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神体コレクターの守護世界  作者: ジェイス・カサブランカ
第一章 創世編
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第12.5話 史上はじめてのお使い

今回はエルフィー視点です。言葉遣いなどが変なのは仕様です。

 大樹様が初めて私たちを助けてくれた時の事は、今でも鮮明に覚えています!

 まだそんなに忘れるほどの日にちは経過していませんが……


 あの日、私たちがとても怖い思いをしていた時に大樹様がピカーっと光って、あの大地の怒りから皆を守ってくれた時、私は別の事に驚いていました。


 大樹様の話す言葉。


 あの不思議な言葉を大樹様から聞くたびに、頭の中に色々な物が飛び込んできたのです!

 それは、とても新鮮で驚きの体験でした。


 大樹様の声を聞くまで、わたしの世界には色も無く、霧?霞?の中の生きていたように感じていました。


 考える事はぼんやりとしか頭に浮かばず、したい事もはっきりとは分からず、力も無く、ただ父や母に守られるだけの存在だったんです。


 ですが大樹様の言葉を聞き、その行いを見た時、わたしは何か言い表せない気持ちに突き動かされて、大樹様にお祈り?お願い?をしたのです。


 すると大樹様は、私に世界を知る力とそれを表す方法を授けてくれました。


 でも、その力を貰った時にすごく痛くて、いつの間にか眠っちゃってたのは何だったのでしょう?

 大樹様のする事ですから、何か意味が有ったのだと思うのですが……


 わたしが目を覚ました時、目に映る物は前とは違って見える様になり、それまで生活してきた全ての場所と物、全部に驚きました。


 花や草


 木々やそれに実る果物


 そして大樹様……


 ぼんやりとしか感じていなかった世界が、はっきりと感じられるのです。


 それだけではありません!


 今まで何も知らず、考えるという事すら満足に出来なかったわたしが、頭で色々な事を言葉ではっきりと形に出来て、考えた物や事柄の内容も分かるようになったのです!


 それを感じて、目に映る物以外に、頭の中にも世界が有ることをわたしは知りました。


 それからも大樹様は、わたしやみんなの求めている事や必要な事を授けてくれました。


 大樹様は個人?自分自身をはっきりと感じ取れる様になる、名前を皆に教えてくれました。


 そして……あぁ……


 大樹様の話てくれる物語という、とても素晴らしい言葉と世界に感動しました。


 大樹様が物語を語ると、その言葉と共に不思議な景色や人々が頭の中に浮かぶのです。

 その世界を頭の中で感じ取り、大樹様の声と共に聞くお話の内容も、心が引き付けられ、とても楽しく心躍りました……


 大樹様は、わたしも大樹様と同じ言葉、神語という物が使えると言っていましたが、わたしには大樹様の様に言葉を聞かせた人に、風景や人々の映る世界を見せる事は出来ません。

 これからもっと大樹様から色々な物を学べば、出来るようになるのでしょうか?


 いいえ……疑問に思う事は無いのです!


 わたしの心は、安心して大樹様に委ねれば、望みは叶うと感じているのですから。



 今日は大樹様から、頼み事?お使いを頼まれました!


『エルフィー、前に私に持ってきた白い石を覚えているか?

 あの石の、もっと大きな物が欲しいのだが、拾ってきた場所を覚えているか?』


 前にわたしが大樹様へ捧げた、少し透き通った白い石を好きに?気に入ってくれたのかな?

 今度は、もっと大きな物、岩が欲しいと大樹様は言ったのです。


 大樹様の話す言葉と共に流れ込んで来る大樹様の感情で、その岩がとても大切な物なのだと私は感じました

 それと同時に頭に浮かんだのは、私では大樹様の期待に応える事が出来ないという思いでした……


 わたしは、あの川の中に入り岩の所まで行った事は無いし、持ち上げる力なんて無いからです。


 いつも私達が欲する何かを与えてくれる大樹様に、大樹様の欲する物を捧げる事が出来ない自分の非力さに、わたしはもどかしい気持ちになりかけました……

 でも、大樹様は力のない私にも出来る事を、今の私にしか出来ない事を教え導いてくれました。さすが大樹様!


 私と一緒に、大樹様から頼み事をされたウアさんと共に、ウアさんの選ぶ男の人達を集め、大樹様からのお願いを説明すると、皆は真剣な表情をして私について来てくれました。

 今までお父さん以外の大きい男の人達は怖いと感じていたのに、今は何故か頼もしいと感じます。


 しばらく男の人達を案内して森の中を歩いていると、あの白い石を見つけた川が見えてきました。

 近くまで行くと、キラキラとお日様の光を受けて光る川の中に、あの大樹様に伝えた大きな白い岩も見えて、わたしはホッとしました。


 でも大事なのはここからです。


 落ち着いて、大樹様の言っていた危険そうな事?注意かな?を思い出します。


 まずは川の深さの確認です。

 いちばん背の高い人に頼むことにします。


 たしか、この人はウアさんの子供の一人だったかな?

 名前は、えーっと、えーっと……そうだ、ウアルさんだ。


『ウアルさん、あの川の中の白い岩の近くまで行けるか試してください。

 水が深くて危ないと思ったら、すぐに戻ってきてください』


 大樹様から授かった、神語でウアルさんにお願いしました。


 神語でたくさん喋ると体の中の力、大樹様は魔力と言ってました、その魔力が減ってしまって、無くなると眠くなっちゃうのですが、皆さんにしっかりと言葉を伝える時は神語を使わないといけません。

 まだ他のみんなは言葉がうまく使えないのでしかたないのです。

 でも、今日は魔力が減って来たら食べようと思って、おやつに大樹様の葉っぱを持って来ているので大丈夫なのです!


 ウアルさんが無事に岩の近くまで行くのを見届け、ウアルさんに大丈夫なのかを聞くと頷いたので、他の皆さんにも岩の所に行ってもらいました。


 水の深さは一番背の低い人でも、胸の辺りまでしかないし大丈夫かな?


 それに岩の大きさが、水から出ている部分だけでも私より高くて、幅?太さ?もわたしが手を広げても5人くらいは必要そうな大きさなので心配です。


 皆さんが岩を囲むように並び、ウアさんの掛け声で全員が岩を掴むと、その白くて大きな岩が少しだけ動きました。


『みなさーん!がんばってくださーい!』


 わたしは小さくて力も無いから参加できないので、心を込めて。みんなの応援をします。


 そして、応援しながらみんなを見守っていると、岩がゆっくりと持ち上がっていきました。


 持ち上がった岩がこっちにだんだんと近づいてきて、水の深さが岩を持っている皆の腰の辺りまでの所に来た時でした。


 岩を持ち上げていた中で一番背の低い男の人が、突然バランスを崩して水の中に倒れてしまい、その隣で岩を持ち上げていたウアさんが、倒れた人に手を伸ばして助けようとしたのですが、二人ともそのまま水の中にドッポンと倒れてしまいました。

 そこに皆で持ち上げていた岩が落ちて、その二人の上に乗ってしまったのです!


 ど、どうしよう!?

 一体どうすれば!?


 無事な男の人達も、二人を助けようと、慌てて岩をどかそうとします。

 でも岩は持ち上がりません。


 私も急いで岩の所まで行こうとしたのですが、川に入り岩の近くまで行くと、水がわたしの胸くらいまで上がってきて、こんなに深い所まで水に入ったことの無いわたしは、怖くなって動けなくなってしまいました。


 すぐそこで岩の下で苦しんでいる二人が目に映り、わたしの胸まで来ている水も見えて恐怖と混乱で頭がいっぱいになったその時、わたしの頭の中に大樹様の言葉が浮かんだのです!


 あれはそう、たしか――


――『モモタロウがシバケルベロス、キングゴクウ、不死雉の3匹を仲間にしてから数日後、無事に目的地のオーガ島の見える海岸にたどり着いた。


 しかし! モモタロウと、その三匹は、海岸と島との間にある海を渡る手段を持っていなかったのだ。


 だが! 海を見つめ、困り果てていたモモタロウ達の前に、一人の青年が現れてこう言いった。


 私の名前はウラシマン、村の者からあなた達がオーガの退治に向かっていると聞き、助けに来た!

 今こそ私の全魔力を使い、オーガ島までの道を作ろう!


 海よ!割れよ!そしてこの者達を導く道となれ!


 すると、モモタロウ達の目の前の海が轟音と共に割れていき、オーガ島へと続く道ができたのだ。


 モモタロウは……』――


 そう! これです!

 大樹様のお話に出て来たウラシマンを真似ればいいんです!


 ウラシマンは、魔力を使うと言っていました。


 最近は大樹様の教えのおかげで、自分の中に有る魔力を感じ取れるようになってきたのです。

 そして言葉を発する時にその魔力を籠めるか籠めないかで、神語と普通の言葉を使い分けれる感覚も覚えました。

 ウラシマンはあの時、たぶん言葉にやりたい事のイメージと自分の魔力を全部乗せて放って、海を割って道を作ったのです。


 これなら、わたしにも出来る気がします!


 わたしは、優しくて、大きくて、常に私たちを守り導いてくれる大樹様のお話を思い出し、心に勇気が湧いてきました。


 あのお話で感じたイメージは、広大な海の遠くに見えるオーガ島、あの海を割るほどの魔力を持つウラシマン。

 わたしには、そこまでの魔力は無いですが……


 ……この川の水くらいなら!


『川よ!割れよ!そして二人を助ける道になって!』


 わたしが、体に感じる魔力をイメージと共に言葉に乗せて出すと、岩の周りから水がはじける様に離れて行って、岸までの道が出来上がりました。


 その様子を目にしながら、わたしは眠くなり……――



 ――何か口に水みたいな……これは……大樹様の葉っぱの味?


 口に流れて来る大樹様の葉っぱの汁を感じて、わたしは目を覚ましました。

 すると目の前には、お父さんとお母さんとウアさんが居ました。


 起き上がって周りを見ると、私は川の近くの木の下で寝かされていたみたいで、近くにウアさんと一緒に岩の下敷きになっていた人も立っていました。


 二人とも助かって良かったぁ……


 お父さんとお母さんから話を聞くと、大樹様に頼まれて近くまで来ていて。

 わたしの声が聞こえて、大きな音がしたので様子を見に来たらしいです。

 そこで、私たちが大変な事になっていたので、一緒に来ていたエルフの皆で助けてくれたみたい。


 そして、わたしがおやつに持って来ていた大樹様の葉っぱを、怪我をしていたウアさん達とわたしに使って治してくれたらしい?みたいでした。


 大樹様に頼まれた白い岩も、わたしが眠ってる間にみんなで岸まで運んでくれたみたいで近くにあります。


 よかった、無事に大樹様のお使いが出来て……


 早く大樹様に伝えに行かなきゃ!

実はエルフィーはこの作中に2回魔法を使ってます。1回は助ける時で、もう1回は……

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