表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神体コレクターの守護世界  作者: ジェイス・カサブランカ
第一章 創世編
12/95

第10話 名前と竜人

 地上の皆に、言葉の基本的な発音を教え始めてから数日が立ち、発音が出来るようになった者達は、それぞれの名前を決める事となった。


 決め方の方法は様々だ。


 言葉を覚えた両親がその子供に名付けたり、夫婦の関係になってる者は互いに名付け合ったりと、各々の自由にさせた。


 まだ人口が二百人程度なので名前が被る事は少ないが、人口が四桁くらいになったら苗字なども考案する事になるかもしれん……

 まぁ、それは何年も先の事になりそうだし、その時になったら考えよう。


 それはさておき、現在俺は、名前を決めれないという者が何名かいたので、その者達の名前を考えてる真っ最中だ。


「うーん……」


 目の前に居る者は、他の皆とは少々毛色が違っている。

 いや、毛色では無く鱗だ。


 その者は、黒い滑らかな鱗に覆われた肌で、まだ小柄だががっしりとした体格をしており、ワニやトカゲの様な尻尾を尻から生やしている。

 頭には厳つく黒光りした角が2本生えていて、髪が無い代わりに棘の様な鱗が頭を覆っており兜のようだ。

 体の各所も鎧の様な甲殻質なプロテクター状の鱗で守られ、顔の造形は人のそれではなく爬虫類と人とを掛け合わせた様な形状をしていて、その瞳孔が縦に裂けた爬虫類風の金色の瞳がこちらを見上げていた。


 そう、目の前に居るのは竜人の少年の一人だ。


 殆どの者は自分自身で決めるか、両親から名付けてもらうかを選択したのだが、彼等、竜人の四名は全員が俺に名付けて欲しいと進み出て来た。


 まだ最初の4人のままで、交流も人数の少ないエルフ達と主にしていたからか、名前の必要性を感じていなかったらしいのだが。

 ここ数日やっていた言葉の学習や、アレンジ昔話を聞いてて欲しくなったのか、俺の元へとやって来た。


「よし。お前の名は……バハディアだ」


 うん、格好良くて強そうな名前を付けれた……はず。


 名付けられた彼は、満足そうに頷き、誇らし気な表情をしている。

 まぁ、人とは違う造形の顔なので分かりにくいが、たぶんそのはずだ。

 気に入ってくれたようで何よりだな。


「どうだ?言えるか?」


 黒い竜人の少年に、ちゃんと発音できるか確認をしてみると


「ガハ……バ、ハデ、イア……ガ……ハディ……ア」


 と、まだ難しい様子だった。


 これは少し助けが必要そうだな。

 というわけで、助手を呼ぼう。


「エルフィー。

 彼、バハディアに名前の文字と発音を教えてやってくれ」


 少し離れた所で他の者に名前の発音を教えていた、長い銀髪で耳が長く青い瞳の小柄なエルフの少女を呼んだ。


 そう、GPを使って神語とLvを上げたあのエルフっ子だ。


 彼女は両親である、父のムントと母のエフから名前を付けてもらったらしい。


「はい、すぐに行きます」


 なかなか優秀らしいエルフィーは、普通の発声のみではっきりとそう言葉にすると、小走りでやってきてバハディア君の足元の地面に小枝を使いカタカナで彼の名前を書き始めた。


 どうやら彼女は、言葉を認識できる物なら、文字の事も分かり、書く事も出来るらしい。


 先日、言葉の授業をしている際に、彼女が一人で地面に何かを描いているのに気が付き、それを見てみると、ひらがなを地面に書いていたので俺は驚いた。


 そこで、まだ皆には文字は必要ないかもしれないが、せめて自身の名前の文字くらいは教えてあげたいと思い、身体が木なので文字の書けない俺の代わりに、こうして皆に名前の文字を教えてあげてもらっている最中なのだ。

 ついでに彼女本人の文字の書き取りの練習にもなるだろう。


 しかし、エルフィーは言葉を覚えてからまだ一週間程度だというのに、どんどん色々な事が出来るようになっていくな……


 さてと、残りの者の名付けも片付けねば。


 次の者は、小柄で真っ赤な長い髪の間から2本の黒い角が伸びていて、体の肩と肘と膝が鎧の様な甲殻質な物で覆われ、尻からバハディア同様に尻尾の生えた少女だ。

 彼女も竜人なのだが、男の竜人とは違い顔の造形は人間で、体も鱗などに覆われていない大部分は人間の女性と変わらない姿形と肌をしている。

 瞳の色は他の竜人同様に金色だが、瞳孔は人間と同じ円形みたいだ。


 ふむ、竜人は男と女で結構違うんだな。


 男の方は人の形をしたドラゴンって感じだが、女は人間の女性の所々にドラゴンの要素が付いているという姿形をしている。


 名前はどうするか……

 赤い竜人の女の子……


「うーん……よし、君の名はリーティアだ」


 うん、我ながら良い名前な気がする。


 炎属性っぽい姿をしてるし、炎の魔獣だか魔人だかのイフリートのリートの部分と、先に名付けたバハディアの語尾部分、ディアをティアと女の子っぽい感じにして融合させてみた。


 そんな感じで残り2人の竜人にも名付けて行った。


 白い鱗の男の子の竜人にはレイディア。

 青い髪の女の子の竜人にはシルティアと名付けた。


 しかし、竜人は何時ごろ子供が出来るようになるんだろう?


 年齢も70を過ぎてるし、ステータス的にも他の種族の成人と同程度まで成長しているのだが、見た目はまだ少年少女に見える。

 人間で言うなら14歳程度だろうか?

 背の高さなどは14歳のエルフィーと大差ないのだ。


 他の種族は18歳前後で大人の体格に達するみたいだが、竜人はやはり成長が遅いのか?


 もしくは食べ物が悪いのかも?

 肉などのたんぱく質が不足しているのかもしれないな……


 いや、それは無いか。


 他の種族の男達も同じような食生活をしてるのにムキムキだし、女性達もしっかりとグラマーな体形をしている。

 動物などの肉を摂取してないのに、なんであんなに立派な体格になってるのが不思議だ。


 エルフィーから名前の発音の補習を受けている竜人の4人を見ながら、俺はこの謎は棚上げするしかないなと思ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ