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追憶:ユウの始まり。

「すごい!さすがは人間の子ね。飲み込むのがはやいわ


目の前に姉がいる。勉強机には簡単な四則計算のドリルがある。


私にとって、姉のエクシアこそが母という存在だった。


母の記憶が一つもないからといって、姉のことを母と勘違いしていたわけではない。

十歳上の姉は、私のことを娘のように可愛がり、私はそれに能うべくに姉を愛した。


姉は一緒に遊んでくれ、勉強を教えてくれ、私の想像の世界に付き合ってくれ、どんな時でもいつも私の側に寄り添ってくれていた。

だから、七歳くらいまでの記憶は幸せで満ちあふれている。


私が七歳の誕生日を迎えてから四ヶ月ほど経ったある日のこと。

父の領土拡大に伴い、姉は、東の地ラルーク城へ居を移された。


それから日々は、まるでモノクロな毎日だった。

原因は陰険な家庭教師だった。名前は覚えていない。


最初は少し厳しいが、それが優しさのような良い教師だった。だが、私が混血だということを急に態度が一変した。


彼女は私に教育的指導という名目で、私に様々な呪いをかけた。

問題を間違えると頭になんだもその語句が浮かんできて、不気味な声で復唱されたり、ペンや羊皮紙と痛覚を共有させられたり、睡眠学習と称して夢を操作されたり、他にもたくさん体罰を受けた。


その時初めて憎むという感情を覚えた。


それでも、父に相談することできなかった。

なぜなら、家庭教師はその父が召した人だから。


当時の私には父の存在は絶対だった。

それは恐怖による弾圧とは違う。尊敬からの信仰と言った方が近い。

父が間違っているはずがなかった。今でもそう思ってるところはある。


だからこれが正しい教育なんだろうと、私はずっと信じていた。

しかしその迷信は突然崩壊した。

もうその家庭教師から教わることがなくなってしまったのだ。彼女が赴任してきて三年後のできごとだった。


そのことを父は喜び感動し、家庭教師に一生分の褒美をやったが、家庭教師は城を去る直前まで生き甲斐を失ったような顔をしていてただ私だけを睨んでいた。


純血の魔族である家庭教師には、人間の血を継ぐ私の理解力を嫉んでいたのだ。


家庭教師は最後の最後に呪いをかけようとしたが、私はすでに防衛術を知っていたから通用しなかった。


「しかし、どうしたものか」


父は彼女が去ると少し苦悶の表情を浮かべた。


「やはり、純血はああいうのが教師になるのか。自己顕示欲の強いやつが」


すまなかったな。そういっていつからか切っていない長い髪を、父は撫でた。どうやら父は体罰に気づいていたらしい。

あんな教師でも、自他ともに魔族界一と認める名の通った家庭教師だった。その彼女が教えるものがないとなると、もう魔族からは教わることはないということだった。


「人間を呼ぶにも、今は戦争の真っ只中だしな」


父は少し考えた。そして一つの提案をした。


「なあ、本は好きか」


大好きだった。はっきりと頷いた。


「ここから西の地、獣王の国に図書館があるんだがな、そこの司書を募集していた。なりたいなら、手配しよう。お前の母さんは本を読んで独学で勉強したそうだ。やってみないか」


父は私の視点まで体を屈め、私の目を見据え、真剣な眼差しで言ってきた。


私は強く頷いた。

父はニッと笑うと、立ち上がって言った。


「ただな、魔王の娘が獣王の図書館をやるとなるといろいろと世間が騒ぐのでな。司書として過ごす間だけ、偽名でいてくれないか」




ユウ・リンドー

その時に自分で付けた名前だ。

こんな具合に夢の中で回想シーンやる形をとって行きたいとおもいます。


○○寝るぞ→次回は○○の回想だ。


という感じ

読まれやすい......。

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