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クレープ、教室、謎解き1
「2ーCの教室に来い。」そう書かれた手紙が届いたのは8月17日の朝だった。
高2の夏休みを満喫していた僕にとってそれは、全く心当たりのない手紙だった。なぜなら僕には、悪ふざけをする友達もいなければ事件に巻き込まれるような行動も起こしていない。至って普通、取り立てて秀でた能力もない 、中肉中背の帰宅部フツメン男子高校生だからだ。
昔の予告状の如く新聞を切り貼りして作られたその怪文書は、消印もなければ切手も貼られておらず、差出人も宛名も書かれてはいなかった。
普通ならば無視して破り捨てるところだか、2行目に書かれた一文がそれを躊躇わせた。
「来なければ秘密をばらす。」
秘密とはなんのことか、文面からは皆目検討がつかないが、僕も思春期の高校生である。ばらされてこまる秘密の一つや二つ、当然のように持ち合わせている。
かくして僕は謎の手紙を片手に、夏休みの教室へ向かうこととなった…