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飛行中3

姫様がスメルの膝を奪ってから、もう一時間ほど経ったでしょうか。

膝に加わるその重みも、その温もりも紛れもなく現実の感覚なのに、いまだ信じきれないのは、それだけ空を走るということのが非現実的だという現れでした。

天馬は悠々と翼を羽ばたかせながら(くう)を蹴り続けています。


謎の少女。

異世界という概念。

空を走る馬。

執着してきた言葉『救世主』


これだけの困惑材料が揃っている中、スメルは本来の自分へ戻ってきていました。


ーーもう、いいや。夢でも現実でも関係ない。この状況を楽しもう。


投げやりで、自分本位の少年。それを改めたい少年。


「ヒヒイイイイン」


スメルが吹っ切れていると、突然アッシュが鳴き声をあげます。

姫様はそれを聞いスメルの膝の上で目を擦ります。


「......着いたようですね」


姫様は上体を起こそうとします


「......どういう状況でしょうか」


が、今までスメルの膝の上で眠っていたことに気がつき、姫様は急に顔がほてります。


「気持ち良さそうに寝てたよ」


「ああ......恥ずかしい」


からかうスメルと照れる姫様。穏やかですね。


「ともかく!」


姫様はほてった顔のまま仕切り直します。


「あそこに見える教会。あれが秘密基地です」


姫様は色とりどりの花が咲き乱れる丘の上に建つ藍色の家屋を指して言いました。


「もっと殺伐としている所だと思ってました?」


無言でそれを見つめているスメルに、姫様は聞きました。


「いや......」


スメルはとりあえず否定して、少しの間の後、


「綺麗な場所だなって思って」


そう言いました。


「みんな、そう言ってくれるんですよ」


姫様はニコッと笑って言いました。


「さあ降りますよ救世主様。みんながまってます」




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