


 今回、彼らに頼むのは力仕事などの本能的な物で出来る事では無く、技術的な作業になるためだ。


 だが、エルフィー以外の者達は、まだ簡単な単語を言える程度で、細かなやり取りは難しい。


 なのでついでに喋れる者達を一気に増やす事にした。


 エルフィーに言葉を習得させた時は、たぶん1GPでも多すぎたのだろう。

 その所為で意図していたよりも過多な知識や知恵まで授けてしまった。


 そんな訳で、1人に1GPでは多すぎるなら分散してみようと言うのが今回の試みだ。

 今回はエルフィーの時の様な失態は起きない……はずだ。たぶん。


 選んだメンバーは最初に地上に誕生させた者達に決めた。


 人間からは、ウアとアーウ夫婦、アムとウーワ夫婦の4名。

 獣人からは、男の虎の獣人ガウと狼の獣人バウ、女の兎の獣人キュイと鼠の獣人チーの4名。

 ドワーフからは、男のドグとダグ、女のドールとダームの4名

 エルフからは、男のエルフのエルとムート、女のエルフのルルとエーブの4名

 竜人からは、バハディア、レイディア、リーティア、シルティアの4名、というか全員。


 以上の20名である。


 全員年齢は70を超えているが、比較的Lvが高く、年齢の割には若々しいので大丈夫だろう。

 獣人の男と竜人の男の4名には岩を大まかに削る作業を、ドワーフの4名には最終的な仕上げの作業を頼もうと考えている。

 残りの者にはサポートなどに回ってもらう予定だ。


 お昼前には全員が起きたので、俺の根本付近に集合してもらい事情説明をする。


「昨日、皆に運んで貰った岩を加工して彫像を作りたいのだが、それにも皆の協力が必要なのだ。

 だが、今回行う事は根気と正確な作業と互いの意思疎通が求められる事になる」


 そう言うと集まった皆は一様に不安げな表情をした。


「なので、先ずは意思疎通の面から解決するために、ここに集まってもらった全員に言葉の知識を授けようと思う。

 言葉を覚えた者は、彫刻を作る事にたびたび協力してもらう事になる。

 強制では無いので断りたい者は遠慮なく言う……のはまだ難しいか。

 首を横に振るなり拒否の意思表示をしてくれ」


 さすがに、強制参加は気が引けたので、一応は参加協力の意思が有るかの確認もする。


 言い終わった後に、少し考える時間が必要かも?と思ったが、全員が即決で言葉を覚えて参加したいとの意思を示してきた。


「ではさっそく言葉の知識を与える。

 そこに片膝を着いて待ちなさい。

 エルフィーは私の葉を何枚か拾い集めておいてくれ。

 他の者達は少し離れていなさい」


 エルフィーの時の様に、言葉を覚えさせたとたん気絶して倒れる者が出るかもしれないので、全員の姿勢を低くさせて気を失っても頭などを強く打たない姿勢を取らせる。

 それと応急措置用にエルフィーに世界樹の葉を用意しておいてもらう事にした。


 今回は力を20人に均等に分け与えねばならない。

 今後の為にもGPで出来る範囲の把握とテストはしておかねば。


 込める願いは、目の前に集まっている者達に言葉を習得させる事。


『我が前に集いし原初の民に言語を授ける!』


 籠めた願いと共に、20人全員に行き渡る様にイメージして力を解き放つ。


 放たれた力は、跪きこちらを見上げる皆の頭上に飛んで行き、円盤状に広がると、下に向かってオーロラの様な光のカーテンを伸ばし始め、その薄く光る膜は皆を包むと吸い込まれる様に消えて行った。


 力を与えた皆の様子を見てみると、少しふらついている者はいるが今回は昏倒する者は出ていない。


 ステータスも確認すると、全員一律で神語の数値が5まで上昇しており、Lvと賢さと精神の数値が若干増えていた。


 なんとか上手くいったらしい。


 そう思い、俺は心の中でガッツポーズをするのだった。

残りGP:2

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