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簡易タイムマシン

作者: 高橋勇樹

「ついに完成したぞ!」

私はこれまでになく興奮していた。

長年の夢であったタイムマシンの発明に成功したのだ、きっと世界中を揺るがすことになる。

だが問題点もある、タイムマシンと言ってはいるが任意の過去や未来へ物体を移送するものではなく、30分後の未来を見る為のゴーグルなのだから…


最初はわかりやすいようにテレビ番組で実験してみる。


ゴーグルを着けずに裸眼で観ると今現在放送中のニュース番組が観える。

そしてゴーグルをつけると、そこには30分後に放送されるはずのドラマが映し出されている。

機能は限定的ではあるものの、これは凄い。

下世話な話しだが株式投資やギャンブルに使えば必ず儲かるのだ。


思えばこれまで研究の為に多額の借金をしているがこれで一気に解決である、しかも公にすれば莫大な利権をもたらすであろう。


まずは最も身近な競馬でとりあえすこれまでの借金を精算しようと思いオッズを見る。

しかし今の私の所持金では一番高い配当が当たったとしても借金を完済するには至らない。

そこで私はいわゆる闇金融から元手を借りることにした。

何しろ必ず的中するのだから闇金融の法外な金利だって気にはならない。


事情を話し闇金融から金を借りることに成功したが、一応お目付役としてチンピラ風の若者が同行することが条件だった。

当たり前なのかもしれないが私の発明を手放しで信じてくれているわけではないようである。


チンピラを従えて競馬場へ向かう。

券売所前の大型モニターを見ると今日のこれまでのレース結果が表示されている。

ここでゴーグルの出番だ、さっそくゴーグルを着けて見ると30分後のレース結果が見える。

浮かれて間違えてしまわぬようにしっかりとレース番号と着順をメモに書きとめる。

しかも今回のレースはまさかの高配当であり、確実な一攫千金に思わず震えてしまう。

マークシートにチェックを入れるだけで次の瞬間には大金が転がり込んでくるのだ、なんと簡単なのだろう。


後ろで闇金融のチンピラがまるでバカな奴でも見るように私を見ているが、次の瞬間に勝利の高笑いをするのは私のほうである。

窓口で全財産を投票し、したり顔でレースを観戦する。


もちろん結果は…



そんな…嘘だろ…


こんなバカな事があってたまるものか!



私の投票した馬はトップどころか最下位となった、私は全財産を失ってしまった…


いったいどうして?


答えはすぐにわかった。

単純な事である、私が見た30分後のレース結果は私が投票していない未来の結果だったのだ。

私が投票することによって未来が変わってしまったのだ…


それ見たことかとばかりにチンピラが近付いてくる。

そして私は後ろから羽交い締めにされた…


ゴーグルに映し出される30分後の姿は…見たくない…



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